Brent Schrotenboer 記者による『USA TODAY』の記事「Tiger Woods’ history with Ambien, details of latest car crash raise questions」。
2017年の事故だ。メモリアルデイ(祭日)の朝だった。フロリダ州で警察官が、黒いメルセデスが道路の右側車線に停車しているのを見とがめた。右折灯が点滅し、ブレーキランプはつきっぱなしである。
近づくとドライバーは寝ていたので、警察官は起こした。
ドライバーは、自分がどこにいるのか分らないと言った。複数の処方薬を服用しているとも言った。
彼の体内から「ゾルビデム」が検出された。催眠薬で、「アムビエン」の商品名で売られている。
この居眠り運転手が、タイガー・ウッズ氏であった。
このたびの2021-2-23の事故も同様に、薬物の作用が原因なのだろうか。
ウッズは2009年にはフロリダで最初の単独自動車事故を起こしている。
そのときウッズはSUVの中でいびきをかいているのを発見された。
その後日にウッズは、「アンビエン」を服用していることを認めた。
原因が「アンビエン」だけだと決め付けることは、われわれ外野にはゆるされない。他に原因があるかもしれない。それは科学的に調査しないと永久に分らぬこと。
今回の事故時、ウッズはシートベルトをしていた。また車両の複数のエアバッグのうち大半は作動展開した状態であった。
警官の宣誓供述書によると、ウッズは顔面に裂傷を負い、その血が顎までしたたっていた。エアバッグはドライバーの頭部の外傷を防いでくれるが、その代わりに顔面を負傷させることはある。
「アンビエン」の注意書きには、これを服用することによって居眠り運転になる危険があると警告されている。完全な覚醒を保てないで運転し、しかもそのことを本人が覚えていない場合も、この薬のせいで、あり得るのだ。
権威ある学会誌が認めていること。「アンビエン」を服用したドライバーの「記憶消失」のケースはふつうに報告されている。
交通事故を再現する専門家のジョナサン・チャーニーいわく。わたしの知る限り「アムビエン」を服用して居眠り運転事故を起こした人は、一人の例外もなく、事故の詳細について証言することができなかった――覚えていなかった――と。
「居眠り運転」とは、目を開けていても、状況反応運動が鈍化してしまっている状態をも言う。
警察は押収令状をとって事故車のブラックボックスを回収し、記録されている走行データを分析中である。事故直前の速度、ステアリング、ブレーキング、加速などが判明するはずだ。
ウッズは北の方角に向かって下り坂を走っていた。道路は右へカーブしていたが、ウッズの「ジェネシス GV80」は中央分離帯にまっすぐ突入し、分離帯にあった交通標識1個を took out し、反対走行車線に入り、さらに道路外に飛び出し、1本の樹木に衝突して横転した。
中央分離帯に乗り上げてから停止するまで走った距離は約400フィートである。
路面にスキッドマークは無い。すなわちハンドル操作やブレーキ操作の痕跡は無い。
もし、スマホを見ながら運転していたとか、薬を服用しておらず単に非常に疲労して眠くなっていたのであれば、中央分離帯に乗り上げた衝撃で意識はすっかり活性化し、ブレーキやハンドルを操作したはずで、そこからさらに400フィートも直進するものじゃない。
スキッドマークは、スリップが発生していなくとも、残される。アンチロックのブレーキングであっても、ドライバーが減速操作をしたならば、それは必ずスキッドマークから分るのである。しかるに、そのスキッドマークが現場には皆無である。
※宣伝されていた自動事故回避システムは、エアバッグ以外、機能していなかったと疑われる。
2017年に逮捕されたときには、ウッズの体内からは、「アンビエン」「ヴィコディン」「ザナクス」「ディローディド」「THC」が検出されている。ウッズは法廷で有罪を認め、1年間の免停になった。
その折、ウッズは声明を発表し、腰痛の抑制と、不眠症対策のための薬を、医師の助言を求めずに服用して運転してましたと告白した。
2009年にウッズはフロリダの豪邸の近くで「キャデラック・エスカレード」を立ち木と消火栓にぶつけた。ウッズは口の辺を切り、首も傷めた。近隣住民は、ウッズが事故車内でいびきをかいて寝ているのを見た。
このときウッズは罰金164ドルを納めている。
そして2010-4のマスターズトーナメントに出場したのだが、そのとき記者会見で、じつは「アンビエン」と「ヴァィコディン」を飲んでましたと世間に公表した。
ウッズはそのとき、もう何年も前から、左膝の痛み止めが必要なのですと言った。左膝は4回、手術をしています。昨年はアキレス腱が裂け、とても痛みます。父が死の病床にあったとき、眠れなくなって、それからずっと、アンビエンに頼るようになりました、と。
アンビエン依存症の治療は、受けたことはない、ともウッズは語っている。
次。
Jonathan D. Gelber 記者による2021-3-5記事「Conversations Tiger Woods Needs to Have | Opinion」。 ※記者は整形外科医にして、スポーツドクターでもある。
2017-5-29のタイガー・ウッズ検挙のとき、フロリダ州警察はウッズの呼気テストをした。アルコールは検知されなかった。
しかし血液テストの結果、THC(マリワナの成分)、アンビエン(睡眠薬)、ザナックス(ベンゾジアゼピン。不安や鬱を緩和する)〔が催眠作用と健忘作用もある〕、そして鎮痛用のアヘンである「ヴィコディン」と、その強烈版である「ディローディド」が検出された。
医者から言わせるとこれらの薬物のミックスは自殺行為である。
運転が危険になるというだけでなく、鎮痛剤依存症=アヘン中毒になってしまうからだ。ベンゾジアゼピンとアヘンの組み合わせ服用だけで呼吸が止まって死んだ人もたくさんいる。ウッズがいままで死なないでいるのは、強運だ。
2017年のスタンフォード大の研究。病院のERにかつぎ込まれる人のうち、この混合鎮痛薬を飲んでいる人の割合が増えつつある。2001年には9%だったのに、2013年には17%だ。
ザナックスとアヘンの混合作用として、健常な脳が出している呼吸命令信号を抑制してしまう。息をしなくなってしまうのだ。
この薬物依存症から立ち直っても、また新たな怪我をすれば、その治療のための痛み止めのせいで、病気はぶり返してしまう。
ゴルフでは、足首と、下肢を、フルに捻転させねばならない。それに背骨のスピンを加える。プロはそれらの骨を酷使するから、ついには痛くなってくるのだ。
※知れば知るほどおそろしい世界だ。ウッズが大試合で見せてきた精神安定の力は、薬物のおかげであったのか? では、他の選手たちも? もしプロゴルフの世界にドーピング・チェックが導入されていたら、どうなっていたのだろう?