Andrew Gillen 記者による2020-7-8記事「A Better Solution for Student Loan Defaults」。
米国で学生ローンの返済ができずに破産者になる人が多い。新コロで、ますます増えるだろう。
そこで2種類の新制度が模索されている。どちらも、市場型の学生ローンだ。
ひとつはISAs=インカム・シェア・アグリーメンツ。
出資者が、某学生の将来の、ある決められた時期の期間収入に対し、先行投資する。その代価として、出資者は、その学生の卒後の某時期の収入の、決められた割合を「配当」として貰う(投資回収せんとする)。このような仕組み。
もうひとつは、豪州と英国ではすでに実施されているLCL(=稼ぎ次第に返せばよいローン)。借りた学生は、卒後、たとえば10年間、年収の10%を返納し続ける。その期間の長さは、借りた額の全額が返せるぐらいに設定される。そのような仕組み。
どちらの制度も、奨学生が卒後に年収が激減したときは、返さねばならぬ額もそれに比例して減る。1年間失業していた場合は、その年に返す額も「ゼロ円」に自動的になるので、崖っぷちには追い詰められない。
記者は、このうちでも、ICLの方が、ISAsより優れた仕組みだと考える。
理由の一。
じぶんは卒後に高収入人生を歩むはず――と自信満々な学生は、ISAsを選ぶわけがない。なぜなら返納額が上限なしに比例加重されてしまう仕組みだからだ。したがって「逆選好」が働き、有能学生ほどISAsを忌避するはずだ。となれば投資者の側からも、この制度は魅力的には見えまい。
理由の二。
奨学生は卒後、高給ばかりを目当てに就職するとは決まっていない。給料は安いが休日が多い会社を選んで就職するかもしれない。そうなってもICLの方は、制度がダメージを蒙ることはない。
また、ISAsの受給者は、卒後、じぶんの真の総収入を低く誤魔化したいという強い誘惑に駆られるだろう。モラルハザードが予定されているのである。
理由の三。
ICLは、それを提供する機関同士の自由競争が最後まで継続される。つまり某ICLの利用者は、その返済の途中で、別なICLに鞍替えしてもよい。奨学生の方で自由に馬を乗り換えられるわけだ。健全な自由競争が、ずっと続く。かたやISAsでは、学生が、どのローン機関を選ぶかの競争は、最初の一回でおしまいである。
理由の四。
ISAs は、どうみても奴隷契約に類してしまう。これはミルトン・フリードマンが指摘している。したがって、機関の側から世間に宣伝するときに、うしろめたい。
それにISAsの契約では、奨学金希望学生が男か女かによって必ず、露骨な違いが生じてくるであろう。出資者の側としては、現役の婦人が出産のために仕事を中断することをとうぜんに望まない。これで宣伝になるのか? ICLでは、約款は男女にかかわらず同一だ。
次。
Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2020-7-7記事「‘A Golden Age For Collaboration’ On Lasers & Microwaves: But Watch The Cheetos!」。
これから四年以内にできる見込みのレーザー砲。
米陸軍の短射程防空(SHORAD)プログラムは、50キロワットのレーザー砲で、8輪のストライカー装甲車にマウントする。対象は敵のドローン。2022年に試作予定。
陸軍の間接火力防禦能力(IDPC)プログラムは、100キロワットから300キロワットを発生させる代わりに車載はできない。装輪牽引車で、陣地から陣地を移動させる。破壊対象は、亜音速の巡航ミサイルや、地対地ロケット弾。2024年に試作予定。
米海軍の艦載兵器としては、60キロワットから150キロワットの実装を考えているところ。