スウェーデンが勝利しつつあるのか……。

 CAITLIN DOORNBOS 記者による2020-4-30記事「Navy says more than 1,150 Roosevelt sailors have tested positive for virus; probe is launched into outbreak」。
     空母『TR』の乗員検査の最新集計。1102人が新コロ陽性である。そのうち3人はグァム島内にある米海軍病院に入院中である。それらとは別に、すでに53人の発症者は恢復した。またそれらとは別に、1人が死亡した。以上。

 人数が増えているのは、無症状で、隔離施設から出てもよさげな乗員に最終確認の2回連続の検査をしたところ、2回目で陽性と出た者が複数あったため。

 4-28時点で米海軍全体の陽性者が1822人であったから、その三分の二を、『セオドア・ローズヴェルト』だけで出したことになる。

 駆逐艦『キッド』には4-30時点で78人の陽性者が確認されている。入院が必要な者はいない。
 『キッド』の乗員はすでに下船して、最低14日間の検疫隔離を受けているところだ。

 『TR』と『キッド』の全乗員はすでにテストを受けた。よって、爾後、海軍広報は、大きな変化があったときにだけ、最新の集計値を伝える。

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 Phillip W. Magness 記者による2020-4-30記事「Imperial College Model Applied to Sweden Yields Preposterous Results」。
     疫学モデルは多数あった。今回、それが、世界規模で、リアルに試されることになった。結果は、芳しくない。

 ロンドン帝国大学(ICL)の流行モデルは、米国の新コロ死者数は220万人になろう、と予測した。

 この数値にマスコミと政治家が飛びついたおかげで、トランプ大統領が、ほとんどの州でのロックダウン強行に、同意した。

 またICLモデルは、「集団免疫」戦略を採れば全英で51万人が死ぬとも予想した。これが、ジョンソン政権のアドバイザーのニール・ファーガソンを動かして、政権の初期戦略を撤回させた。

 ICLは、その計算値の根拠であるソースコードを、なかなか開帳しようとはしなかった。
 やっと、4月27日になって、計算式が公表された。

 ただし奇妙な断り書き付きだった。パラメーター・ファイルは一サンプルであって、公表されたペーパーに用いたものと同じではない、というのである。

 いまだに、ICLがそもそもどこのどんなデータセットを使ったのか、部外者は精査ができない状況が続いている。ICLチームは、逃げ続けているのである。
 そんな彼らの出した根拠が不明瞭な数字が、マスコミうけしたおかげで、米国政府と英国政府の政策転換に重大な影響を与えた。

 3月後半以降、世界はスウェーデンに注目し始めた。同国は、アンチ・ロックダウンにこだわる、唯一の先進国だと知られたためだ。

 スウェーデンは、ソーシャルディスタンスを人々に保たせつつ、レストランもビジネスも続行させた。それは「集団免疫」戦略だった。すなわち《ワクチンの完成を待たない》との選択だ。

 しかるに突如として4月中旬、スウェーデンのやり方に世界中の識者たちが咬み付き始めた。トランプまでもそれに加わった。新コロ死者を抑制するためには、他の欧州政府に倣え、というのだ。

 最新の数値は示唆している。スウェーデンの「人口あたりの死者率」は他のほとんどの欧州諸国より一貫して低い。デンマークとノルウェーよりは、高いけれども。

 スウェーデンが正しかったのかどうかが判定されるには、あと数ヶ月はかかるだろう。他方、ICLシナリオが間違っているのではないかとの疑いは、強まった。ICLはスウェーデンについては予測を出していない(米英2国についてのみ、出している)ので、ストレートな「反証」にはならないが。

 しかし4月前半、ウプサラ大学が、スウェーデン政府批判に参戦してきた。彼らはICLの新コロ流行予測モデルを独自にスウェーデンの人口現勢に適用した。
 そして、このままではカタストロフが来る(5月中には集中治療室キャパを40倍上回る患者発生。6月末までに9万6000人前後の死者)と予言し、同国政府がすぐにも他の欧州諸国並のロックダウンを実施するべきだと唱えた。

 スウェーデンの現状は、この予言されたコースとは、ほど遠い。こちらは、反証になり得る。

 ウプサラ大の予言では、スウェーデンが今の政策を改めないなら、5月1日過ぎに死者4万人を越えるはずだった。

 ウプサラ大の予言では、スウェーデン政府が4月10日までにロックダウンに舵を切れば、5月1日の同国内の新コロ死者は1万人から2万人の間に抑制されるということだった。

 現実はどうか? スウェーデン政府は、主義を変えなかった。そして、この4月29日時点で、スウェーデンにおける新コロ死者は、2462人である。医療崩壊など、スウェーデンのどこにも起きていない。

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 Alex Fox 記者による2020-4-30記事「High Waters in the Great Lakes Reveal Two Centuries-Old Shipwrecks」。
   1850年から1890年の間に建造されたらしい木造船の残骸が、ミシガン湖の岸で発見された。今年は五大湖の水位が異常に高く、そのために、いままで水面下にはならなかった岸の土が流された結果として。

 こうした合衆国の内水の護岸管理を担当しているのは、米陸軍工兵隊である。記録ある限り、現在の水位が過去、最も高く、しかもこの増水の趨勢は持続しているという。