イカが獲れなくなったのは日本海が温暖化したからだ――という説明がずっとなされてきた。だが真相は、大和堆で中共漁船が根こそぎ乱獲しているせいだった。

 北海道の漁協の政治力がすっかりなくなっているのかもしれない。漁協に政治力があったら、いままで偽報道を許しておくことはなかっただろうに……。

 次。
 Stephanie Kirchgaessner and Michael Safi 記者による2020-12-20記事「Dozens of Al Jazeera journalists allegedly hacked using Israeli firm’s spyware」。
      アルジャズィーラの記者たちが使うアイフォンにスパイウェアが仕込まれていた。そのソフトはイスラエル企業「NSOグループ」製なのだが、発注して使っているのはサウジ政府とUAE政府らしい。

 この事実を発見したのは、疑いを持った記者からスマホを持ち込まれた、トロント大学のデジタル調査の達人「シチズン研究所」。アイホンはマルウェアに強いとされていたが、パッチが当たる前の「iOS14」の脆弱性を衝かれた。

 アルジャズィーラはカタールに拠点があり、カタール政府が資金を出している。※そしてカタールはイランやトルコとのつながりが深い。
 サウジやUAEの政治腐敗にも切り込むので、周辺アラブ諸国は、目の仇にしている。

 「シチズン研究所」によれば、同じスパイウェアが、モロッコのジャーナリスト、ルワンダ政府に反対する人々、スペインの政治家、トーゴの民主派宗教家に対しても、それぞれの政府により、用いられていると。

 どうやってスパイウェアを植えつけるかというと、「ワッツアップ」経由で入るのだという。
 「ゼロクリック」と呼ばれる高度なスパイウェアで、ユーザーが怪しいリンクを踏まずとも、感染してしまうのだという。
 そしてNSO社の特定社員のサーバーに、感染したスマホの情報は全部、モニターされてしまうようになる。雇い主の外国政府は、その特定社員から情報を買う。そんなビジネスモデルらしい。

 ※じつはイスラエル製兵器産業のいちばん有利な売り物は、ソフトウェアなのである。スチールを大量に使うハードウェアで中共その他の新興武器輸出国と競っても値段で勝負にならない。また、国内に基盤のないパーツ(高性能エンジンなど)を組み込まないと完成品を輸出できないシステムでも不利だ。そこはよくじぶんたちで承知しているから、イスラエル政府も電子系の武器産業に公的資金を集中注入して育成を図ってきたのだ。次に兵頭が出す本の中では、これらイスラエル企業と日本メーカーが結びつくと、どんないいことがあるかについても、論じようと思う。お楽しみに。

 次。
 Iskander Rehman 記者による2016-7-20記事「Lessons from the Winter War: Frozen Grit and Finland’s Fabian Defense」。
  WWII前夜の、ソ連によるフィンランド侵略戦争。
 この105日間の「冬戦争」については、英国の戦略学の学生は皆、習う。

 フィンランド兵は2万5000人死亡した。
 ソ連兵は20万人戦死し、数十万人が凍傷。

 11月から3月であった。その期間は、太陽は数時間で沈んでしまう。ほとんど暗闇の戦争だった。とうぜん、気温は、昼間でも、はるか氷点下。
 戦友の死体が、すぐに、カチカチの胸壁素材として積み上げられる、そういう戦場。
 ブリザードは、無線を通じなくさせ、高空偵察を不可能にした。砲弾の弾道すらも曲がってしまった。

 スターリンは60万人を投入した。戦車は数千両。
 フィンランド側は根こそぎ動員しても9個師団だった。

 ソ連のマンネルハイム線塹壕に対する砲撃は、ある場所では24時間で30万発だった。フィンランド兵は、破片ではなく爆圧によって全員、静かに死んでいたという。
 ※完全地下化工事は絶対に必要なのだ。並の塹壕ではもう現代戦争には耐えられない。それが1939から分ってきた。

 シモ・ヘイハがロシア兵500人以上を狙撃で殺したとされるのもこの戦争だ。
 フィン軍は全員、スキー機動できた。
 露兵はカンジキも使えなかった。軍服はカーキ色のままで、目立った。

 この戦争に従軍したフィンランド軍の退役軍人は、戦後、米陸軍に冬季戦のアドバイザーとして再雇用されている。
 1950年代に彼らは第10山岳師団のために書いている。積雪や結氷は、障害物ではない。移動加速インフラだと考えるべし。それを利用することで、中世のモンゴル騎馬弓兵のように、イニシアチブを握れるのだ。

 ソ連軍はスキーを使えないために森林内の細道一本をたどるしかなく、そこを「モッティ戦術」で寸断されることになったのである。※ワラ戦法のこと。
 もしスキーが使えたなら、散開して数本の縦隊で森林を通過できるから、側面からの奇襲は食わない。

 役畜は、トナカイであった。
 ソ連軍は、自動車輸送に頼った。

 いつも夜なのに、スナイパーの仕事はしやすかった。ソ連兵はキャンプで火を焚き通しだったので。
 夜に奇襲され、狙撃されるというストレスが、彼らを眠れなくした。これはソ連軍の士気を下げた。

 氷床の下に埋設しやすい、ぎざぎざ縁の地雷も手製された。
 これは湖上や凍結河川上を移動するロシア兵を溺れさせてやる仕掛け爆弾だった。
 これをおそれたロシア軍は、凍った河川等を利用しなくなり、森林内で狙撃の餌食になった。

 ※いま日本の経産省は夜間の銃猟の禁止を支持していると思うが、馬鹿じゃなかろうかと思う。150万円くらい出せば、かつてとは比較にならない性能の、夜間視察装置(外国製)を使えるのである。そうした器材の使用を前提として、夜間の銃猟や駆除発砲を適宜に自由化することにより、そこに新しい産業市場も生まれ、殊に過疎地の経済が活性化するということがわからないのか。牧場の羆被害も、夜間の発砲ができない現状では、阻止しようがない。昼行性の動物も、狩猟圧がかかると、夜行化するものなのだ。頭を使ってくれ。



技術戦としての第二次世界大戦 (PHP文庫)