なぞぐるみ。

 ストラテジーペイジの2021-1-8記事。
    何者かが、中國共産党の党員、200万人分のデータベースを、漏出させた。名簿には、げんざい西側諸国内に住んでいる党員多数が、含まれている。
 データは漏洩の時点での最新更新版である。

 中共政府は困り果てて「フェイクだ」と主張しはじめたが、どうも真正の名簿のようだ。

 海外在住の中共党員は、同じ企業または同じ地域に3人以上が居合わせている場合、そこで「細胞(CELL)」をつくらなければならない。単位セルは最大でも12人規模である。

 セルの基本機能は、隣組のように互いを監視すること。歴代王朝の保甲制度の中共版だ。
 セル単位は連座して責任を取らされる。1人が党に背けば、それはセル全員の罪科になる。

 セル内の党員の相互評価は、党員データベースに記録される。その記録は、本人が死ぬまで永久について回る。よって海外では中共のスパイ工作員は、現地のセルをあてにして、仕事を進めることが容易である。基本的に誰も裏切れないようになっているからだ。

 中共党の党員数は今だいたい9000万人である。
 中共中央の理想としては、最も忠誠な党員が、ビジネス界でも最も成功するように、社会を持って行きたい。
※ジャック・マーは非党員なのに大成功した。今はどうだか知らないが、大きな例外だったから、目の仇にされた。このニュースの詳報は1ヶ月ぐらいしたら出てくるだろう。トランプ政権がNSA/サイバーコマンドに命じて放った最後の毒矢かもしれない。その場合もジャック・マーは当局から猜疑される。彼の企業グループが、シナ人個人のビッグデータをいちばん保蔵しているからだ。アリババのような個人データ蓄積産業が古い専制支配政権と必然的に対立するようになるという兵頭の予測は『米中「AI大戦」』(並木書房)で2018年にしてあるから、読み直してみて欲しい。当たってるでしょ?

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 Radio Free Asia による2021-1-2記事「Watchdogs Call for Transparency as Cambodia Strikes Oil」。
    シャム湾のカンボジア沖に油田があることは30年前から分っていたが、カンボジア政府が契約を守るのかどうかの信用が低すぎて、外国企業は誰も開発には乗り出せなかった。
 このほどシンガポール企業がボーリングを請け負い、ついに採掘が始まった。

 カンボジア政府はこの原油の収益から5%を受け取り続ける。
 問題は、そのカネはすべて、フンセン首相の一家でひとりじめするのではないかとのおそれ。カンボジアの政治は、ひどく腐敗している。

 ※邪推すれば、このシンガポール企業を、中共資本が強力にバックアップしているのだろう。原油国際価格が低く、武漢肺炎のためこれからも値上がりはしないと考えられるのに、非メジャーの開発企業単独では、こんな博打は無理だからである。中共海軍も今後ますます、南シナ海に注力するしかないだろう。掘ればまだ出るかもしれないのだから。

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 Minnie Chan 記者による2021-1-8記事「China’s next-gen J-20 stealth fighter jettisons Russian engine in favour of home-grown technology」
    「AL-31F」エンジンをひきつづき輸入し続けたければ、それとセットで、ロシア製の「スホイ35」戦闘機も買いなさい、との要求がうるさいので、とうとう中共は、「AL-31F」のパクリである、国産の「WS-10C」エンジンを「殲20」に搭載することを決めたという。

 スホイ35をじっさいに輸入して使っている中共空軍にいわせると、この戦闘機は航続力が長いだけが取り得で、空中では敵のF-16に勝てないのだという。電子機材が、低性能すぎるからだ。

 国産エンジンとしては「WS-15」が期待されていたが、2019年の評価試験で、最終的に落第。それで「WS-10C」が浮上した。
 「WS-15」は2006年から「殲20」用に開発されたものの、2015年にエンジン爆発事故を起こすなど、不調が続いていた。

 そうはいっても「WS-10C」も、あと1年は、実装などできまい。

 「殲20」は初期のツナギ措置として「WS-10B」を搭載したことがある。もともと「殲10」「殲11」用に使われている「WS-10」を改造した。



米中「AI大戦」