恵山の不明者捜索ではなぜ犬が使われなかったのだろう?

 仙台市の風船事案で天体望遠鏡が動員されなかったのと合わせて、この国の公的システムには「?」が多い。

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 Jenessa Duncombe 記者による2020-7-6記事「Five Things Spy Satellites Have Taught Us About Earth」。
    1971年から86年まで運用されていた写真偵察衛星KH-9ヘキサゴンが撮影した厖大な画像をNRO(米国家偵察局)は2002年に公開した。

 これまで、いろいろな研究者がこの画像を分析して、そこからいろいろな新発見をしている。

 まず驚くのがその解像度。今のグーグルアースより良い。幅60センチ以上ある地表物ならば、カメラは捉えていた。
 アングルはクォータービューである。直上からではない。したがって同一場所を写したヘキサゴンの画像を経時的に追って行くと、氷河がどのように溶けたかなどの貴重な3D情報が得られる。

 ある研究者はヒマラヤの氷河をヘキサゴン画像から3D化して、その40年間の変化を可視化した。
 同地の氷河は、アラスカ氷河などと違い、過去のデータが得られていなかった。その空白が埋まった。

 結果、1975年から比べてヒマラヤ氷河の厚さは75%に減ったと分かった。
 しかも、薄くなるペースが、加速していることも。
 2000年までは毎年25センチずつ薄くなっていた。それ以降は、毎年50cmだ。

 フィンランドのトナカイの群が、1960年代以降の同国の工業化によって広域移動をさまたげられつつあることも、ヘキサゴン画像分析で分かった。

 森林が切り開かれると地衣類が消滅する。つまり冬のトナカイの餌がなくなってしまうのだ。

 ペルーの西南地方では、谷地の地すべりが農業を脅かしている実態が、ヘキサゴン画像集から浮かび上がった。

 その原因は、斜面でいろいろな農業開発をすすめていることだった。それで地盤が不安定化したのだ。

 イランにはときどき活断層の大地震が起きる。1978年9月16日のマグニチュード7.8の地震ではタバス村の住民1万1000人のうち85%が死んだ。過去数千年、その村には地震がなかった。
 そこで、ヘキサゴン、スポット2、スポット6の写真をぜんぶ並べて比較したところ、断層を境にして地面がズレていた経過が把握できた。この地では3500年に1回、地震が起きるはずだとも突き止められた。

 アイスランドのクラフラ火山の地下ではマグマの源が遷移していることも、ヘキサゴンおよびスポット5の写真解析から分かった。