病院船は無理だが、臨時改造の「隔離収容船」は常にアリだろう。新造軍艦も、後部の側面が吹き通しのダブルデッカー構造としておけば、重宝するはずだ。

 Madeline Drexler 記者による2021-2-10記事「The Unlikeliest Pandemic Success Story」。
   ブータンには武漢肺炎の死者がほとんどいない。2021-1-7に、初めて病死者が報告された。患者は34歳の男性で、肝臓と腎臓に前からトラブルを抱えていた。この患者以前に、ブータンは1人の新コロ死者も出していなかったのである。もちろん2020年中の死者もゼロだったということ。

 世界最高水準のICUがいたるところに充実しているはずの米国でチャイナウィルスによる死者がこんなに多いのは、米国の保健衛生システムが守っていたのは金持ちだけだったか――との疑問をわれわれに抱かせる。

 ある人々は、「米国人が科学を否定する国民であるがゆえに、新コロ死者が多いのだ」という。
 だが記者は考える。米国に欠けているのは「社会契約」なのだ。それがないと、皆が団結して苦痛のある正しい道を選ぶということは、できなくなっちまうのだ。

 ブータンはかつて殖民地にされたことがない。貧国だが、人々には困苦を乗り越える能力がある。

 ブータンには全部で337人の医師しかいない。人口は76万人である。人口に対する医者の比率として、WHOが推奨するレートの半分だ。
 ヘルスワーカーは3000人いる。PCR検査機は、全国に1個しかなかった。(PCR検査機は、現在は6台に増えたという。)
 ひとりあたりのGDPは、3412ドルである。

  ブータンの中共側国境は平時から封鎖されている。インド側はオープンだが、インドでは武漢肺炎のために万単位で人が死んでいる。どうしてそれが伝染しないのであろうか?

 ブータンは2020-1-15に空港での乗客に対する赤外線スキャンを始めている。
 空港での発病者検出手順は、2019-11にWHOとともに予行訓練がなされていた。

 2020-3-6の夜に、ブータン国内に初の患者発見。76歳の米国人旅行者だった。
 6時間18分後、この米人男性と一次接触した者、さらにその者と二次接触した者、計300人強が、一網打尽に隔離された。
 この米国人は飛行機でメリーランドに帰国。一命を取り留めたという。ブータンでの措置は、適切だったのだ。

 WHOがパンデミック認定した2020-3-11から5日後、ブータン政府はすべての接触嫌疑者の強制隔離を立法化。帰国者たちには隔離期間中のホテル宿泊と食い物は無代で提供することにした。

 無症状だが陽性という者も隔離して、発症すれば即座に手当てがなされるようにはからった。心理カウンセラーも配した。
 3月末、ブータン政府は、法定隔離期間を、14日間から21日間に、独自に延長した。WHOでは14日間と推奨している。それより1週間長くした。
 理由は、14日間を無症状で経過してもなお11%の者はスプレッダーたり得るから。

 4月、国王は内帑金1900万ドルを生活困窮者救恤用のファンドとして政府に下賜。
 国王は幾度も治療・防疫の最前線を見舞って、国民を勇気付けた。

 8月、隔離されていない27歳の女性が新コロ陽性と確認されたのを承けてブータン政府は、3週間の全国規模でのロックダウンをスタート。

 12月、風邪の診療所でクラスター発生。ブータン政府は、全土ロックダウンの2回目発動。

 ブータンの首相は、医師であり、信頼されている。パンデミック期間中、彼は毎土曜日になると、みずから外科手術を分担している。ロックダウン中は自宅に帰らず、ホームレスのような臨時の寝床で仮眠を取っている。

 ブータンに続く、死者の少ない国としては、ベトナムの35人、ルワンダの226人、セネガルの700人がある。
 セネガルは2014~2016にエボラを体験しているので、こういうときは瞬時に国境を遮断し、国内移動も禁止できるようになっているのである。とうぜん、それには政府による経済的補償措置が伴っている。
 ルワンダは、HIV患者の追跡ができる機関が育成されており、それが今回も役立っている。

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APのMATT OTT 記者による2021-2-8記事「Tesla Buys $1.5 Billion in Bitcoin and Will Accept It as Payment Soon」。
   テスラ社は月曜日に声明した。150億ドルをビットコインに投資し、いずれ、電気自動車の代金としてビットコインも受け取るようにすると。
 この声明を承けてビットコインの市価が15.4%高騰した。

 他の大企業がテスラに追随するかどうかが注目されている。
 予想される問題は、ビットコインの市価は変動するため、それを取り扱う者すべてが、変動リスクを負わねばならぬことだ。

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 Maya Oppenheim 記者による記事「‘I cry every time I think about my birth’: NHS rule which forces pregnant women with Covid to give birth alone ‘legally wrong’
   英国保健省のガイダンスは、新コロ陽性の妊婦に面会謝絶状態での分娩を強いる――亭主も両親も病院にかけつけてはならず、自宅で自己隔離していろ、と命ずる――。これは違法であると弁護士たちが噛み付いている。

 英国の「人権法」は、プライベートな生活とファミリーとしての生活を人民の権利として保障しているからである。