ケツの穴の小さなボスには、すでに一家を成した者はついて行かない。外部の実力派エリートは参集しない。それがトランプ陣営の敗因。

 Tom Joyce 記者による2020-11-14記事「Bernie Sanders as labor secretary would be (mostly) bad」。
       ヴァーモント州選出の上院議員でもあるバーニー・サンダースは、もしバイデンから労働省長官をオファーされたら、それを承ける、とCNNのインタビューで語っている。

 しかしもしこれが実現すると、好い結果にはむすびつかないだろう。

 サンダースは AFL-CIOのような巨大労組との結びつきが強いので、新政権との橋渡し役には適役である。
 だが、バイデンは労働ビザの拡充に前向き。かたやサンダースは、低スキルの外国人を入れるから米国人の労賃が上がらないのだという立場だ。タダ働きを認める企業インターンシップ制度にもサンダースは反対する。

 サンダースはどこから見ても社会主義者なので上院多数の共和党が承認させないだろう。バイデンも社会主義者ではないのでサンダースと心中はしないだろう。

 ※メキシコ人を入れないという方向性ではサンダースとトランプは一致していたわけである。老人なのに権力欲があるサンダースが、民主党の大統領候補から脱落したときこそ、トランプ陣営には、彼を取り込むというウルトラCのチャンスがあった。副大統領候補扱いしなくても、閣僚級待遇は約束できたはず。それでどれほど選挙戦が有利になったか計り知れない。最左傾州にしてカマラの地盤でもあるカリフォルニア州を、ガタガタにしてやれただろう。

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 Thomas Newdick 記者による2020-11-16記事「NSA Spied On Denmark As It Chose Its Future Fighter Aircraft: Report」。
      デンマークメディアがすっぱぬいた。
 その報道によると、米国のNSAは、デンマークの財務省、外務省、そしてF-35開発に協力している企業であるテルマ社の交信を監視していた。

 デンマーク領のアマゲル島に、デンマーク国防情報局のデータセンターがある。その建設にはNSAが手を貸しており、事実上、NSAも使用している。デンマーク領内を通過する光ファイバー通信線は傍受され、データはそこに溜められている。

 デンマークはその空軍装備機であるF-16をF-35で更新するという決定を2016-6に下しているが、この決定がなされるかどうかにNSAは2015から集中的な関心を向けた。
 とうぜんながら、タイフーンを提示していたユーロファイターCmbH社、グリペンを提示していたサーブ社の通信記録も、アマゲル島のデータセンターに溜まっている分が調べられた。グリペンは2014にコンペから脱落しているが。ちなみにもうひとつの対抗馬はボーイング社のスーパーホーネットであった。

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 Roger McDermott 記者による2020-11-16記事「Russia’s Interest in UAV Strike Capability Gathers Pace」。
   露軍幹部は2000年代後半までUAV革命がおきていることを気にしていなかった。とつぜん気づいたが米軍との懸隔はもう埋められなかった。
 西側ならば、UAVのサブシステムを市場から選んで開発時間を節約できる。サブシステムに詳しい技術者層も厚い。ロシアにはそのすべてがなかった。一つの事業体で、川上から川下まで面倒見切れるわけがない。
 これがロシアにいまだに攻撃型UAVやスウォーム特攻機が無い理由。

 ※香港人と台湾人が尖閣に強行上陸してから24年経つわけだが、日本の砲兵界はその間に、99式と19式という、射程がせいぜい60kmしかなくて、ヘリコプターで運ぶこともできない、尖閣有事には何の役にも立たない無駄な装備の開発にうつつを抜かしてきた。また、沖縄本島から尖閣海域まで400km、先島群島からは200kmあるのに、射程が「百数十km」しかない12式地対艦ミサイルなどをこしらえていた。日本は兵器技術で提携すべき相手先を見間違えている。イスラエルと組んだトルコは、200km先への空爆や、片道500kmの特攻飛行が可能な無人機を運用している。これこそがわが国に必要な「砲兵」なのだ。



文庫 北京が太平洋の覇権を握れない理由 (草思社文庫)


無人機とロボット兵器