大和堆は、秋田県からは400km、北鮮からは500km。

 ストラテジーペイジの2020-12-18記事。
   北朝鮮が「Kumsong-3」地対艦ミサイルを東西両海岸に展開した。
 このミサイルは2015年に試射されていて、そのさいは警備艇から発射され、200km以上飛翔した。
 2017年の試射では240km飛翔した。そのさいは陸上の車両から発射された。

 2017-4パレードの写真から、この対艦ミサイルは、ロシア製の「Kh-35」のコピーである。NATOでは「SS-N-25」と呼ぶ。

 Kh-35は「ハープーンもどき」として1996に完成したが、ソ連崩壊でロシア海軍は2003年までそれを調達しなかった。だからメーカーは必死で外国へ売り込んだ。2006には地対艦バージョンが露軍に配備された。北鮮が入手したのは、これだ。

 初期型のレンジは120kmだったが、2008年に射程が250kmに延長された。初期型の重さが620kgだったのに対して、射程延伸型は670kgである。
 この軽さなので、馬力のあるヘリコプターからでも、発射できる。

 ロシアがこのミサイルを輸出するときの値段は、1本につき100万ドル未満だ。

 しかしロシアはこのミサイルを北鮮に売ったとは公表していない。
 公表されている売り先は、アルジェリア、アゼルバイジャン、ビルマ、インド、イラン、ヴェネズエラ、ベトナム。

 このうちベトナムでは正規のライセンス生産がなされている。
 イランは、無断で勝手にコピー製造していると思しい。
 イランから北鮮にKh-35の技術が渡った可能性がある。

 なお米軍のハープーンは1977からあり、その最終製品は、重さ691kgでレンジ224kmである。

 Kh-35は2015の改良により、シーカーにサーマルセンサーが取り付けられた。また、中間飛翔コースを発射後に指令して変更させることができる。

 北鮮の対艦ミサイルが実戦で当たるかどうかは疑問である。過去の実験では、動かない小船に電波リフレクターをつけて、それを標的にしていた。ということは、サーマルイメージセンサーを実装してなくて、古いアクティヴレーダーがついていることを示唆する。これは軍艦が相手のときは、デコイに欺騙される。

 ※北鮮漁船が誰にも気づかれずに上陸できた「松前小島」から六ヶ所村までは140kmもなかろう。イランの巡航ミサイルがサウジ内陸の石油精製プラントを攻撃したときには、貯油タンクに正確に激突しているから、北鮮や韓国の巡航ミサイルが、日本各地の沸騰水型原発の建屋上層にある燃料貯蔵プールを狙うのも容易であろう。そこには、何のミサイル対策も、施されてはいないのである。



兵頭二十八の防衛白書2016