野球の「主審」の立ち位置が、ものすごく後退することになりそう。

 STARS AND STRIPES 記者による2020-5-11記事「Virus-related restrictions cause suspension of Stars and Stripes’ distribution in Kuwait, Baghdad」。
    星条旗新聞より謹告。クウェート政府の対新コロ政策により、クウェート市内の輪転機が使用できないため、クウェートおよびバグダッド市内では、印刷版の星条旗新聞の配達が5月19日までできない見込み。再開は5月20日予定。

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 H I Sutton 記者による2020-5-8記事「The Mystery Of The Venezuelan Navy’s Submarines」。
   ベネズエラ海軍(正式には「ヴェネズエラのボリヴィア海軍」と自称する)とベネズエラ政府は、潜水艦作戦60周年を5月4日に祝った。
 ところが、肝腎の潜水艦の姿はどこにもなかった。

 げんざい、ドイツ製の『209』型を2隻(S-31とS-32)、保有していることになっているのだが、それはとっくにオペレーショナルな状態ではなくなっていると疑われる。

 2隻は1976年と78年に西ドイツから引き渡された。やはり西ドイツ製の1980年代の有線誘導魚雷も装備している。

 ベネズエラは2000年代、自国内でこの2隻をオーバーホールしようとした。しかし2006-10に米国がベネズエラに経済制裁を加えると、外国企業はそのメンテナンスから手を引いた。

 ヒューゴ・チャヴェスが大統領だったとき、ロシアからキロ級(最新バージョン)の潜水艦×5隻、さらに追加で4隻買うといった話も浮上していたが、ロシア製戦闘機やSAMの商談とともに、ひとつも実現していない。
 そして今のベネズエラ経済は最悪である。

 もし『209』型のうち1隻でも生きた状態であるなら、それは特殊部隊の輸送には使えるだろう。セイル部分に、ダイバーのためのロックアウト・チャンバーが備わっているので。

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 Kyle Cooke 記者による2020-5-11記事「”The Cactus League” Is the Perfect Baseball Novel for 2020」。
    もしMLBが再開されるとしたら、アンパイアを感染危険から遠ざけるため、電子的な「ストライクゾーン画定装置」が導入されることになりそうだという。

 ダグアウトも、過去のものになる。選手は、互いに6フィートの間隔を保って、客のいないスタンド席に座っていなければならない。

 さらに、アメリカンリーグとナショナルリーグも、今シーズンに関しては解消し、全米を3つのディヴィジョン(イースト、セントラル、ウェスト)に分けることで、選手たちの長距離移動をなくする。1つのディヴィジョンにはそれぞれ10球団が含まれる。

 もっとすごい提案も出されている。アリゾナ計画だ。大リーグの全30球団が、今シーズンに限っては、ダイヤモンドバックスのあるフェニックス地区のみで全試合を消化する。そこには10箇所もの春季トレーニング施設があるから、可能なのだ。

 もちろん選手はシーズン中は、同地のホテルにかんづめだ。

 いったい、暑いアリゾナで1シーズン、プレイするとはどういうことになるのか、知りたい人には『ザ・カクタス・リーグ』という今年の新刊野球フィクション小説を、お薦めしておこう。

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Bobbie Johnson 記者による2020-5-11記事「Nearly 40% of Icelanders are using a covid app?and it hasn’t helped much」。
     アイスランドで新コロ患者が発見されたのは2020-2-28のことであった。
 その時点で同国は、新コロに感染した可能性の高い人に、陽性テストをしていた。同国のバイオテク会社の「DeCODE ジェネティクス」社のおかげだ。

 それから数週間にして、同国政府は、自動追跡アプリを利用可能にした。
 「ランキング C-19」というアプリ。GPSデータから、そのスマホの所有者が、感染危険が高い場所にいたかどうかが分かる。

 アイスランドの人口は36万4000人。そして、ダウンロード率は38%である。きわめて高い。
 だから、いま世界中に氾濫しているこの類似のアプリの性能を推定するのに、アイスランドの実験データは、役に立つ。

