政府は「耐雪屋根」に補助金を出すと、「地ージス」の失態をよりいっそう挽回できるだろう。

 外務省が仕事をしている。2月以降に期待する《菅-バイデン会談》で、米側から日本に対する「核の傘」の言質を引き出すという。

 背景。
 「MD」は、西側世界で「レーザー高射砲」でも完成しない限りは、もはや《不可能》。

 《ミサイルによってミサイルを撃墜する》スキームは、戦域~戦略射程でありながら非放物線弾道の、いわば「非弾道ミサイル」が実用化される趨勢、ならびに、「ハイパーソニック巡航ミサイル」の拡散も誰にも止めれやしないという近未来見切りの上に、やるだけ無駄だと結論されてとうぜんだ。

 ゆえに《地ージス》の代替案はこれから「かたつむり」級の行程表で「やってますのフリ」だけするよりしょうがない。できてもできなくても無駄なのである。

 されば国内に対する日本政府としての責任の取りようは、どうあるべきかというなら、その真打が《米政府が日本のための核報復を約束することによる安心獲得》だろう。

 ここまでは他力本願。
 その先がある。

 秋田県に自衛隊が災害派遣されて小学校の屋根の雪下ろしをやっている動画を拝見したが、いまだに《屋根に雪が積もる構造》になっているので呆れた。

 「スウェーデンハウス」として売られている戸建住宅の三角屋根を見たことのある人は多いだろう。わたしの現住所のマンションの窓から見える範囲にもあるが、感心するほど、まったく積もらない。雪下ろしの必要が、最初から無いのである。
 また、農機を収容しておく大型の納屋は、このあたりでは、かまぼこドーム状のスチール屋根で葺いているものが多いが、こちらは、いくら積もろうが潰れることはない。上からの荷重に非常に強い。

 このような「耐候力のある強靭な屋根」は、昔からいくらでもあった。それがちっとも普及しない理由はただひとつ。カネ惜しみだ。
 行政は、この分野に、優遇税制と、補助金制度を厚く適用すべきである。それが《地ージス》のリカバリーにもなる。

 どういうことか?
 わが国の周囲に位置する《キチガイ四ヵ国》から日本国内に向けてミサイルが発射される場合、必ず、囮弾頭や、核弾頭とレーダー挙動上区別のつかない非核弾頭のミサイルが混じる。真弾頭1発について、何十発もそんなのが混ぜられてくる。

 そのすべてに対して念をいれて2発ずつ、1発38億円もするスタンダードABMを発射していて、果たして防衛が持続できるかといったら、すぐにこっちのタマが尽きて丸裸になってしまうことは、小学生でも暗算ができなくてはならないことだ。

 首都以外に落下するミサイルは、ABMによる迎撃をあきらめるしかないというのが現実なのだ。その場合、地方の家屋の屋根が、強靭であるかペラペラであるかの違いが、国民の福利を大きく左右する。

 「耐候力のある強靭な屋根」は、デブリの落下や核の熱線からも人命や財産を守る。こうした屋根の普及を政府が誘掖することが、《地ージス》の真の代替策となるのである。

 次。
 Mark B. Schneider 記者による2021-1-6記事「Did Russian State Media Reveal a Mobile ICBM Cheating Program?」。
      「New START」条約では、移動式ICBMは地下に隠してはならない。しかしロシアは公然とこれに違反している。

 ロシア国営ニュース局RTの最近の報道によると、露軍は新型の移動式ICBMを「マイン」から発射するという。「マイン」の確定した英訳は無いが、露軍内ではその意味は、コンクリートで強化された大深度坑道のことである。地表部の「天蓋」を爆薬で除去し、その穴から垂直に発射する。

 これは「サイロ」ではない。「地下鉄駅」だと言えば、実態に近い。明瞭に「新START」条約違反である。

 ※北鮮もこのスタイルを真似するだろう。



[新訳]フロンティヌス戦術論