1万m(+)の不審飛行物体を 低速で目視確認できる多用途機がないというのは、大問題だったね。

 Altan A. Ozler 記者による2020-6-19記事「Libya: A Catastrophe for Russia’s Pantsir S1 Air Defense System」。
      リビア内戦にロシアが供給している短射程自走地対空ミサイル「パンツィール S1」(NATO側呼称SA-22グレイハウンド)が先月、評判を下げた。

 リビア国内では、トルコが後援する政府GNAと、割拠するカリファ・ハフター軍閥が、トリポリ市をめぐってせめぎあっている。ロシアは昨年前半からハフター側に、この、短射程自走対空システムを供給している。
 政府軍側の〔トルコ製の?〕武装UAVに対抗する手段とし、だったらしい。

 GNA軍は先月、トリポリ郊外のアルワティヤ航空基地を奪い返した。惨劇はそのとき起きた。
 9両の「パンツィールS1」が、次々にUAVの餌食となって爆砕されてしまったのだ。その動画フッテージはSNSに公表された。

 あげく、10両目のパンツィールはGNA軍に無傷で鹵獲され、トリポリ市内の戦勝パレードに引き回されている始末。

 パンツィールS1は、8×8トラックの上に、連装30ミリ機関砲と、SAMと、レーダー管制システムがひとまとめに載せられたものだ。
 1両1500万ドルくらいでロシアはこのシステムを輸出している。すくなくも11ヵ国に。
 輸入国には、UAE、イラク、セルビアが含まれる。セルビアはEU加盟申請中で、米国の「対敵制裁措置法CAATSA」=対露制裁法のひとつ を公然と無視した。

 ロシア国防相は2018-12にこのシステムによってダマスカス上空で米国の巡航ミサイルを撃墜したと宣伝していた。
 しかし2018-4と2019-11に、このシステムは逆に破壊されている。どちらもイスラエル空軍は証拠動画を公表した。
 イスラエルは「Harop」という特攻型無人機で、パンツィールを屠ったようだ。

 2018-11の シリアのフメイミム航空基地に対する ゲリラの無人機スウォーム攻撃も、パンツィールは防げなかった。

 2020年、イドリブ県をめぐる、ロシアとトルコの代理戦争で、パンツィールはさらに過酷なUAVスウォーム攻撃に直面した。
 電子戦手段に支援されたトルコ製の武装UAVは、最小の損害でシリア軍のパンツィールを無力化できた。

 リビアではこれまで、政府軍側のトルコ製、イタリア製のUAVと、ハフター軍閥側の中共製翼龍UAVのどちらもが、撃墜されている。翼竜は味方の火器で誤射された。

 ハフター軍閥は油田を押さえているので金持ちだ。すでに23両のパンツールが破壊されているのに、まるで平気なようだ。

 次。
 ストラテジーペイジの2020-6-19記事。
   5月10日のオマーン湾におけるミサイル誤射事故の詳細。
 イランのコルヴェット艦が、中共製のC-802対艦ミサイルを発射した。それが、650トンの『コナラク』に当たってしまった。

 『コナラク』は1988年にオランダで建造された。もともと非武装の支援艦である。乗員15名、速力39km/時。
 ミサイル訓練のための洋上標的を据える仕事に使われていた。

 C-802(イラン名「ヌール」)を発射したコルヴェットは『ジャマラン』である。
 『コナラク』は、標的からはじゅうぶんに離れていた。

 C-802の弾頭レーダーは、単に、より大きな反射が返ってきた『コナラク』に向かったのだろう。
 『コナラク』は上構をやられて19名死亡。15人が負傷した。

 『コナラク』は被弾後に複数の内部爆発を起こしている。これは、従来非武装であった同艦が、今は武装していることを示唆する。
 『コナラク』は曳き船によって軍港に戻った。

 『コナラク』の負傷者救助をしたのは、現場から16km離れていた漁船であった。その動画はインターネットにUpされている。
 事故現場に、他の軍艦がやってきたのは、セベラル時間後であった。イラン海軍には緊急即応力が欠けていることが示された。

