127ミリのライフリングを削ったら130ミリになる。ドイツ新作の戦車砲。

 ストラテジーペイジの2020-9-28記事。
    米空軍による先般の実験。陸軍のM-109自走砲からハイパーヴェロシティ発射体HVPを撃ち出させ、それによって、露軍の巡航ミサイルを模したターゲットを空中で直撃した。

 米海軍は艦裁127ミリ砲からHPVを20発撃ち出す試験を2018に済ませている。が、それは誘導砲弾ではなかった。今回のHPVは誘導砲弾である。ただし炸薬はゼロ。

 HVPのレンジは80kmに達し、最大飛翔速度はマッハ7.3である。すなわち1秒で2.5km進む。ライフル銃弾の2倍以上だ。この速度があれば、炸薬は必要ない。当たっただけで対象は爆砕される。

 装薬は普通なのである。つまり弾丸が普通ではない。
 密度の小さい剥落式外套(ディスカーディング・サボ)に包まれて打ち出されるから砲熕内でやたらに加速される。砲口外では外套が離れ、芯の細いダーツ状の弾丸だけが超高速ですっ飛んでいく。

 弾丸には加速用のロケットも組み込まれている。

 従来、この高速ダーツの飛翔を空気中で制御する誘導が難問だった。今回の実験成功は、米国が、この難題をクリアしたことを示す。

 127ミリのHVPは1発9万ドルと安い。これを艦載の5インチ砲なら1分間に15発、発射できる。
 つまりESSMで個艦自衛するより、安価になる。
 ミサイルをミサイルで迎撃するのではなくて、飛来する敵の対艦ミサイルを、艦砲で阻止できるようになる。
 今回、ターゲットを撃墜した距離は非公開である。