3機のB-1がアラスカから東シベリアに沿って欧州まで4300海里飛行してみせた。

 Steve Raaymakers 記者による2020-9-11記事「China expands its island-building strategy into the Pacific」。
    キリバス共和国は中部太平洋に広く散在する32の環礁その他から成る群島国家(ギルバート諸島、フェニックス諸島も含まれている)だが、海面上昇の脅威にさらされている。そこで、南シナ海の砂盛島工事で定評あるシナ企業に、土地の嵩上げの工事を頼んでいる。ついでに、工業用地とする埋め立て工事や、2つの港湾整備もしてもらう。

 キリバスのEEZ面積は350万平方kmにもなり、これは豪州大陸の半分に相当する広さだ。そこではマグロが獲れる。
 しかし総人口はたったの12万人。土地の標高は数mしかない。

 キリバス政府が中共に依存して行く道を定めたのは2019-9のこと。その年に選挙があり、中共依存路線を標榜する政党が勝利した。

 交通運輸結節点として進められている開発の拠点が2箇所ある。ひとつは首都が所在するタラワ環礁。もうひとつは、ハワイ寄りのクリスマス環礁。
 中共はだいぶ前に、衛星追跡用の地上施設をキリバスに建設している。それはながらくモスボール状態だったが、このたび、運用を再開したという。

 中共軍は、キリバスのハワイ寄りの島に情報収集拠点を設営することにより、クェゼリン環礁やジョンストン環礁、ウェーク島などの米領近海で行われる米軍のミサイル・テストをモニターできる。
 WWIIで日本海軍は、米国と豪州の間のシーレーンを断ち切ろうとして苦労してギルバート諸島まで進出したのだが、中共は、平時に難なくそのポジションを得てしまったことになる。

 中共は、仏領ポリネシアのハオ環礁にも足掛かりを得た。20億ドル以上も投じて、魚肉加工工場を建設してやるという。同環礁は、中共の大艦隊がひとつまるごと泊地として利用できる深さと広さを有する。90年代までフランス海軍が、核実験の支援艦隊を置いていたところだ。ムルロア環礁に近いのである。それで、輸送機が発着できる滑走路もある。

 世界最大の二酸化炭素排出国が、みずから温暖化させた海洋気象をネタに太平洋の貧乏国に戦略拠点を築いているところだ。

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 ストラテジーペイジの2020-9-11記事。
    2年前にサムスン社は「ギャラクシーS9」という軍用グレード(タクティカル・エディション)のCSP(コンバットスマートフォン)をリリースしている。
 このたび、より高速のプロセッサーなどを搭載して強化した戦術スマホ「ギャラクシーS20」を商品ラインナップに加えた。

 同社が軍用スマホを最初に売り出したのは2012年である。
 スマホメーカーが世界のCSPの市場に参入するには、単価300ドル未満でないと勝負は難しい。そして、2年ごとに性能強化された新機種をリリースする必要があるだろう。

 軍用アンドロイドを最初に開発させようとしたのはNSAで、2011年のことだった。SE=セキュリティ・エンハンスト と称し、ハッキング対策を重視していた。Linuxベースであった。
 米陸軍もAtrixスマホとギャラクシーのタブレットを2011年から試し始めている。

 次。
 2008年5月6日深夜2時23分、スリランカ軍の補給艦『インヴィンシブル』が、タミール・シー・タイガース(または「ブラック・タイガー」)のしかけた複数のリムペット機雷で沈められた。軍艦も意外に脆いと知られた事件だった。 
 場所はトゥリンコマリー港で、土曜日。
 積荷は弾薬であった。
 13分で沈没した。死者はなかった。艦齢は38年以上だった。

 じつは攻撃方法は完全解明されたわけではない。内部で爆破したのかもしれない。誰も見ていないので。
 ともあれブラックタイガーは自爆攻撃に定評があった。
 隣に繋留されていた『MV A 520』の船底で自殺ダイバーが自爆し、そのエネルギーでやられたのだろう――との推定もある。

 インド洋で商船が難破すると油流出が注目され、世界から関心を集めるということが知られてしまった。だったらテロリストはそれを利用しようと考えるはずだ。原因不明の商船難破が、これから増えても、驚かないようにしよう。



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