▼小松冬彦・他『高射砲兵団』S60
千島の話。
離島では、AA砲はぜったいにムダ撃ちしては×。
アッツでは野犬が出るので、夜は棒を携帯する。
AAには、「要地防空」と「野戦防空」の区別がある。
75ミリAAGは2門で1個小隊である。
大発から7.7ミリ重機でPB-24Yを射撃したところ、タマがピンピン跳ね返っているのがよく見えた。むこうからMG攻撃してきたので、反撃したのだが。
アッツ増援の前線基地としては、幌延島の柏原。
キスカ撤収部隊も、いったん柏原に着いた。
船路角ゼロ=わが陣地に向かってくる。
高度は……。
航速は……。※これは陸式。
75ミリの砲弾が2発入った木箱は、重さ30kgある。
75ミリAAG×1門が1個分隊。その人員は12名。
▼小野寺庄逸『天神明進流兵法(柔術) 上巻』H8
うつぶせにした敵の膝を制するのに、我が右拳を敵右カマチへ当て、我が左手にて敵の右つま先を握り、敵の頭の方へ折り曲げる。これだけでキマる。
あおのけに倒した敵の脛を上からストンプするだけで相当のダメージを与え得る。
巴投げと見せてじつは下からキンを蹴り上げる。
絶流しかかっている派を記録している人がいる。島津兼治という人。機関紙あり。
▼『天神明進流兵法(柔術) 中巻』H9
三光[さんこう]という技がある。
【月國】[かまち] の下が 腓[こむら] である。
巴投げをかけられそうになったら、逆にこっちから膝で敵のキンを上から圧し、片手で首を絞める。
立っている男の首を喉輪で押し倒すときは敵の前近足を同時に踏んでおくこと。
▼『天神明進流兵法(柔術) 下巻』H9
敵人を殺さずに捕うる方法。2刀をクロスさせて、転ばした相手の首を下におさえつけるように地面に刺す。
短いエモノを逆手に握るのは、敵のエモノを受けたその手ですぐ敵手首を掴まんがため。
▼防研史料 『?』S19-9
「極小円匙」というのがある。
「十字ぐわ」と書いてある。
タバコの火は夜間の連絡合図に使える。
支援のMGは、敵をして最後まで頭を上げさせないようにするもの。
「直突射撃」しながら行け。※銃剣術の直突の姿で発砲しろということ。肩付けしない。
できるだけ匍匐で近づいてから立て。手榴弾を投擲し、爆発の瞬間を利用して。
夜でも大規模に煙を使え。
ソロモンでは、敵は前方に潜入斥候を派して、その斥候から電話連絡をさせていた。
ところが中部太平洋とタロキナの頃から、敵は無人のマイクロホンを利用するようになった。
これはいまのところ、架空有線で日本兵の声を集めている。
地中振動を拾うマイクはまだ使っていないようだ。そのような報告はない。
マイクを単に破壊すると、こっちが気づいたと敵が悟るので、まずコードをアースして、マイクを破壊し、ふたたび線だけつないでおけば、敵は騙される。
米軍の81ミリ迫撃砲を完全に禦ぐには、径30センチの丸太を並列して掩蓋とし、その上に80センチ厚に積土せよ。
97式曲射歩兵砲は、分解して運搬するのが簡単。
37ミリ速射歩兵砲は、スペードに橇を縛り付ければ、3人で引っ張って行けるぞ。
3式地雷、93式地雷、棒地雷、炸薬5kg入りの急造地雷、火焔瓶、破甲爆雷を役立てろ。
▼防研史料 〔箱まる39/240〕『輸送船遭難時に於ける軍隊行動の参考』S18-11
輸送機が海上に落ちたときは、火災が起きていなければ、かなりの長時間、浮いているものだから、パニックになるな。
輸送船には将校を分散して乗せること。潜水艦にやられたときに、避難の指揮がとれるように。
最初から縄梯子を、艙口から船艙内まで垂らしておけ。さもないと脱出ができなくなる。魚雷1発でふつうのハシゴはぜんぶ外れて消し飛ぶから。
できるだけ懐中電灯を持たせろ。魚雷1発で船内は真っ暗だから。
燃料や、爆発物は、甲板に積んではならない。空襲でイチコロ。
航空爆弾がフネに命中すると必ず火災が発生する。消すべし。
舷側にはさいしょから救命綱をなるべく多く吊るしておけ。
細紐は常に身につけていろ。海上の漂流物に身体を結びつけるのに便利だから。
