ちなみに速報。

 Igor Vamos 記者による2021-1-26記事「Facebook is bombarding rightwing users with ads for combat gear. See for yourself」。
      1-16にフェイスブックは、米国内においては、銃器のアクセサリー類と防弾装備類の広告掲載を禁ずると発表。その措置はすくなくも1-22まで続けるとした。
 フェイスブックは、銃、爆弾、軍用背嚢(25インチ長の銃器ケースと一体化したもの)、急速実包充填具、ナイトヴィジョン、ショルダーホルスター、ボディアーマーの直接広告も禁じている。

 思い出すことがある。
 記者は1980年代に少年時代を過ごした。当時、『ソルジャー・オブ・フォーチュン』(敢えて訳せば『月刊傭兵』)という雑誌を友人から借りて読むのが待ちきれなかった。あの広告が混在した誌面のノリが、プロ・トランプのフェイスブックには再現されている。ちなみに記者の実父はホロコーストの生き残りであるため『SOF』などぜったい買ってはくれなかった。

 ※わたしも80年代に渋谷の大盛堂だったかパルコだったかの地下にあったミリタリー系の洋書店でこの中綴じの薄っぺらいフルカラー雑誌を立ち読みしていましただよ。そこに来る客たちと店長のディープすぎる会話に時折、聞き耳を立てつつ……。

 当時の『SOF』誌の広告がいかにとんでもなかったかというと、「殺し屋(ヒットマン)」だとか「写真花嫁」といった項目別の小窓広告が堂々とあった。
 もちろんじっさいに契約殺人などに関わったら合衆国内では刑法犯に問われるのは必然。それでも雑誌としてそんな広告を載せ続けていた。

 『SoF』誌はピーク時には19万人の購読者がいたという。
 やたら売れた大衆雑誌ではない。とうぜん、どこの書店のスタンドでもみかけるということもなかった。
 これを読みたいと思う人が特定の書店へ出向かなければ、『SOF』の広告を見ることもできないわけであった。

 これに対してフェイスブックのような今日のSNSは、アルゴリズムであなたの嗜好を察知し、向こうから勝手に広告を送り込んでくる。これが大問題になる。
 トランプサポーターの端末には、すぐに、パラミリタリーなポストや広告が殺到するようになるわけだ。

 2018年のある調べでは、米国の成人の10人に8人はフェイスブックをやっている。その半数は、毎日、新着をチェックしている。

 フェイクニュースとか政治的ステマ記事の他に、この、アルゴリズムによる広告攻めが、おそろしい。このような広告に埋もれることにより、入門級のトランプ支持者が、数ヵ月後には、矯激な武装活動家に変容してしまうのである。「銃を買わなくちゃ!」という気になるのが当然なのだ。

 フェイスブック社は広告収入を年に1000億ドル近く稼いでいる。しかしこの広告アルゴリズムを放置すれば、「トランプの私兵軍隊」が米国内にできあがるのは時間の問題だ。

 次。
 Tanya Basu 記者による2021-1-25記事「The future of social networks might be audio」。
    テキストではなく肉声が録音されたメッセージをやりとりする仕組みは、たとえばワッツアップであればヴォイスメモ、これはインドで大流行り。またウィチャットでも同様サービスがあって、これは中共内で大流行り。

 親密な小グループの間だけで、録音したしぶんの声を届け合う。
 過去には流行はしなかった。しかしパンデミックで人々の自宅隔離状態が続いている今の社会が、まさにこいつを需要している。
 大昔、電話しかなかった時代が、また戻ってくるのか?

 昨年の秋に登場した「クラブハウス」というネットワークアプリは、音声にだけ焦点を当てている。パーティ会話をトークショーのように演出できる。初期インターネットのチャットルームを肉声化したような。

 しかしパーティ内に、悪意ある他者人格排撃者が混じると、この空間から有名人は逃げ出す。

 「ディスコード」というゲームチャット・アプリが浮上してきた。
 ソフトウェアが、話した声を、テキストにおこしてくれる。それをゲーマー以外の一般人に使ってもらう。
 ところが極右白人団体が「ディスコード」を使って仲間を集めてDCにおしかけるという事例が生じてしまった。

 「チェックメイト」という新アプリは、テキストをまったく使わない、声とビデオ画像だけのデートアプリ。これから売り出そうとしている。
 テキストに頼るデートアプリでは生じてしまう、「なりすまし」の悪戯を封ずることができると期待されている。

 他にも次々とオーディオソーシャルネットワークの新枠・新案が登場しつつあり。既成の大手プラットフォームもこの分野を狙っている。

 次。
 Cory Graff 記者による2020-11-30記事「Let’s Remember When French Paratroopers Once Used Bazooka Vespas in Combat」。
   1950年代、フランスのパラ(空挺部隊)は、スクーターの「ヴェスパ」に無反動砲を無理やり搭載した特殊装備を実用化した。
 「Vespa 150 TAP」という。TAPとは仏語の「空挺部隊」の略号。

 ヴェスパはもちろんイタリア製である。1952年の有名映画『ローマン・ホリデイ』に出できた原付二輪車。
 これをフランス国内のACMA社が1956年から59年まで、600台ほどライセンス生産した。それが仏軍に納入された。

 民間用とはギア比が違い、またフレームも強化されていた。軍用仕様であった。※写真を見るとタイヤもゴツい。8インチ。

 車体重量は246ポンド=112kg。
 エンジンは146cc単気筒、2サイクルで、燃料のガソリンには2%の潤滑油を混ぜる必要がある。
 これで時速40マイル=64km出せたという。

 無反動砲は、口径75ミリの米国製の「M2」だった。
 飛ばす弾丸は重さ22ポンド。初速は1000フィート/秒である。
 7000ヤード先も狙えた。

 発射するときは、スクーターから卸して、三脚架の上に据えた。この三脚架は、もう1台のヴェスパが、予備弾薬とともに搭載して随走したのである。
 ※無反動砲はいざとなったら歩兵が肩にかついで発射することもできる。精度は下がるが。

 弾薬や需品をヴェスパに運搬させるための、専用の1輪の被牽引式荷台車(トロリー・カート)も作られた。
 この三脚架は、ブラウニングのM1917機関銃の三脚と共通だった。
 無反動砲の「M20」もWWIIのサープラスが戦後の米国には大量にあって、フランスはそれらをとても安く仕入れられたわけ。

 「ヴェスパ150TAP」は、アルジェリアで実戦に投入されている。
 敵がT-34を出してきたらちょっと困るが、野戦築城を吹き飛ばすにはちょうどよい兵器であった。

 〔車両の?〕単価が500ドルと低廉であったので、仏軍上層部はニコニコだった。

 後年、4人のフランス人が、パリ~ダカール・ラリーをヴェスパで走破できるかどうか挑戦し、2台が9000マイルのオフロードを完走している。ヴェスパは確かに、便りになる兵器だったのだ。

 アルジェリアでは偵察バイクとしても大活躍。路外を、無給油で124マイル走ることができた。



シミュレーション・北朝鮮崩壊 (Voice S)