Milton Cockburn 記者による2020-12-15記事「The Wrong Side Won: Remembering John le Carre」。
ジョン・ルカレは2017年に語った。冷戦を戦ったアンチコミュニズムはそもそも、西側社会の中にある、個人の自由、党派で排除されないこと、寛容の精神が、戦意の本源だったのである。ところがベルリンの壁の崩壊後、ひとびとは、その貴重な価値観を忘れてしまったようだ――と。
登場人物の善悪を単純に色分けしないで、すべてグレーにするのが、ルカレの主義だった。
善玉は半分悪魔であり、悪玉は半分いいやつなのだ。
冷戦後に書かれたルカレの小説に対する批評家たちの筆は皆、非歓迎的だった。これはルカレの古いファンが満足していないことを反映していた。
ルカレは特に9-11後の米国の対外作戦と、それに同調した英ブレア政権を悪罵した。
2003年のイラク侵攻作戦のさいには「アメリカは狂った」というエッセイも発表している。
この怒りが『完全な友人たち』という小説に注ぎ込まれた。
ルカレは、あまりに甚だしく米国に対して怒ったがゆえに、長年の出版社だったヴァイキング社を離れたのだという。
トランプ政権誕生後に、ルカレの最後の作品が書かれた。その中ではトランプの外交政策が、プーチンとともに、こきおろされている。
ルカレは欧州統合に賛成であり、したがってブレグジットには反対の立場だった。
晩年の数年間は英国に失望していた。
彼は小説家デビュー当時から《元スパイの小説家》と、型に嵌められて紹介されるのが厭だった。しかし最期までそう呼ばれ続けた。

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