スギャーやつ が あらわれた……。

 Riley Black 記者による2020-9-15記事「Why Birds Survived, and Dinosaurs Went Extinct, After an Asteroid Hit Earth」。
    1億5000万年前のジュラ紀、恐竜の仲間として始祖鳥が登場した。
 今日からふりかえると恐竜は大きく二つに分けることができた。鳥類という、トリ型恐竜がおり、他のすべての恐竜は、非トリ型恐竜だった。

 このふたつのグループの運命が、6600万年前の地球的カタストロフを境に、分かれた。

 直径6マイル以上の隕石が今のユカタン半島付近に激突した。クチバシのある恐竜であった鳥類はそのインパクトを凌いで繁栄できた。かたや、クチバシを持たぬ、非トリ型の恐竜は、ことごとく死に絶えた。

 ※注意。「翼竜」は後者に分類されるらしい。絵ではクチバシがあるようにしか見えないのだが、そこに歯がついている場合は英語で「beak」とは呼ばぬようである。

 白亜紀の終わりに存在した種のうち75%は、次の古第三紀には存在していなかった。
 始祖鳥の化石は19世紀の自然学者を困惑させた。歯がついていたから。

 全体が巨大な鳥のように見えるけれどもそこに歯もあった恐竜たちは、始祖鳥いらい進化し多様化し、数千万年も栄えていた。他の恐竜とともに。

 その中に、ひとつの分派が……。歯のないクチバシを備えた、真の鳥類だ。
 歯は、あれば有益のように思えるが、それをわざわざなくしてしまった理由とは、何だったのだろうか?

 以前の仮説は、歯はトリにとって重量負担増になるから、なくされたのだ――と考えようとしていた。
 ※歯で咀嚼するためには頭蓋骨の周りに筋肉をつけねばならず、それも不利である――と。

 しかし歯を有した翼竜の筋骨を分析すると、どうして、彼らは強力な飛翔者であった。
 となると、食い物が問題なのか?

 やがて古生物学者は糸口を見出した。草食性を強めるにしたがって、トリ似恐竜は、歯が無用化し、歯なしのBeakを発達させたようだ――と。

 歯がなくても摂食しやすい、小型の果実類に集中できるなら、歯を退化させてもよかったのだろう――と。
 ※今のトリは、《草の茎を引きちぎる》という作業が最も苦手なのは事実。春先に巣材として使える可能性があっても、最初から適宜に寸断がされていない草や弦とか小枝(殊にヤナギ類)の引きちぎりは、中型鳥であっても、諦めている。

 歯があった鳥似恐竜を、エナンティオルニス類という。このグループは、ひとつのこらず絶滅した。

 この記者による解説。歯なしBeakを有する鳥類は、死滅した森林の林床に堆積残留していた木の実類を捜索しついばむことで、《隕石の冬》を生き延び続け、森林が復活するまでもちこたえられたのだと。

 ※そこで兵頭仮説。隕石インパクト直後の地球上の植物の茎はすべて有毒・有害であった。木の実、草の実だけが、その毒からフリーであった。歯あり鳥似恐竜は、つい、植物の茎をむしり取って食べてしまうので、毒が体内に蓄積された。また、発芽や幼生の茎を食べられてしまう森林も、植生復活ができなかった。歯なしビーク鳥類だけが、植生復活を邪魔せず、植生と協調しつつ生き延びることが可能だったのだ。

 ビークだけではトリ類のサバイバルに十分ではなかった。強力な「砂嚢」が発達したことも、鳥類を助けた。ビークによってタネを丸呑みし、砂嚢によってそれを粉砕して消化できることが有利だった。

 白亜紀末にすでに、今のアヒル、オウム、ニワトリの祖先は存在した。彼らが生き残った。
 隕石の冬の時代、多くの鳥類は、脳のサイズを維持しつつ、全身のサイズを縮小させた。
 他の恐竜と比較して、それら鳥類は、頭の良い生き物に進化した。

 次。
 Jana Puglierin, Jose Ignacio Torreblanca, George Tzogopoulos, Tara Varma, Arturo Varvelli 記者による2020-9-16記事「Views from the capitals: Gas conflict in the eastern Mediterranean」。
    キプロス島の近くでガス田が発見されたので、ギリシャとトルコがまた緊張している。リビアも黙っていない。

 6月、トルコの軍艦が、フランス海軍のフリゲート艦に照準レーダーを合わせた。フランスは一時、NATO演習から抜けることにした。
 フランスは、ギリシャ、キプロス、イタリアを糾合して、トルコの侵奪的な資源支配政策に対抗させようと考えているところ。

 ※中共は黄海上の重量物運搬船から宇宙ロケットを発射し始めた。この意味は深い。重量物運搬船はみずから半没してまた浮上するという操作が自在。だから、SSBNのキャニスターが機能するかどうかの実験もたやすいのだ。じっさい、宇宙ロケットはコールド・ラーンチされていたから、SLBMと変わりがない。これで、アメリカに対して、射程1万km級のSLBMを持っているぞと暗に主張できる。いずれはホンモノの巨浪の最新バージョンを、米海軍の潜水艦が入り込み難い渤海から模擬発射実験することもできよう。それを搭載するじっさいのSSBNは海南島に配備するしかないが、実験だけは、渤海でするのが安心だ。浅すぎる黄海のデメリットを、メリットに転換できる可能性を、彼らは発見した。

 次。
  CHAD GARLAND 記者による2020-9-16記事「‘Marines make excellent soldiers’: Over half a Marine tank company just joined the Army National Guard」。
    徐々に廃止されることになった米海兵隊の戦車部隊。彼らは失業するのか?
 そうではない。なんと陸軍の兵隊として再出発するのだ。身分が変わり、陸軍の州兵に所属替えとなるのである。

 先陣を切ったのは、海兵隊の第四戦車大隊の「C中隊」に属していた予備役たち39人。このたび、アイダホ州兵陸軍に登録された。
 なお、C中隊は先月、解隊された。

 アイダホ州兵陸軍の第116旅団戦闘団は、改修されたM1A2を装備している。

 最終的には800両以上の海兵隊のM1戦車とその関係隊員が、身の振り方を考えねばならない。これから10年で。



「地政学」は殺傷力のある武器である。〈新装版〉 ニュー・クラシック・ライブラリー