米陸軍はカウアイ島のテストでハイパーソニック弾を誤差6インチで命中させた。

 Tanner Garrity 記者による2020-10-15記事「The Pandemic Killed the Bench Press. Here’s How to Replace It.」。
      新コロのおかげで、ジムでベンチプレスすることが難しくなってしまった米国。1950年代いらい米国人男子は女子よりもじぶんの「胸囲」増強に関心が高かった。だから彼らはベンチプレスが大好きなのに……。

 だが専門家いわく。スタンディングポジションからのリフティングにくらべて、ベンチプレスは動員する身体の部位が局限されていて健全じゃなかったので、このさいベンチプレス抜きの筋トレに転換する好いチャンスだろうと。

 たとえば平行棒の間で自分の体を持ち上げる運動。上体をまんべんなく鍛えたいのであれば、こっちの方がずっと合理的なのだという説あり。ベンチプレスと違い、傍らで事故が起きないか見張る係も、居る必要はない。
 腕立て伏せでベンチプレスの代わりをしたい場合は、「肩幅より広く両手をつく」「足を高い台に載せてする」「片手だけでする」の三種類を試すがよい。

 次。
 Rachel Lance 記者による『SMITHSONIAN MAGAZINE』3月号の記事「The New Explosive Theory About What Doomed the Crew of the ‘Hunley’」。

 1864年2月。
 南軍の人力潜航艇『ハンレー』は、湾の引き潮に乗って『ホサトニック』に近づいた。
 チャールストン港を封鎖中であった『ホサトニック』は船体中央部の底に爆発を感じた。急速に沈み始め、艦首部に位置した水兵すら、こりゃもうダメだと直感できたという。
 この爆発と沈没で北軍側には5人の死者が出た。
 寒かったはずだ。
 潜航艇も、二度と浮上しなかった。
 みずからの「スパー・トーピドー」の爆発に巻き込まれたのだ。
 沈んだところの深さは30フィートであった。
 ひとりの懐中時計は午後8時23分で壊れて止まっていた。

 この潜航艇は2000年に引き揚げられ、詳細に調査された。
 乗員が整然と着席したまま死んでいたので、謎が深まった。
 その謎を、記者はついに解明した。

 記者は水中爆傷の専門家である。海軍嘱託としてWWII中の症例を調べまくったことあり。

 長筒形の潜航艇『ハンリー』内部には7人の男が横向きに並んで腰掛け、目の前のクランクを両手で回していた。
 クランク軸はセンターより右に寄っていたので、男たちは左舷に腰掛け、釣り合いを保っていた。

 スパー・トーピドーは海面下8フィートに位置した。艦首から延びるスパー棒の、取り付け角は、マイナス45度であった。スパー棒の長さは16フィートであったことが、サルベージの結果、判明している。

 トーピドー本体は銅製の樽で、中味は135ポンドの黒色火薬。発火は、大砲用のニップルキャップ(外装雷管)を、ばね仕掛けのハンマーが叩くことによる。

 ハンリーの乗員たちは、艇外への脱出を試みた様子が無いと認められた。
 記者は『ハンレー』の艇内容積から、乗員が酸素不足(二酸化炭素過大)を感じて苦しみ出し、さらに酸素濃度が減って気絶するまでには、30分から60分の時間があったはずであることを算定した。
 したがって彼らの死因は窒息ではない。とすると、考えられる原因は、爆圧だ。

 クルト・ヴォネガットという人が、WWII中にドレスデン市で、防空壕の中で大量死した住民たちの死体が腐る前に移動させるという仕事をしていた。かれの証言によると、死者たちは皆、壕の中で、苦しんだ様子もなく、椅子に座った姿勢のままで死んでいたという。
 これは焼夷弾のせいではなく、HE爆弾のせいだという。

 ※この部分は非常におかしい。地下壕には爆圧は空気を伝わって到達するはずだからだ。もし防空壕の中で爆圧による大量死が起きるならば、同じ現象が、WWIのトレンチの中や、ベトナムのトンネルの中でも観察されるはずだろう。そんな話は聞かれないのである。

 音は水中を毎秒1540m進むが、空気中だと毎秒30mしか進めない。
 人体も水でできているようなものだが、肺胞には空気がある。そのため、もし人体にまで音が秒速1540mで伝わってきたとすれば、音波は、肺に於いて急減速するから、人体は打撃を受けるだろう。

 制動されて行き場を失った音速のエネルギーが柔軟な組織を破壊する。肺の中で「スポーリング」という現象が起き、肺胞の中を血液飛沫が飛び交い、ガス交換ができなくなってしまう。

 どのようにして『ハンレー』の艦内に衝撃波が伝わったのかは、よく分らない。しかしそれは伝わり、乗員は肺を破壊されて全員が急死したのである。

 ※この説明にも疑問がある。潜航艇の内部がすでに空気の空間なのだから、水中音速の旧減速・およびスポーリングは、人体内ではなくて、一重金属であったHullの内壁においてまさに起きるのではないのか? それに、WWIとWWIIとで、至近距離での爆雷爆発から生還した潜水艦の内部で、記者の主張する『ハンレー』のような現象が起きたという話を、潜水艦のどの部署(一重船殻部位を含む)であっても、聞かないではないか。

 記者は、大学内で爆発実験ができないので、農家の池を借りることにした。
 そして地域の、「アルコール・煙草・銃器取り締まり局」から正規の手続きにより黒色火薬20ポンドを調達。

 小型の模型潜航艇の内部に計測装置を仕掛け、283グラムの黒色火薬を何度も水中で爆発させて、圧の伝わり方を調べた。
 教訓。水中で音圧を測る計器は、どの方向から来る圧も拾えるタイプでなくてはならない。これ、重要。

 人間を宙に吹っ飛ばすような力はぜんぜんないレベルの、比較的に軽度の爆圧であっても、この、肺胞破壊を起こすポテンシャルは、あるのだ。
 ※それでパルス状のソナーにやられた海中哺乳類が苦しくなって岸に上がるのか?

 魚類は、この爆発性の水中音波に対して、耐性がある。というのも、体内に肺胞がないから。〔浮き袋があるが、それは呼吸とは無関係で、即死にはつながらないから。〕

 記者レイチェル・ランスの著作は2020年4月7日に出版されている。



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