MQ-9リーパーの拡大型である「スカイガーディアン」が欧州空域を飛んでもよいという安全技術認証をクリアし、これから輸出が試みられる。

 Metin Gurcan 記者による2020-10-19記事「Turkey approaches point of no return on employing Russian air defense system」。
    10月16日にトルコはS-400を1発、試射した。場所は黒海沿岸、シノプ市の近く。
 19日までにさらに発射する可能性がある。
 S-400は最大400km飛ぶ。

 2019-11にはトルコは自軍のF-16とF-4をアンカラ郊外の基地から飛ばした。トルコはS-400の高射大隊を4個、すでに保有しており、F-16のレーダーへの映り具合がテストされたものと見られる。

 トルコは4個のS-400大隊のうち2個はエーゲ海~東地中海に、1個は黒海に、1個はシリア国境かアルメニア国境に展開するつもりだろう。

 米国の民主党議員は、トルコを制裁しろと議会でせっついているが、トランプは乗り気ではない。
 トルコは、11-3選挙でバイデンが勝ち、対トルコの制裁が強化されると見て、対抗策を構築中なのである。

 トルコは、米国がシリアでクルド人を後援しているのがどうにも気に食わない。
 トルコ国内は不況である。エルドアンの基盤政党は、庶民の有権者をよろこばせるニュースが欲しい。

 同時にトルコはウクライナと安全保障上の協力を深めつつあり。黒海を共有し、どちらもロシアと対峙する。

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Paul McLeary 記者による2020-10-19記事「Navy Plans Hammerhead Mines To Box In Chinese, Russian Subs」。
    先週、米海軍は、「ハマーヘッド」ロボット機雷の最終設計についてのRFP(提案要求)を発した。
 チョークポイント海峡にそれを投入しておけば、数週間にわたって、敵の潜水艦の出入りを自律的に見張り、魚雷攻撃してくれるロボットだ。

 短魚雷である「マーク54」を内包した繋維機雷になるだろう。
 海軍は、FY2021中には30セットのプロトタイプを得たい。さらに2023年には本格試験できるようにしたい。
 ハマーヘッドは、米海軍や同盟国海軍の潜水艦は攻撃しない。敵潜だけ攻撃する。

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Karen Hao 記者による2020-10-20記事「A deepfake bot is being used to “undress” underage girls」。
    2019年6月に「ディープヌード」というAIアプリがあらわれた。これはユーザーが50ドルを払って手持ちの女性の着衣写真を送れば、AIによって精巧に裸体化された写真が戻ってきます、というものだった。
 猛然たる反発が起きたらしく、アプリ公開から24時間にして、ソフトウェアの作者は「ディープヌード」を引っ込めた。

 これが最近、復活しているようだ。「テレグラム」というメッセージアプリの中で、ボットが窓口になって営業している。
 女の着衣写真を送れば、数分後に、裸化された写真が返ってくる。「ウォーターマーク」付きの画像ならば、無料である。「ウォーターマーク」を外した写真が欲しい人は、100ルーブル(およそ1ドル50セント)を支払う――というビジネスモデル。

 2020年7月時点ですでに10万回、このサービスは利用された。
 このアプリが特に問題視されるのは、あきらかに低年齢の未成年に見える少女たちの写真が加工されている場合があること。

 このディープフェイク・ボットは2019-7-11に登場している。
 「テレグラム」の中には加工した裸写真の出来を競うフォーラムがあり、そこで「いいね」をたくさん獲得した者には、優待アクセス権がボットから与えられるという。

 いまのところユーザーの7割は、ロシア語圏の男たちだ。
 加工素材となる女子の写真は、個人撮影の写真が多いものの、インスタグラムから拾われている場合もある。


 この技術は、「ディープフェイク・リベンジ・ポルノ」を可能にするだろう。
 2019年に米国心理学協会は警告している。12人に1人の割合で、女性は、いつかリベンジ・ポルノの被害者になると。
 また豪州政府の調査によると、豪州、英国、ニュージーランドに限れば、リベンジ・ポルノ被害は、女性3人に1人の高率だと。
 このハラスメントのあたらしい特徴。被害者は、そのような写真が出回っていることを知らない場合が多い。
 インフルエンサーやユーチューバーのディープフェイク写真を、そのスポンサー達に送りつけるというイヤガラセも起きている。巨額の損害につながる営業妨害だ。

 裸化アルゴリズムは、さっそく、動画にも適用範囲を広げつつある。ビキニのモデルがランウェイを歩く姿をそのまま裸化したものがある。
 しかし現段階では1フレームごとの加工が必要で、技術はまだ初歩的だと言える。

 フェイスブックやグーグル社は、ディープフェイクを自動的に見破って警報するソフトを開発して普及させるべきである。そういう責任があるはずだ。



文庫 「日本国憲法」廃棄論 (草思社文庫)