こんどはソマリアからの撤退か。

 Rachel S. Cohen 記者による2020-10-13記事「Hypersonic Attack Cruise Missile Becomes High-Priority USAF Project」。
       米空軍が2種類のハイパーソニック巡航ミサイルを密かに開発中であることは2019-7に『エヴィエーションウィーク』誌がスッパ抜いていた。
 これについて空軍の兵器開発担当のコリンズ准将が『エアフォースマガジン』誌のインタビューの中で認めた。

 HACMは大気をとりいれてエンジン燃焼を維持する。このため軌道は比較的低空であり比較的短距離。

 もうひとつのARRW=空中発射型迅速反応兵器 は グライダー。大気中で発射され、ロケットで加速され〔たあとはエンジンは止ま?〕る。
 ※記事では詳説されていないが、名前から推して、かつて提案されていた、非核のSLBMの代役になるような戦略射程の通常兵器なのか? ローグネーションの指揮所を直撃する首狩り用途の……。

 HACMは従来の戦闘機や爆撃機から運用される。
 発射直後の加速は固体ロケットを吹かす。

 もっと大きく、多用途な「メイヘム」も構想されている。攻撃のみならず、たとえば片道の偵察飛行もさせられるようなもの。吸気型のハイパーソニック巡航機体を使う。

 ARRWはブースターによる加速テストが2020末までに行われ、来年春には飛行テストへ進む予定。B-52に吊るして空中の様子を見るテストはもう了った。

 次。
 Patrick Tucker 記者による2020-10-13記事「Chief of Naval Operations Outlines Future for Drones, Minicarriers」。
       海軍作戦部長のマイケル・ギルデイ提督が、雑誌の『ディフェンスワン』のインタビューに答えていわく。
 大型正規空母の必要数は将来、減る。と同時に、航空機を離発着させられる軍艦の数は、むしろ増やされるだろう、と。

 どうなるかは、将来の無人機の性能にかかってくる。今、有人艦上機がやっている仕事を、それより小型の無人機でできるようになったら、大型正規空母は要らないわけである。その小型無人機を運用できる小さい排水量の軍艦が多数あればいい。

 それを「軽空母」と呼ぶべきではない。人々のイメージを限定させてしまうので、よくない。「(未来型)航空戦闘艦艇」と呼ぶべきだろう。

 先週、マーク・エスパー長官は、米海軍の2045年の姿として、いま11隻ある大型正規空母の数を8隻まで減らすかもしれないと構想していることを公言した。

 エスパーは、各種の「艦上/艦載型無人機」の開発が必要だとも注意喚起した。電子戦、早期警戒、空中給油、さらには空対空戦闘を担当させるモノである。

 2015年にDARPAと海軍はノースロップに9300万ドルを払って、全長40フィートの艦載無人機の開発を依頼している。固定翼機ながら、艦艇の上甲板から自力(多発プロペラ)で垂直に発進し、巡航はノーマルに水平飛行し、帰艦時にはまた自力で垂直に着艦する。これを偵察や通信の中継などに活用する。げんざい、同機の開発はフェイズ3だという。

 次。
 Dan Nosowitz 記者による2020-10-6記事「Grapefruit Is One of the Weirdest Fruits on the Planet」。
       グレープフルーツには、人体におよぼす薬剤の効果に著しく干渉する作用があること。これは、1989年に偶然に発見された。

 柑橘類の祖先は簡単に分類すると3つある。シトロン(ブシュカン)、ポメロ(ザボン)、マンダリン(黄色だいだいミカン)だ。いずれも南アジアにルーツがある。
 これが、いろいろに、かけあわされてきた。

 ポメロとマンダリンから、サワーオレンジ(だいだい)ができた。そのサワーオレンジとシトロンから、レモンができたのである。

 いま、米国人の好む商品になっている柑橘類のグレープフルーツは、1600年代なかばにカリブ海のバルバドス諸島で誕生した。
 ヨーロッパ人は南アジアから雑多な柑橘植物をもちこんで西インド諸島に移植していたのだが、その結果、偶然に、ハイブリッドができてしまったのだ。

 どのように創造されたのかは、記録上、まったくの謎である。
 グレープフルーツという名詞も1830年代にやっと登場するので、それ以前は、違う名前で知られていたのだろう。

 グレープフルーツは、カビから身を守るために防禦物質をつくりだしていた。それが人間の体内で、たとえば血圧を変化させる投薬の効果を、やたら長引かせたりするように作用するらしい。

 アンフェタミンや、コレステロールを減らす薬、バイアグラなどを含め、約100種類もの薬品が、ほんのわずかなグレープフルーツジュースのせいで、人の体内で、その所期効果を撹乱されてしまうことが分っている。



兵頭二十八の農業安保論