大盲点。《自動注射器》がなければ、ワクチンが大量製造されても、大量接種が追いつかない。

 欧州駐留の米軍基地には、武漢ウイルス用に大至急で製造された米国内製ワクチンが、いちはやく届けられている。ところが、その注射の作業が、遅遅として進まない。
 この調子だと、一般人へのワクチン接種は、人口が多い先進諸国内では、相当に手間取ることであろう。
 ワクチンだけ量産しても、ダメだったのだ。
 それを射つ医師・看護師・衛生兵は量産できないのだから、それを補う「自動マシーン」が必要だったのだ。

 大盲点があったといわざるをえない。
 いままで、先進国の医療機器メーカーは、素人が確実に安全に筋肉注射できる「注射ピストル」を、あるいは「注射マシーン」を、未開発のままに、ほったらかしにしてきた。そんな必要は無いと思い込んでいたのだ。

 ところが現実は違った。パンデミックの抑止のためには、ワクチンと同じくらいに、《医療のプロではない者が扱っても安全確実に筋肉注射できる半自動式注射装置》が必要なのだ。
 さもないと、急速大量接種事業は、実行不可能なのだ。すべての病院が感染症対処で手一杯なんだから。注射してくれる人が、いないんだから。

 だが、この「安全注射ピストル」が開発されると、それは2つの方向へ予期せぬ発達を遂げるだろう。
 ひとつは、あらたなる麻薬との結合。
 もうひとつは、ナイフと拳銃の中間的な殺人凶器として。

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 REED ALBERGOTTI AND AARON GREGG 記者による2021-1-7記事「The US paid a Texas company nearly $70 million for ventilators that were unfit for COVID-19 patients」。
   昨年春、ペンタゴンは、武漢肺炎の患者激増を見越して、4つのメーカーに8400万ドル分のヴェンチレーター(強制呼吸装置)を、非入札的に緊急発注した。
 その1つ。ダラスの近くのプラノ市に本社がある零細企業「AutoMedx」社が製造している「SAVe II+」というベンチレーター。その発注比率が、突出して目立つ。

 もともと「SAVe II」は、軍隊の負傷兵を後方の病院に運ぶまでの間、呼吸を維持させるための、軽量で簡易な、衛生兵が使いやすい器材で、これは軍が資金を補助してベンチャーに開発させたものである。

 つまり平時の治療用としては性能が劣ったもので、ペンタゴンが外部に委托した調査研究によっても、同製品は、呼吸器系疾患のパンデミックに対処するための装置としては不適格だという烙印をとっくに押されている。
 国防総省系統の医務官たちは去年いらい、この製品を武漢肺炎患者に使うのはとてもまずいというじぶんじしんの体験をeメールで相互に伝え合っている。

 ある者は極言する。このマシーンを使うと、ベンチレーターを一切あてがわない患者と同じ早さで病人は死んでしまう、と。

 この「AutoMedx」社は、ペンタゴンから7000万ドルの指名発注を受ける前は、倒産の危機に瀕していた。
 同社は11200個を納品した。よって単価は6274ドルと計算される。現在、そのすべては、「戦略予備品」として倉庫内に保管されている。

 この契約をペンタゴン内の誰が承認したのか、いまもって不明である。
  ※軍を退役した者たちが立ち上げたベンチャーなので、情実贔屓発注なのではないかという疑いを、このワシントンポスト紙の記事は、示唆する。

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 Ashlie D. Stevens 記者による2020-12-29記事「Little house of maybe: “American Masters” on fact, fiction and the life of Laura Ingalls Wilder」。
  ※PBSの特集放映に合わせた記事。

  1974年開始のテレビシリーズ『大草原の小さな家』でネリーを演じたアリソン・アーングリムは、フェイスブック・ライブでファンのためにヴァーチャル朗読をやっている。この小説さながらに、孤立した田舎の住宅でパンを焼き家畜を飼いドレスを縫い上げ、パンデミックを凌いでいるという人が増えた。

 ソーシャルディスタンスの時代に、この小説とTVシリーズが、再注目されているのだ。
 ※この長寿シリーズの後期は、視ていられなかったのだが、ネリーは最後はどうなったんだろう? いつの間にかフェイドアウトしてるよね。

 作家のローラ・インガルス・ワイルダーは1867年にウィスコンシン州に生まれた。父はチャールズ。母はキャロライン。姉はマリー。 ※南北戦争の直後ってこと。
 一家はさらに西部の開拓地へ引っ越した。

 ワイルダーは1957年に死去したが、その生前のスピーチが録音されている。
 フロンティア入殖、開拓者、農民、そしてタウンの住民。アメリカが辿ってきたすべての段階を、身を以て体験した……と彼女は回顧した。
 ワイルダーは学生時代から詩やエッセイを書いていたが、作家になろうとは思わなかった。
 しかし娘のローズ・ワイルダー・レインが、子供時代のことを何か書きなさいよと奨めてくれたので、小遣い稼ぎに文章をまとめはじめた。

