だからコウモリの集団ねぐらは、常に健強な個体だけで満たされている。
集団ねぐらの間で、ウィルスは最も容易に伝染をするが、それに感染しても発症しない、あるいは軽症で済んでしまうタフな個体だけが、ひきつづいて集団ねぐらに残留する。
死者や病人とはフルオートマチックにディスタンスが取られる。
おかげで、コウモリ集団が、対哺乳類の各種ウィルスを最高速で凶悪化させる培養マシンとなったのだろう。
ここから、われわれ人間が学べること。
たとえば災害が発生したときに大勢を収容する避難所は「二階建て」構造であることが理想ではなかろうか。
病人は1階にあつめる。健強者は、2階で起居。
これで、避難所でのクラスター発生が抑えられるかもしれない。
これがもし実証されたなら、これからは体育館の設計も変えるとよいだろう。
中二階のギャラリーのフロアを大拡張する。その下は、広い軒庇に頭上を覆われた屋外スペース。
総面積は余計に必要だが、雨天時の利便性がかなり良くなるはずだ。