クリスマスだから葬式の話をしよう。

 武漢肺炎のせいで「ミサ」に人を集めるわけにいかんというので函館のカトリック教会はユーチューブで一連の行事を配信する準備を進めている。

 この話を聞いてひらめかざるを得なかった。
 「リモート葬式」が、これからのビッグビジネスになりますぜ!

 きょうび、葬式なんて誰も行きたくねえ。というか、そもそもやりたくねえ。遺族だって。
 ここに、大需要が、あるではないですか!

 ZOOMのようなソフトウェアを使い、ヴァーチャルで葬式に参列できたら、みんながよろこぶ。そのビジネスモデルを最初に完成した者が、葬式業界の覇者になれるのではないか?

 この場合、肝は、「リモート」ではない。そこまでは誰でも考える。むしろ「時間差」に商品価値があるはずだ。

 参列希望者が、ネットをつなげた瞬間に「本葬」が始まるのだ。オンデマンド・スタート。
 つまり、忙しい人は、後日の有閑時に「本葬」に参加すればいいのだ。深夜でも早朝でも都合のよい時刻に。
 参列者の数だけ、「本葬」のスケジュールが用意されてくれる仕組みだ。
 もちろん「本葬」はいちばん最初に録画されているわけである。喪主と企業スタッフとによって。
 こうすればもう、多数の人が同じ時刻に同じ場所に集まる必要がない。場所だけでなく時間が自由化されるのだ。

 喪主からは、参葬者全員に返信される同一の音声メッセージに加えて、選択的に、特定の参列者に対しての特別のメッセージを返すことができる。

 香典はネット決済。それを一律の小額に限定指定することだって、できるだろう。
 参会者は、正装喪服での自撮りライブ画像を送信してもいいし、しなくてもいい。
 香典なしで、オンライン「記帳」だけしてもいい。
 「本葬」の途中でオフライン(辞去)してもいい。

 VR会葬場には、オンラインで自画像を送った参列者のバストショットがずらりと貼り付けられる。彼らは先行するそれぞれ異なる時刻に参列したのだが、後から参列した人はその全員を同時に眺めることができる。

 そのデータを保存したサーバーの中で、この葬儀は永遠にデジタルイベントとして生々しく存在し続けることになる。

 虚礼が廃止されるいっぽうで、ぎゃくに、地球の裏側で暮らしている遠隔地の人すらも、弔意を伝えやすくなる。
 故人はよろこぶだろう。

 次。
 Elisabeth Braw 記者による2020-12-22記事「Why German Troops Won’t Get Armed Drones」。
   先週、ドイツ与党(小相棒)の社会民主党SPDは、武装無人機の調達を支持しないと声明した。

 これによってドイツ連邦軍は、米、仏、英軍が装備運用している武装無人機を、同盟軍として装備できない状態が続くことになる。
 海外に出動させられている独軍兵士にとっては、命にかかわる決定だ。

 軍は武装ドローンを欲してきた。国防大臣のクランプカレンバウアーも望んでいる。一部の社民党員も支持している。だがこれで計画はおしまいだ。

 こうなったのはひとえにメルケルの幼少期の「育ち」のせいなのだ。彼女は長い政治家キャリアの中でいちども軍備には共感したことがない。この分野には身が入らないキャラクターが幼少期にできあがっている。

 それほど東独は冷戦中は軍備荷重で酷かった。男子兵役は18ヶ月から3年で、例外なし。何の研究をしていようがそれを3年間中断しなければならなかった。さらに職場にもパラミリタリー組織が強制されていた。

 これに強く反対していたのが、東独のキリスト教会で、メルケルの生家はそこに属していた。主義として兵役を拒否した彼らは、初期には牢屋にぶちこまれていた。

 手を焼いた東独政府は、武器を執らない兵役コースを彼らのために用意した。兵役年間を、建設作業員として勤労するのである。
 彼らは「鋤をとる者たち」と呼ばれた。メルケルの出身家庭はそれだった。彼らの頭の中では「民主化」とは「非軍事化」とイコールになっていた。
 シュタージはこの反政府的なキリスト教会の内部に工作員を送り込み、内部から方向を変えさせようとした。「神のスパイ」である。

 このような東独体制が消滅したのが、メルケルが36歳のときであった。いま彼女は66歳だが、性格は変わりようがない。

 この人々を説得するためには、マリやアフガニスタンに派遣されている独兵の安全を守るためには、武装ドローンによるパトロールが必要なんだと、理解してもらうしかない。

 いま、アフガニスタン駐留ドイツ軍部隊は、非武装の無人機〔おそらくヘロンの下位機種か〕で敵の襲撃を見張ることができる。だがすぐには反撃ができない。いちいち、米軍に頼んで、MQ-9 リーパーを寄越してもらわねばならない。

 反軍的政党にとってドイツ兵を海外に送り出して作戦させるという決定じたいが大ジレンマだった。
 しかしいったん海外に出して他国軍と協同するとなったら、信義の問題がある。
 攻撃型ドローンによる作戦は「自衛」を逸脱し国際法違反だと議員らが騒いでいる一方で、在外ドイツ軍部隊は、米英仏軍が運用する攻撃型ドローンによって命を守られているのである。それではドイツの信用はどうなるのだ?

 次。
 ストラテジーペイジり2020-12-23記事。
   滑空性の大型野鳥そっくりにUAVをこしらえることで、下から敵兵に見られても「ああ、トンビが飛んでいるな」としか思われないようにする、そんな傑作偵察機ができた。「Aves【鳥類】」という。

 ウイングスパンは2.5m。
 高度50mから3100mを、電動で90分滞空できる。プッシャー式のプロペラは小さいので地上からは視認できない。
 発進はゴムパッチン式の簡易カタパルト。回収は胴体着陸による。

 最大速度43km/時。リモコンからは15kmまで離れられる。ペイロードは500グラム。暗視カメラはこれより軽い。
 ※この速力では、他の鳥からちょっかいをかけられるだろ。

 すでに数カ国に売れた。アフリカの某国は、これで密猟を監視する。高度3100mを飛んでいれば、強力な猟用ライフルでも当てられない。
 というか、密猟者は、自己位置を暴露するのを警戒して、飛鳥射ちは、しないものなのだ。
  ※主翼素材を発泡スチロパールのようなフォーム状の樹脂にしておいたら、23ミリ機関砲弾が貫通しても平気なはず。

 ※気になって調べてみたら、オランダの「ザドローンバードカンパニー」の製品。頭から尻尾まで、かもめそっくり。むろん「ガルウィング」でワロタ。たしかにこれはUAVには見えん。堂々と晒すことが真のステルスなのか。



隣の大国をどう斬り伏せるか 超訳 クラウゼヴィッツ『戦争論』 PHP文庫