米西部が異常乾燥しているなら、代わりにどこかが大雨になっているはずだ。それはどこだ?

 Thomas Newdick 記者による2020-9-15記事「Here Is The Surprise Choice To Become Germany’s Standard Assault Rifle」。
        ドイツ連邦軍は、定評のあったヘックラーウントコッホ社製の「G36」に替わる新小銃として、ほぼ無名のC.G.ハエネルという国内メーカーがつくったアサルトライフルを選定した。

 名称を「MK556」といい、内部機関は、米軍の「AR15/M4」カービンに近いそうである。

 国際的には無名だが、ドイツ国内では、これのセミオートマチックバージョンが「CR223」の名ですでに警察装備になっている。それはまた複数の国へ輸出されている実績もあるのだ。

 国防相は15日に選定を発表した。正式契約はまだなので、これからHK社が法手続き論を衝いて反撃すると、決定が覆るかもしれない。HK社は「HK416」および「HK433」を提案していたが、両案ともに国防省から斥けられた。

 「G36」は1990年代なかばに制式採用されているが、熱地で長時間交戦しているうちに機能に問題が出てくるとウルスラ・フォン・デア・レイエン国防大臣は指摘している。
 また、急激な気温変化によっても不具合が発生し、弾道が乱れるという。

 新小銃に要求されていたこと。5.56ミリにも7.62ミリにも対応できること。短銃身バージョンもあること。
 左利きの射手でも何の問題もなく操作できること。
 重量は弾倉やアクセサリー抜きで7.9ポンド以下。
 機関部は3万発の寿命があること。銃身寿命は、ボール弾で1万5000発、AP弾で7500発あること。
 また特に指定されたアクセサリーとして、サイレンサー、ドラム弾倉、二脚がある。

 チューリンゲンにあるハエネル社は1840年の創立。冷戦期には東ドイツの小火器メーカーだった。そこで別な社名でカラシニコフ系の小銃を生産していた。2008年に旧社名に戻る。げんざいこの会社の資本オーナーは、UAEにある持ち株会社〔事実上、王族とイコール〕である。

 ドイツ再統一後のハエネル社は、2016年から「G29」狙撃銃を政府に納品しているが、小火器の全分野におけるHKの支配的地位は崩せなかった。

 「MK556」のMKは、マシーネンカラビナー(マシンカービン)の頭文字。
 内部機構はほぼAR-15/M4なのだが、ガスをそのまま吹き付ける方式ではなく、オーソドックスなガスピストンを採用し、フレーム内の汚染を回避している。

 HKとの比較テストでこの銃は好成績を示し、なおかつ、単価も低いので、そこが買われた。
 なお、ラインメタル、オーストリーのステイヤー・マンリッヒャー「RS556」、Sigザウエル「MCX」も名乗りを上げていたけれども、早々に敗退している。

 HK社は1959年から西独軍に「G3」アサルトライフルを納品してきた。近年ではフランス軍とノルウェー軍に「HK416」を供給している。ビンラディンを射殺したシールズの「チーム6」も、「HK416」を撰んでいたのである。

 ※メルケルが東独出身だから、贔屓があるんじゃないかと疑われても仕方がないが、値段が安いんだよといわれれば、それは今のドイツでは説得力がある。記事の中に『ゾルダト・ウント・テクニク』誌が引用されているので、ハッとした。むかし渋谷のパルコの地下書店で『ソルジャー・オブ・フォーチュン』などとともに立ち読みしていたあの雑誌、まだ在ったのか!

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 James Temple 記者による2020-9-17記事「Suppressing fires has failed. Here’s what California needs to do instead.」
     カリフォルニア州の過去の火災の規模上位10件を合計したよりも大きな被害が、今、出ている。
 面積にして320万平方エイカー。これはマサチューセッツ州の半分と等しい。すでに4200棟が燃え落ち、火事難民が数十万人も発生している。

 ある学者は提案する。昔、やっていたように、山火事が起きる前に、計画的な「野焼き」をするべきである。その政策を復活させねばならない、と。

 それによって山火事が根絶されるわけではないが、規模は確実に抑制される。
 米国における、州政府による「計画野焼き」のはじまりは、1910年の大山火事が契機になった。この火事で、アイダホ州とモンタナ州にまたがる300万平方エイカーが焼け、90人が死んだ。
 二度とこのような山火事は起こさせないぞと、そこで人々は誓ったのだ。

 1935年には米連邦森林局が「山火事は、発生日の翌日の午前10時までに消す」という、早期発見&迅速対処ポリシーを公式に打ち出した。

 この政策が仇となった。何十年も山火事が意欲的に消火されてきたことによって、山火事の燃料となる枯れ枝、枯れ葉が、うずたかく堆積される一方となったのだ。これがいっぺん燃え出したら、もはや手がつけられない。生きている高木も、樹冠まで丸焼けにされてしまう。

 過去何年か、シエラ・ネバダ山域では降雨が少なかった。これまた、広域山火事を避けがたくする。
 降雪が減ってくれれば樹木の成長も遅くなる。ところが、降雪は逆に増えたから、森林は育ちまくり、なおかつ夏が乾燥して高温。山火事を待つばかりの環境となった。
 芝刈り機のスパーク、切れた送電線、落雷などをきっかけとして発火し、秋の強風が延焼を助勢する。

 森林の中に広い幅の「防火帯」をつくらねばならない。そこでは、生きている樹木もあらかじめぜんぶ切り倒し、野焼きしてしまうことだ。
 また、自然発生した山火事のすべてを消火するのではなく、住民に無被害なものは放置する決定を下すことにより、森林の燃料堆積を緩和することだ。

 2018年に一委員会が提言したこと。毎年110万平方エーカーを人為的に野焼きする。さすれば、20年サイクルで、森林の火災危険度は制御される。もちろん作業員の人件費がかかる。野焼き1エーカーにつき200ドル以上かかる。伐採作業もするなら、1000ドルにもなるだろう。

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 ストラテジーペイジの2020-9-17記事。
 米軍はイラクやアフガニスタンから撤収するのにあわせて、四軍の将官(准将~大将)の数を5%削減したい。

 WWIIの終了時、米軍の将官/提督ひとりにつき、部下は5400人いた。
 1991年、それは3400人である。つまり将官の密度は冷戦中に、WWII当時よりも増えたのだ。
 2010年時点では3000人。さらに増えてしまった。

 これでは、何を決定するにも実行するにも、ハンコをつく中間管理者が多いために、時間がかかってしまう。



兵頭二十八の防衛白書2016


兵頭二十八の防衛白書2015