 アイスランドで濃厚接触者たちの追跡をしている警察の人いわく。いくつかのケースでは「ランキングC-19」は役立ちました。が、ゲームシェンジャーではなかったです。

 アイスランドでは今、新コロ患者は1800人強。死者は10人に抑制されている。最後の死者は4月19日にみまかった。

 これまでアイスランドでは、小学校とレストランは、いちども強制閉鎖されていない。
 小学校では「バブル」戦術が採用された。クラスを、児童の住む住所別に分けて離すことにより、町を越えた伝染にはならぬようにした。

 同国では、今月に入っての新患の数は、3人である。
 警察の人いわく。わが国では、初動がよかった。それに尽きています。

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 Ethan Paul 記者による2020-5-5記事「How H.R. McMaster sees China: Employing ‘strategic empathy’ to validate his ‘strategic narcissism’」。
   トランプ政権の前の国家安全保障補佐官だったマクマスターが『アトランティック』誌に寄稿した記事「シナは世界をどう見ているか」は、1947にジョージ・ケナンが書いた「ソビエトのふるまいの淵源」に比し得るものだ。

 米国が中共に関与していけば、中共社会は必然的にリベラル市場民主主義に変化するし、中共政府も責任あるステイクホルダーになる――などといった、過去の米政権を支配していた大勘違いは、さすがにもう消えた。

 中共は一党独裁をやめる気など微塵もないし、中共にとって最も得になる統制経済と軍事力強化を永久に追求する。そのシステムで世界を制覇してしまう気なので、われわれは中共を不倶戴天の敵と認識して、対支政策をシフトする必要がある。

 自由で開かれた社会をもつ陣営は、中共が世界の人民の人権を抑圧したり、軍事力を近代化するのに役立ってしまう、資金だとか技術情報だとかを、与えてはならない。これからは、むしろ逆に、たとえばHuawei社が世界の通信環境を支配してしまうような事態を阻止する戦いのためにこそ、西側諸国は資金や技術情報を積極的に注入して行く必要があるのだ。

 マクマスターにいわせると、過去の米政権の対支外交は、むかし学者のハンス・モーゲンソーが言った、アメリカ人特有の「戦略的ナルシシズム」そのものである。すなわち、世界を、ただ、米国人としての感想でのみ、把握できると思ってきたのだ。

 マクマスターは唱える。「戦略的感情移入」が必要であると。すなわち、米国人以外の諸国人は、世界をどのように見ているのかを、感じなくてはならない。

 すなわち、共産党に盲従する機関員の身になって考える必要がある。
 それには2つのエモーションが関係する。
 ひとつは、過去100年間に他の先進国から受けた屈辱に復讐する。
 もうひとつは、易姓革命を終わりにする。永遠に中共独裁王朝は持続させる。反乱は許さない。

 マクマスターの考え方を把握するには、ご本人が1997に書いた『責任放棄』という、ベトナム戦争指導史論が、役に立つ。
 その本の中でマクマスターは、ジョンソン大統領とマクナマラ国防長官のコンビが、1965年に「段階的圧力強化」の戦略をコミュニストに対して採用した政策決定が馬鹿すぎたと難じている。

 統合参謀本部は、「段階的圧力」など敵陣営には無効で必ず失敗する、とアドバイスしていたのに、コンビはそれを無視した。
 1965年は、米国がベトナム戦争にフルに関与するのか、停戦交渉に入るのか、どっちかに決めるべきときだった。
 それをし損なったので、米国にとっての悲惨な10年間がその後、約束されてしまった。

 アメリカが、敵=中共 の考え方をよく知って、全力でそれに反撃する政策を採用したときに、はじめて、中共は、信用ができる相手となるのだ。

 中共とわたりあうには、「基礎工事」が必要なのだ。それをしなければ、ベトナム戦争のような「泥沼」にはまる。