新書よりも大判で、新書よりもページ数の少ない出版物が、もっとあってもいいはず。

 ときどき頂戴する、コミケかどこかでしか売っていないような軍事系の研究書。要約を書いてしまうと悪いので本ブログでは最低5年間はスルーすることにしているが、いつも感心して拝読しているのであります。

 こういう出版物のライターの方々で、わたしと共著企画を考えてくれる人があったら、ご連絡ください。どんなアホな企画でも真剣に全力で応じたいと思っています。

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 Robert Curry 記者による2020-7-21記事「Common Sense About China」。
    ブライアン・ケネディ氏の新刊『Communist China’s War Inside America』は、中共のゴールについてこう分析する。すなわち、米国のモラルを破壊する。これ以上、支那人に抵抗しても無駄だ――とアメリカ人が思うようになるまで。そのためには、米国のエリート層のとりこみが絶対に必要である。

 チャイナからやってきたウイルスに「チャイニーズ」を付けて呼んではいけない、などというポリコレが米国内に定着しようとしているのはおかしいだろ? と思っているすべての米国人にこの新刊を捧げる。

 この本、なんと本文は49ページしかない。すぐに読める分量だ。※わたしにも訳せる量だと思うのでどこかの出版社さんはわたしに和訳を発注しませんか?

 ケネディは指摘する。シナ人は次のようにうぬぼれ、確信している。米国は崩壊過程に入っている。そして、米国の政治エリート、金融エリート、文化的エリートたちは、諸邦が相互に依存する世界の中で、中共主導のグローバルなプロジェクトの話を聞いたときに、それに基本的に反対しない。結果として世界を中共が指導することになっても文句は言わない、と。

 この見立ては、外れていないだろう。

 新コロが流行り出したばかりのとき、評者は、ローカルのラジオ番組を聴いたのを覚えている。その州で権威ある大学の疫学教授が呼ばれていた。女性ニュースパーソナリティがこう質問した。「このインフルエンザと、1918年のスペイン・インフルエンザとの違いは何ですか?」。すると教授は怒り出し、1918年のインフルエンザに「スパニッシュ」と付けてはいけない、それから今次のインフルエンザに「チャイニーズ」と付けてはいけない、と説教した。それで女子アナはもう何も質問できなくなってしまった。彼女と米国のリスナーたちは、こうして中共から「政治再教育」されたわけである。

 この教授の言い草はちっとも疫学とは関係がない。政治学と関係がある。それに対して女子アナの対応は《グローバリスト》イデオロギーに縛られ、その言い草がおかしいことも指摘できなかった。

 ユー・ベンミンの名前を聞いたことは? CALPERS(カリフォルニア州営労働者退職年金機構)の長として、4兆ドルもの資産運用を統轄している。そのカネは、多く中共に投資され、中共を強力にし、ますます中共が米国の投資家や政治にレヴァレッヂを利かせやすくする手助けをしているのだ。ゾッとしませんか?

 ケネディは、アメリカがなすべきことを49ページに凝縮してくれている。すぐに読もう!

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 CAITLIN M. KENNEY 記者による2020-7-23記事「Adm. Gilday: USS Bonhomme Richard damaged on 11 of its 14 decks; sailors faced explosions, blinding smoke」。
     7-12に出火した『ボノムリシャール』の船火事。
 14階層あるデッキのうち11が、火炎と水によるダメージを蒙った。

 上構は、熱のために、ヘタる寸前の状態だ。もちろん下層デッキ内も。
 飛行甲板の一部も歪んでしまっている。

 出火場所は、飛行甲板から6層下、艦の中央にある車両甲板からだった。そこから前後と上下に燃え広がった。
 風が火勢を強くした。内部爆発もあって、延焼が加速された。

 車両デッキは艦尾のウェル・デッキまでつながっていて、通風が良い。それで、艦尾の門扉から新鮮な空気がどんどん供給されてしまったのだ。
 ※これは強襲揚陸型軍艦のダメコンを考えるときの盲点だったね。だったら、泛水ドック部分を廃止して、純然たるヘリ空母とし、その分、ヘリ用燃料を多く抱えるというコンセプトが、再評価されるのかもしれない。

 炎は、エレベーターシャフト、排気煙突を通じて広がった。可燃物資が複数の区画にあった。

 艦内の消火作業は黒煙のためほぼ無視界で強行された。放水中に爆燃が何度も起き、それにぶったおされながらもなお、消火戦闘を続行した水兵たちがいた。

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 Kit Chapman 記者による2020-7-20記事「The complexity of fire」。
      英国で2017-6-14に起きた「グレンフェル・タワー」の火災はショッキングだった。ビルの外壁材が燃え上がり、24階建ての高層マンション全体が煙突型の焚き木の山のようになり、72人の住民が焼死。WWII以降の最悪の住宅ビル火災だった。

 巨大倉庫の中で燃焼試験(耐火テスト)をしても、高層ビル上層で起きる「空気流」を再現することができない。だから危険性を事前に把握できなかった。

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 ストラテジーペイジの2020-7-23記事。
   イスラエルは6月19日、シリア政府軍のロシア製パンツィールから発射された「57E6」SAMの不発弾を、ゴラン高原で回収した。
 これはイスラエルが発射した巡航ミサイルを迎撃しようとしたものだった。
 SAMには20kgの弾頭がついており、外れた場合、自爆するのがふつうだが、なぜか自爆しなかった。

 ロシアが各国に売っている地対空システムは、どれも、現地では不評である。