 つまり娘が実質の編纂人、「リライター」であった。その原稿が、ハーパーコリンズ社に注目された。

 出版社は、子供向けに全体を書き直すことをリクエストした。シリーズのタイトルは『大森林の小さな家』。
 そのさいのアドバイス。開拓者たちの日々の生活のディテールを、できるだけ、書き込んでください。たとえば、どうやって銃弾を自製していたか。料理や衣服はどうしたのか。それによって読者の子供たちの想像力がずっと拡がる……。

 確かに、これがヒットの要素だった。姉妹たちがバターを造るために攪乳作業する。父親はバイオリンを演奏する。豚の睾丸からボールを作る……。

 入殖したところは、サウスダコタ準州だった。
 小説では語られないが、父インガルスは、1862年の「ホームステッド法」に背中を押されて、移住を決意したのである。同法は、西部未開地の連邦所有地を開拓する者には10ドルの代金で160エーカーの土地を与えようというものだった。

 もちろん、楽ではなかった。開拓地では、「ロッキー山脈バッタ」の大群襲来もあった。

 この蝗害のあと、父インガルスは、家族を食わせるために、救貧法の適用を受けている。つまり自立農民ではなく、生活保護が必要な貧民だと公式認定された。もちろん小説やTVドラマには書かれない。
 町から町へ、一家で夜逃げしたこともあった。債権者に見つからないように。
 最終的に、チャールズは、市民運動のリーダーになっている。

 なおこの小説は、インディアンと、黒人に関する部分については、今日的基準では、マズい。

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 Nicholson Baker 記者による2021-1-4記事「The Lab-Leak Hypothesis For decades, scientists have been hot-wiring viruses in hopes of preventing a pandemic, not causing one. But what if …?」。
    『ニューヨークマガジン』の大論文。武漢肺炎は、やっぱり、武漢の研究所からウィルスが漏洩したものであった。

 ※長文すぎるので抄訳も放棄。まあ、これじゃWHOの入国を拒絶したくなるわけさ。

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 ストラテジーペイジの2021-1-7記事。
   昨年末、カムチャツカの露海軍軍港にやせ衰えた熊母子が現れ、繋留中の潜水艦に近づいたので、猟師が呼ばれてショットガンで射殺した。散弾でないと艦が傷つくため、ライフルは使えない。
 ※米海軍の水上艦であれば、艦内の弾薬庫警備のためにポンプアクションの散弾銃が用意してあるはずだが、露軍の潜水艦には、ショットガンの備えはないらしい。

 カムチャツカには1万頭の茶色熊が棲息。軍施設に近づく個体は、そのつど、呼ばれた猟師によって駆除されている。2020年にはすくなくも50頭以上がそのようにして駆除された。

 2003年に北極海でこんなことがあった。米海軍のSSN『コネティカット』が氷上に浮上したところ、360kgもありそうな白熊がやってきて舵を齧った。さらにスクリューまわりの氷の割れ目からアザラシが出てこないかと期待して待っている様子であったが、ヘリが接近する音を聞いて、立ち去った。

 2009年のカシミール地方では、インド政府に反抗するイスラムゲリラ2名が黒熊によって殺され、2人が負傷して村に逃げ込んできた。この4名は夜間、熊が冬眠している洞窟に、知らずに入り込んだのだ。4人ともアサルトライフルを所持していたが、ローカル住民に音を聞かれると困るので、使えなかった。

 カシミールのインド支配区では、住民の武装が禁じられているため、この20年、黒熊が増えて困ったことになっている。熊が出るたびに警察に出動してもらって駆除するしかないのだが、警察はいつも迷惑顔をする。

 かつては住民が自発的に熊を射ち、その《熊の胆》を高値(1個2000ドル以上)でシナ人に売っていたのだった。
 ※北関東の暗闇に、これからますます、野盗の群れが横行しかねない。そうさせないように、同地の警察は暗視装備を拡充しないとね。

 人口100万人あたりの武漢肺炎患者数は、日本29人、シンガポール6人、台湾0.3人である。
 西側平均だと、約1000人である。
 世界平均は、嘘データを出してくる政府が多いので、数百人だろう、としか言えない。

 中共は2021年のGDP成長は最低でも10%だとブチ上げているが、ジャック・マーはすぐに、そんなの嘘だと言った。
 よって彼には、再教育収容所、または不定期限の刑務所入りが待っている。後者の場合、財産は没収される。
 アメリカ合衆国とインド政府は、中共製の通信アプリである「TikTok」「WeChat」「AliPay」を禁止している。



文庫 北京が太平洋の覇権を握れない理由 (草思社文庫)