竹筒に、漂流食をいれておけ。
輸送船上からモノを捨てるな。敵潜水艦はそれをヒントにして追躡してくる。
携行食は、乗船する時点で各人へ分けてしまうこと。水筒は常に満水にしておくこと。
潜水艦が出そうな夜は、一兵も眠らせるな。
「船は大丈夫だ」の一言が大事。
マッチは塗れて使えない。拡大鏡のレンズが頼りになる。
出港前に、救命胴衣を着せて、海へ突き落とす練習をしておいた部隊は、生存率が高い。
▼防研史料 〔293〕『敵の砲兵射撃界を通過する為の歩兵隊形の研究』大6-7
75ミリの野砲は、距離5000m以上だと、届いても無効。弾着は散らばるし、修正もできん。
敵砲兵に対して5000m以下に近づいたら、歩兵は気をつけろ。
コツは、正面巾を狭くし、縦隊で敵陣へ迫ってゆくこと。
たしかに榴霰弾1発で全滅するリスクはあるが、それよりも、敵砲弾が横に外れてくれる確率の方が、はるかに大なのだ。
ただし、距離3000m以下では、敵の砲撃は、タテ・ヨコともに正確になる。
5000mから3000mは、中隊ごとの縦隊で行け。
3000m以内では、なるべく「浅薄横広」な隊形にしろ。分隊の1列縦隊は、仕方ないが。
敵陣から3000m以内では、こっちの移動速度によって敵弾をかわすことはできないと知れ。密集しないことだけが、助かる道である。
敵前1500mでは、各個人バラバラに散開し、全体で横隊をつくる。
▼防研史料 〔まる39/222〕『九二式歩兵砲取扱法』S14-8repr. 原S10-12
図多数。
最大射程は3000mである。
全備重量 200kg。
11口径長。
閉鎖機は、四等分断隔螺。
駐退後坐機は、水圧駐退&ばね複坐。
防盾厚は4ミリ。補助防盾が厚3ミリ。
車輪は【車罔】[たが]を除いて金属である。
▼防研史料 〔まる39/224〕 『九二式歩兵砲取扱上の参考』S15repr. 原S13-6
イラスト充実。
タマは内部に漆塗り。
92式榴弾は鋼製。
尖っているのは88式瞬発信管。
蛋形なのは、88式短延期信管。
馬具のこまかな名称をイラスト付きで教示。
▼防研史料 第一幕僚監部『高射砲兵の運用』S28-10
部外秘。
FM44-1(1952版)
Anti Aircraft Artillery Employment の翻訳。
40ミリまたは .50は、各銃を、300ヤードから600ヤード離して並べること。ただし1000ヤードを超えてはならない。
M16(.50 ×4銃)で撃ってよいのは、高度2000フィート以下の目標。それより高空を撃とうと思うな。
防護しようとするものから、300~600ヤード離して、銃座を集中布置する。
守ろうとするモノから半径500mの円内に、M16を点在させる。点在間隔も500m。
その円周からさらに500m外側に拡張された円内に、M16とM19(40ミリ連装)を交互に散らす。やはり、点在間隔は500mとする。
▼田中新三郎『高射砲戦記』S17-11
ノモンハンの話。
3年式機関銃をAA架に載せて、使っていた。
飯をガソリンで炊くと、下は真っ黒になる。しかもガソリンの匂いが残る。
▼河出書房『世界文学全集 II-7 スタンダール』S38
生島遼一tr.「パルムの僧院」
薬莢のやぶきかたさえ知らない兵ども(p.37)。
砲声は、しきりなしのバス。すこしの間隔もない。その間に、小銃の一斉射撃の音。
軽騎兵は剣で斬ろうと思うな。突き刺せ(p.39)。
ネーは双眼鏡をもっていた。
重騎兵の胸甲は霰弾避けであった。小銃弾は止められない。
歩兵射撃は、銃剣間合いに入ってから開始しろ。佩剣は捨てろ。足にからまるから(p.50)。
銃の口火臼[くちびうす]はハンカチで拭いておけ。
将軍よりも戦術がよくわかっている伍長(オブリ)が登場。
騎兵の追撃を受けたとき、こっちが1人なら助からないが、5人なら助かる。
逃亡兵とスパイをとりしまる憲兵が、いたるところに。
※この小説にはナポレオン戦争のディテールが満載なのだが、事情により、第6章の途中までで読書を中断してしまった。