ゆがんだ一句。

 ニューデリーのメディア『Explained』の Desk による2021-2-25記事。
    ロサンゼルス郊外で顛覆したタイガーウッズのSUVの側面には「ジェネシス・インヴテイショナル」のロゴが見える。

 この車両は「Genesis GV80」である。ヒュンダイモータースのラクジュアリーブランド。そしてこれが同社が販売している唯一のSUVでもある。

 ウッズ選手は先週末、PGAツアーの「ジェネシス・インヴィテイショナル・トーナメント」のホストとなり、そこで車のプロモーションに協力していた。
 このトーナメントの優勝者には、「GV80」の新車が1台、贈呈される。
 ウッズは、主催スポンサーのジェネシスが持ち込んだ宣伝用車両群の1台を運転していたのだろう。

 事故現場は、LA圏のパロス・ヴェルデス。起伏がある土地で、坂を下りきったあたりでは過去にも事故が多発していたという。

 2020年に消費者満足度調査会社「JD Power」は、ジェネシスを、北米で「最も信用できる」自動車ブランドだ、と持ち上げていた。
 ※誰もが、その調査会社とやらは、利害関係者からいくら貰ったんだ と思うだろうが、北米には自動車に関する独立系の評価会社が複数あるので、いんちきはないだろうと考えてよい。

 「ジェネシス」は、ヒュンダイのラグジュアリー・ブランドで、要するに、トヨタのレクサス、ホンダのアキュラ、日産のインティニティみたいな高級差異化を狙った。

 2021年初頭における「ジェネシスGV80 スポーツ」のカタログ公示価格は、約5万ドルである。

 車両には10個のエアバッグがついている。車両前方を常にビデオカメラが撮影し、ドライバーに、運転のガイドラインをリアルタイムで提供するナビゲーションディスプレイも実装。

 インドではこの車は2019年から、CKD組み立て工場から出荷されたものが販売されている。

 次。
 Noah Manskar 記者による2021-2-24記事「Tiger Woods crash puts Genesis car brand in an unexpected spotlight」。
    ジェネシスモーター社は、ウッズを同社製品に、ひっかけてつなぎとめ【hitch】たかったであろう。それは意外な形で実現した。

 ブランドを立ち上げたばかりの同社は、火曜日の自動車事故のおかげで、認知度を向上させた。
 ヒュンダイがジェネシスを分社したのは2015年である。いらい、5車種がロールアウトしている。「GV80 SUV」もそのひとつ。

 大衆車メーカーが、メルセデスやアウディやBMWのような高級車を北米で売ってやろうと思ったなら、高級車部門だけ分離して別ブランドを建てるのがいい。トヨタもホンダもそうやってきた。

 ジェネシス社のラインナップは、「JD Power」の初期品質研究では4回連続、ナンバー1にランキングされている。

 しかし北米は楽に勝てる市場ではない。地場には、キャデラックやリンカーンも健在なのだ。

 昨年、米国では1450万台の自動車が販売された。そのうちジェネシス・ブランドが占めたのは1万6000台のみである。しかも、2020-9までの同社製品の1年間の売り上げは、その前の1年間よりも24%減少。

 焦るジェネシス社は、プロモーションのため、複数のスポーツ・イベントのスポンサーになろうとした。そのひとつが「ジェネシス招待ゴルフトーナメント」だった。そのホストにタイガー・ウッズを雇った。

 先週のイベントはLAの「リヴィエラ・カントリー・クラブ」で開催された。

 「GV80」は4万8900ドルのSUVで、2020-10月に新発売されている。

 自動車評論家たちは口を揃える。もしウッズが事故で死んでいたなら、このブランドは終わっていただろう、と。事故車両のフロント部分に、目もあやにジェネシスのロゴが写っているのだ。

 一批評家いわく。ウッズ氏は前にキャデラックに乗っていて事故を起こしている。そのときも、キャデラックには責任は無かった。今回も、ジェネシスの欠陥じゃなさそうだ、と。

 次。
 Nathan Bomey 記者による記事「Was Tiger Woods’ SUV safe? Genesis GV80 involved in car accident calls attention to brand」。
    2019年に全米で3万6000人がカー・クラッシュで死亡している。概して言えることは、10年前の自動車よりも、新しい自動車の方が、衝突したときに安全で、ドライバーはめったに死ななくなった。

 それでも死ぬのは、高速でヘマをした場合である。時速40マイル(64km)ならば今日ではほとんど死ななくなったのだが、さすがに、時速50マイル(80km)以上になると、乗員は死に始める。

 北米における2020年第四四半期の、ラグジュアリーカーの販売実績。優勝はBMWでシェア22%、次がアウディとレクサスでそれぞれ19%、第四位がメルセデスベンツで17%だった。ジェネシスのシェアは6%であった。

 北米では31のブランドが自動車を販売しているが、ジェネシスよりも売れなかったブランドは、フィアットだけであった。2020年において。

 傾向として、北米では、乗用車は売れず、SUVとピックアップトラックが売れる。それでジェネシスは、SUVに起死回生の望みを託したのだった。

 今回のゴルフトーナメントでは、優勝者のマックス・ホーマに「GV80」の新車がプレゼントされた他、ホストに雇われたウッズには、「GV80」が無償貸与されたのである。その車で、ウッズは事故ってしまった。

 IIHSが水曜日に発表した「2021セフティ賞」では、ジェネシスの「G70」と「G90」は最高評価を得ている。「G80」と「GV80」は、発売タイミングの関係で評価が間に合わなかった。