ラーメンには《サルベージ》が必要だ。

 ラーメンスープを1杯分の全量摂食すると、腎臓をはじめ、カラダにはよくないと考えられている。
 しかし丼の底の方には、何か滋養ありげなデブリが沈殿している。これをみすみす捨てさせてしまうのは、いかにも惜しい気がする。

 ……そうは言っても、沈殿しているデブリ層までスープ水位を下げるには、まず丼中のスープを9割方、吸飲してしまう以外に道がない。大ジレンマだ!

 このジレンマを解決できる《器具》が、あるはずである。
 箸にひっかかる限りの麺と具をたいらげた後に、客が、おもむろにその器具を用いることによって、残ったスープの水位を一挙に、9割以上、低くすることができる――そのような機能を備えた器具だ。

 この器具は、さまざまな応用が利くであろう。
 たとえば、つゆが熱過ぎる「おでん」が出てきたとする。この器具を用いていきなり汁を全部抜き取ってしまえばよい。すると気化熱によって具の表面温度は急速に下がり始めるから、猫舌の人でも火傷しないでおでんが食べられるであろう。

 この器具によって人々はますます健康になれるのだ。一日も早い発明が、待たれているぞ!



日本の高塔―写真&イラスト