Joseph Trevithick 記者による2021-3-11記事「Israel Has Been Launching Clandestine Attacks On Iranian Shipping: Report (Updated)」。
『WSJ』の報道によれば、イスラエルは過去1年以上、秘密作戦を続けている。それはイランが原油や武器を積んでシリアに届けようとする船舶に対する攻撃であるという。
昨日(2021-3-11)、地中海東部にて、イランのコンテナ船で爆発が起きて火災になった事件。これまたイスラエル工作員によるものだと『WSJ』はスッパ抜いた。
もしそうだとすれば、先日の、イスラエル企業が保有していた貨物船に対するリムペット攻撃は、IRGC(イラン革命防衛隊)がイスラエル船だと見定めた上で狙った「報復」だったではないかと考えられる。
同様、2月にイスラエル沖で謎の原油垂れ流しテロが起きた件も、イランが黒幕だと疑える。
『WSJ』によれば、イスラエル部隊によるイラン船への秘密攻撃は2019後半からスタートしており、これまですくなくも12隻に損害を与えていると。その手段としては機雷も使っていると。
イランの国営石油タンカー会社は、2019-10に紅海で攻撃を受けた『サビティ』号の写真を公表している。
シリアの海岸にあるバニヤ市に石油精製プラントがある。イラン船はそこへ原油を届けているのである。※スエズを回っていくから、その前に紅海を通らねばならない。
一連の攻撃にもかかわらず、沈没したイラン船は1隻もなく、また負傷者の報道も無い。
しかしすくなくも2隻の船は、攻撃を受けたことによって、シリア行きを断念し、イランの港へ引き返した。
『サビティ』の舷側写真をみると吃水線上に2つの四角い孔が開いていて、これは対艦ミサイルなどではないと分る。ダイバーがリムペット爆雷を磁石で吸着させたのだ。この破孔からは10万バレルの原油が漏れて環境を汚染した。イランは当初、対艦ミサイルで攻撃されたと発表していた。
東地中海で3-10に火災になったのはコンテナ船の『シャー・E・コルド』である。
イランは、テロにやられた、と発表した。
このコンテナ船は2019-7にも紅海上で積荷が発火して火災になっている。写真はそのときのものかもしれない。※時限発火装置か。
2019-6には、バニヤ市の石油精製プラントに沖のタンカーから原油を荷揚げするための海底パイプラインが爆破された。これもイスラエルの仕業ではないかという。
2021-2-1から2-2にかけ、イスラエル沖で原油漏出があり、おびただしいタールボールが海岸線に達した。イスラエルの海岸線は118マイルあるが、その90%が汚染された。
イスラエル政府高官は、タンカーの『エメラルド』号がイランに操られていて、意図的に汚染したとしている。この船の名義はマーシャル諸島の所属船である。しかしその前はリビア国営の海運会社が持っていた。
2021-2-25には、バーレーン船籍だがイスラエル人所有の貨物船『ヘリオス・レイ』がオマーン湾を航行中にリムペットで攻撃された。
※新刊の『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』ではイスラエルの話を多くしています。おたのしみに!
尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法