引越し所感。

 今回、一軒家からマンションに移るのに合わせて、大量の書籍やノート類の総重量と嵩をできるだけ減らすべく、数ヶ月前から「デジタルテキストデータ化」作業を「手打ち」によって鋭意進めていた。
 その過程で、すっかり忘れていた旧資料をいくつも再発掘することができた。

 思うに、自宅があって何十年も引越ししないまま病死してしまう作家や研究者たちは、じぶんで集めたり、書き留めておいた膨大な情報を、けっきょく活かすこともなく、この世から消してしまうことになるのだ。
 だって、遺族がいたとして、そんな古いノート類の貴重度をいちいち精査し、保存の手間など費やしてくれるわけがなかろう。
 終戦直後なら即、風呂の焚きつけ。現代なら、ちり紙交換に出されて終わる。書籍類は、まとめて古書店に引き取らせるだろう。

 狭いスペースへの転居が、資料の棚卸しのきっかけになった。死ぬ運命の資料が、おかげで生きたのである。有り難い、有り難い……。

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 ストラテジーペイジの2020-8-28記事。
   イラン石油の密輸出などを有効に監視できる「ホークアイ360」という装置。これは2020年に登場した。
 技術要素は、アレイ・レーダー。
 ただし、完全なパッシヴ。タンカー/船舶の側から輻射されているレーダー波をトラッキングできる。
 また、タンカー/船舶が、荷卸し予定の港湾と交信する無線も傍受追跡できる。
 この電波放射源トラッキング・ソフトウェアは、米国の通信中継衛星の技術のスピンオフである。

 イスラエル製の「ホークアイ360」の買い手としては、商船運用会社、海上警察、港湾管理会社、沿岸警備隊などがある。

 密輸船がレーダーを完全に切って密輸業を営むことは、不可能だ。他船のAISをモニターしているだけでは、視界不良時の衝突事故を回避することはできない。瀬取りの相手船を見つけることもできない。
 だから「ホークアイ360」を搭載した監視船艇は、北鮮の瀬取りも見破ることができる。

 ところで中共沿岸はことしの1月から、えらいことになっている。新コロで経済がフリーズし、石油需要が消えてしまったために、原油を満載した多数のタンカーが、その買い手が見つからず、長々と沖合いで荷卸し待ちを強いられることになったのだ。
 この影響でイラン原油の需要も減ってしまって、イラン当局は内心ピンチ。

 イランは、5000ガロン積みのタンクローリーで原油をイラクまで陸送し、そこから「イラク石油」として輸出するという密輸技法も併用しているものの、とうぜん、箆棒にコスト高である。

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 同じくストラテジーペイジの2020-8-28記事。
    げんざい米軍艦は、緑色のレーザーで艦隊内の通信ができるほか、そのレーザーで小型ボートの乗員にめくらましを掛けることもできる。

 レーザーで敵パイロットの視野を幻惑することを最初に実践したのは1982のフォークランド沖の英海軍だった。このレーザーはしかし、近距離では人間を失明させる威力があった。それで1985年に国際条約が結ばれ、人間を恒久失明させるレーザーを戦場に持ち出すことは禁じられている。

 中共海軍はあからさまにこの条約を踏みにじって、高威力レーザー銃をその艦艇に実装し、米海軍の哨戒機などに向けて発射している。

 イラクで2005年に米軍は気がついた。70ドルで市販されているレーザーポインターは、アイセイフであるが、2km先と連絡がとれるし、チェックポイントに接近する不審車両を威嚇する効果もあると。
 そして2006には、グレネードランチャーのかわりにM-4のハンドガード下に取り付けられた。

 ペンタゴンは2010までに「LA-9/P」を開発した。重さ1kgで、単三電池×3本を電源にするレーザー・スポッターで、カービン銃に取り付けられる。昼間ならこの光は1500m先から視認できる。夜なら4kmも届く。500m以下では、敵兵の視界を幻惑させられる。

 カナダ軍は2009年に、単価7500ドルのVWT(視覚警告装置)を750セット調達した。アイセイフなグリーンレーザーで、接近してくる不審車に警告できる装備だ。

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 Joe Gould and Valerie Insinna 記者による記事「Drone maker General Atomics lays off hundreds」。
      サンディエゴに拠点のあるジェネラルアトミクス社は、1万人の正社員のうち630人をレイオフする。
 トランプ政権が、高性能無人機の輸出の縛りを緩和させたことによって、ジェネラルアトミクス社〔リーパーのメーカー〕とノースロップグラマン社〔グロホのメーカー〕の収益見通しは、明るくなったはずだった。

 しかも連邦議会はFY2021で、「RQ-9 リーパー」を16機も買い増してくれているのだ。

 逆風は、身内の空軍から来た。米空軍がFY2021でリーパーは要らないと言い出した。調達停止を4年、前倒しする、と。

 リーパーは過去20年間以上、なかなか手を出せないゲリラ頭目たちの爆殺に大活躍してきたが、これからロシアや中共と戦争になることを考えると、機体の脆弱性は否めない。しかも、この20年間で運用コストが値下がりするどころが、どんどん膨脹しているのだ。省力化にも向かっておらず、人手がますます食われるのも、空軍が無人機を嫌がる理由だ。

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 MilitaryHistoryNow.com による2014-3-7記事「By The Numbers ? Some of the World’s Longest and Shortest Wars」。
    近代史上、最も短時間で終わった戦争は、1898年の、英国vs.ザンジバル王国。8月27日の午前9時2分に宣戦布告されて、9時40分に決着した。