トランプは、だらだら戦争が嫌い。しかし今の中共は、だらだら戦争でこそ命運が尽きるのだ。

 Alexander Post & Erich Kisi 記者による2020-9-8記事「Coal Power Plants Could Run on New Zero-Emissions ‘Lego’ Blocks」。
     MGA=混和性ギャップ合金 という新物質は、エネルギーを、熱の形で貯蔵することができる。
 MGAは小さい金属ブロックの中に封入されている。
 ソーラーパネルなど、外部でつくられたエネルギーを、このブロックの中に貯蔵することができる。

 可能性。現在すでに稼動中の、石炭火力発電所などの蒸気タービン。その熱源を、このMGA封入ブロックによって代置できるだろう。
 すなわち、石炭焚きボイラーを、排出ガスゼロのクリーンボイラーに転換できるのだ。

 コストだが、リチウムイオン蓄電池と比べると、圧倒的に安い。
 実験室で得られたばかりのこの発明品、これから試験の規模を拡大して、いずれ実用を目指して行く。

 ソーラー発電にしろ、風力発電にしろ、起電が間歇的である。だからエネルギー利用回路の中間に蓄電池を介在させないと、夜間や無風時に消費者が電力を使えない。
 再生可能エネルギーの比率を増やすためには、もっと安価で、エネルギーを貯めたまま長期保存ができ、すくなくも夜間8時間の連続放電を続けることができ、しかも設置場所を選ばない、そんな、エネルギー保存機構の発明が待たれていた。

 MGAの内部には、エネルギーを、最長1週間、貯蔵しておける。
 いまから20年すると、ただいま現役の石炭火力発電所の多くが寿命を迎える。そのときが、このMGAの出番だろう。
 石炭火発の跡地に、MGAブロックを集積するのだ。

 1個のMGAブロックは、外寸が「20×20×16」cmである。
 複数の金属からできていて、その内部の一部の金属は高熱によって溶けるが、ブロックの構造は外枠形状を保つ。
 チョコレートチップマフィンを思い浮かべて欲しい。電子レンジで加熱すると、点在するチョコチップの部分は溶けるが、それを包囲しているケーキ地は、溶けたりはしない。それと同じだ。

 このMGAを、シンプルに、水を沸騰させる熱源とすることもできる。その場合、既存の石炭ボイラーを、MGAボイラーに転換し、MGAの蓄熱によって蒸気タービンを回せるかもしれないのだ。

 豪州のニューサウスウェルズにあるニューカッスル大学の研究チームは、MGAのための物質開発を2010年から開始し、2018年に目処をつけた。
 そして2019に「MGAサーマル社」を起業した。

 2020-6に豪州政府は、同社に対し、パイロット工場の建設資金を補助した。
 パイロット工場は、ニューカッスルで来年、稼動する。そこで、市販できるMGAブロックを量産する。

 スイスの「E2Sパワー」社は欧州における同事業のパートナーである。欧州には石炭火発が多数ある。そこでまず欧州において、古い石炭火発の熱源をじっさいにMGAで置換ができるかどうか、実証する予定だ。

 リチウムイオン電池と比較すると、1キロワット×1時間のエネルギー貯蔵のためのコストは、MGAならば四分の一で済む。

 MGAの弱点は、リスポンスが遅いこと。リチウム電池には即時にエネルギーを出し入れできるが、MGAだと15分かかる。そのかわりに、長時間の貯蔵もできるのだが。

 MGAブロックは、環境中に漏れて困るような毒を含まず、爆発の危険も無い。
 1個のMGAブロックの寿命は25年から30年。そして古くなったら、構成金属を簡単に分離して、ふたたび新品のMGAブロックを作り直すことができる。

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 SETH ROBSON 記者による2020-9-7記事「Trump says troops love him, attacks top brass ‘who want to do nothing but fight wars’」。
    『アトランティック』誌は何を報じたか。2018年にトランプ大統領は、フランスにある「ベローウッド」で戦死した米海兵隊員の墓に詣でる予定をキャンセルした。そのとき、戦死した米兵や捕虜になった米兵について「ルーザーズ」「サッカーズ」と表現したと。ソースは匿名。

 ※トランプの過去のつぶやきから彼が一貫して何を嫌っているのかは明瞭に伝わるのではないか。まず、長期戦から足抜きすることに反対する将官たちが嫌いである。そして米国がかかわる長期戦で恩恵を受けているのは飛行機メーカーや弾薬メーカーだと思っている。トランプは、飛行機メーカーや弾薬メーカーの経営陣も憎んでいるのだ。外地の軍人墓地は、余計な干渉戦争の象徴となり得るから、それと自分のイメージを切り離したいのだろう。褒め称えてはいけないと自制しているのだ。

 NATO同盟国については特にトランプはドイツを批難する。米国がNATOの軍事費の22.1%を負担しているのに、ドイツは14.7%であると。

 ※貿易に依存していない連中を相手に「だらだら戦争」を続けても米国が一方的に損をするばかり。これはベトナムとアフガニスタンで米国が学んだはずのことだ。イラクだけは、石油貿易に依存していたので、米国にとって、有期限戦争の見通しは立てられた。そして今日、イラク以上に貿易に依存しすぎている中共にとっては、「経済制裁」を一歩超えた「だらだら戦争(低烈度の長期交戦事態)」が死の道になる。それこそが戦前の日本が学習したことなのだ。よって、これから中共は、トランプを捨て身のブラフで揺さぶる戦術を採る。彼らにとってこそ「だらだら戦争」のスタートは致命的となるのにもかかわらず、それをおくびにも出さずに、トランプを「米中だらだら戦争」の脅しで怯ませようとするであろう。

 次。
 Brian W. Everstine 記者による2020-9-4記事「‘Smart’ Bullet Downs Cruise Missile in 2nd ABMS Test」。
     新コロで延期されていた統合大演習が実施された。
 ニューメキシコ州ホワイトサンズ基地付近から空軍の爆撃機が「BQM-167」無人標的機×6発を放った。これは巡航ミサイルに見立てたものである。それを空軍のセンサーが探知し、味方の戦闘機や、軍艦や、陸軍の砲兵隊に迎撃指令を伝達した。そのうちのひとつ、指令を受けたパラディン自走砲からは、特殊な高速誘導砲弾「HVP」が発射されて、この標的機のひとつを空中で撃破したという。

 なんと、自走榴弾砲が、155ミリ砲弾によって、巡航ミサイルを撃墜できる時代が来たのだ。

 ※これは陸自の新型SPにとっても朗報だ。いままでは尖閣防衛に何の貢献もできない装備だったが、この新弾薬によって、たとえば日本海の原発防衛に貢献できるようになるから。



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