北鮮版ICBMとやらの意味。それはBMEWSとしてのAN/SPY-7を日本が買うしかなく、したがって日本本土の防衛は不可能にされるということ。

 KIM GAMEL 記者による2020-10-11記事「North Korea flexes its muscles with new ICBM ahead of US election」。
  北鮮が偵察衛星に撮影されたくなくて深夜のパレードに引き出したICBMは液燃で、実験もされていないもの。2017に最後の発射実験をした「火星15」の拡大版だろう。
 アピールとしては、トランプの別荘があるフロリダ州まで核でカバーしますので、来年1月以降の交渉よろしく――というところなのだろう。

 移動発射台車は22輪である。新型で、もちろん最大。ブルース・クリングナー氏(元CIAの朝鮮担当)いわく、これは中共から輸入したものではなく、国産らしいと。

 ※北鮮からフロリダに向けてICBMを放つと、その大圏コースは、樺太上空を横切る。NYCに向かうものだと、さらに北寄りのコースだ。だから米国としては、BMEWS(Ballistic Missile Early Warning System)としてのレーダーサイトの最前縁を、日本の北海道の、できれば稚内とか利尻島あたりに置きたいはずなのだ。アラスカとハワイに設置予定のAN/SPY-7は、まさに対ICBMのBMEWSなので、それとおなじレーダーを。しかるにロックマート社製のAN/SPY-7とレイセオン社製のスタンダードミサイルとはさいしょから相性が悪い。だから、AN/SPY-7を日本が買っても、中共から東京に向けて発射される水爆ミサイルの迎撃には直接の役に立たぬ。20年以上の時間をかけないと、AN/SPY-7とスタンダードミサイルの組み合わせシステムは、ソフトウェアが完成しないためだ。20年後には中共も北鮮も存在していないだろう。それはめでたいことなのだが、今この問題の処理を誤ると、それより先に東京が、放射能の廃墟と化しているかもしれないわけだ。



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