 『コナラク』は2018に改装されて、そのとき武装が強化されたと見られる。2発の対艦ミサイル(C-704)が積まれていたかも。

 「ヌール」は輸入品ではなく、イランがC-802を内製化したものである。重量650kg。射程170km。
 さいしょは1990年代に60発を買ったものだが。

 「ヌール」は、イランから、ヒズボラや、イエメンのシーア派に渡されている。
 2006年にヒズボラがイスラエル軍艦に2発のヌールを放ったが、電子妨害されて外れた。カスリ傷は与えたという。

 紅海では商船にヌールが当たっているようである。米艦も狙われたが、個艦防衛システムによって阻止された。

 『コルナック』に後から詰まれたC-704もイランでコピーしていて、「ナスル1」と呼ぶ。
 「ナスル1」は固体ロケットモーターなので、射程は35kmだが、スピードは大。

 2011年にイランはガザ地区のハマスにこのミサイルを手渡そうとして、途中でイスラエルに阻止された。

 中共製のC-705は、インドネシア大統領の観覧する前で2連続でデモンストレーションに大失敗するというパフォーミングで有名だ。
 1発目は、発射コマンドを出してから5分すぎてから不意に飛び出し、目標は外した。2発目はすぐ射出されたが、飛翔途中で墜落。

 次。
 Geoff Ziezulewicz 記者による2020-6-16記事「Tinder, Sailor, Hooker, Pimp: The U.S. Navy’s sex trafficking scandal in Bahrain」。
       2017年6月、バーレーンに駐留する1人の米海軍水兵が、タイの娼婦と暗号テキストで通信した。
 この水兵の名は、ジハード・H・リトルジョン。階級は2等ガナーズメイト。※重機関銃などの特技兵曹。

 リトルジョンは29歳でニュージャージー州出身。警備艇『ハリケーン』に乗務。
 リトルジョンがコンタクトをとったタイ人女 リン・ライウェストは、只の娼婦ではなく、娼婦送り出し業者であった。英語で「ママサン」と呼ばれる地位。

 ここから、商売が大きくなった。ライウェストはタイ人娼妓を多数集めてバーレーンに送り出す。
 リトルジョンがバーレーンに借りている日曜下宿に、複数のタイ女性が収容されて、そこを拠点に売春ビジネスがスタートした。もちろんリトルジョンが上がりをピンハネする。パスポートは預かっていた。

 リトルジョンはライウェストに、米ドル換算で2650ドルを支払っていた。
 ライウェストはリトルジョンに、彼女のパスポートを与えた。担保・抵当として。

 海軍犯罪捜査局(NCIS)がリトルジョンの日曜下宿をガサ入れしたのは2017-9である。金庫の中からそのパスポートが出てきた。

 なにゆえか、ライウェストは法廷証言を拒み、リトルジョンは、2019夏に、すべての嫌疑について無罪放免となった。
 だがNCISはこれをきっかけに、他にもバーレーンを根城に売春斡旋の副業を営んでいる米海軍将兵が複数あることを知った。

 彼らがアパート(その家賃の一部は税金から賄われている)に囲っている娼婦たちが取る客は専ら、米海軍の将兵たち。バーレーンが所属港の者もあれば、たまたま立ち寄った軍艦の乗員のこともある。

 じつはレイウェストはNCISのインフォーマントにもなっていた。もちろん、国際売春犯罪の大物なのではあるが、米海軍内の犯罪者追及捜査がまず優先されたのだ。

 バーレーンの首都はマナマである。そこにジャッファー通りがあり、別名は「アメリカ横町」。酔っ払った水兵と娼婦が朝まで同衾する本場として何年も前から知られている。飲み屋やアパートでゴミゴミした地区だ。

 それがなんと、米第5艦隊のバーレーン根拠地司令部の基地門前町なのだ。そこには7500人が勤務している。

 NCISに対する一下士官の証言。バーレーン勤務の水兵の15%は、アパートに娼婦と一緒に棲んでいると。
 ひとりで15人を囲って、売春させていた下士官もいる。この娼婦たちは、タイのママさんに、1人が6600ドルの借金をして、送り込まれて来るのだという。

 こうした米海軍兵曹たちによるバーレーンでの見苦しい副業は、遅くとも2012年から始まっていたと。
 この犯罪行為に関連して2017年からこれまで9人、訴追されている。そのうち1人は中尉であった。

 『ミリタリー・タイムズ』もこの醜聞を独自に調査してきた。2018年から。
 海軍によれば、こうした犯罪行為は2018後半をもって、廓清されたという。
   ※長すぎるのでここまで。