日本版の「バイオセキュリティ研究所」は何をしなければならないか。

 Nathan Levine and Chris Li 記者による2021-3-16記事「Pathogens Have the World’s Attention
The United States Should Lead a New Push Against Bioweapons」。
   こんどの新コロについて言えば人類は比較的幸運である。武漢肺炎の死亡率は世界平均で2%だから。

 それに対してSARSは10%だったし、天然痘は30%だし、肺炭疽は80%、エボラは90%だ。

 そこでわれわれが心配すべきことは、人工的に強化された生物兵器の致死力はどのくらいになるのだろうかということ。

 2015にWHOは警告した。天然痘のゲノムは解析されているので、ゲノム編集装置を使えば、大学院生でも、感染力や致死性を強化した天然痘型の生物兵器を3ヵ月で人工合成できる、と。

 生物兵器を野放しにしてはいかんと最初に決心したのがリチャード・ニクソン。彼が1969に、米国は攻撃的生物兵器開発計画を終了させると宣言し、この流れの延長上に1972の生物兵器禁止条約が定められた。いま、この条約に署名していない国連加盟国は10ヵ国のみである。

 この条約の見直し会議は5年ごとに開かれている。次は2021-11月である。
 先行する準備会合ではバイオセキュリティやバイオ安全保障が討議されよう。

 ※この記事には不満を感ずる。そのわけは、人工生物兵器と天然病原体の中間の「兵器級に洗練・選別された天然由来病原体」について、記者には何のアイディアもないらしいから。武漢研究所はゲノム編集によってそれまで存在しなかったウィルスをつくったわけではあるまい。彼らは《発見》しただけなのだろう。ただしその《発見》の動機が不純で、技法が危険である。洞窟で捕獲したコウモリが持っている未解明ウィルスを培養し、それを数百匹の別種の実験動物の鼻や喉に片端からなすりつけるという技法で、「兵器級の天然由来病原体」を《発見》できるのである。自然状態だったならばコウモリとの濃厚接触など考えられないような諸動物や人間(囚人やコジキ)に人為的に感染させて、発症力や伝染力や殺傷力の強い株を次々に選んで培養して行くのが、早道なのだ。そんなヤバい実験に供されていた多数の動物のうちの1匹が巨大研究所のケージから逃げ出してしまったら? あるいは実験動物仕入れ担当係が知らず感染してキャリアーになって動物売買市場にやってきてしまったら? そしてその種のバイオ兵器探索実験を中共に禁止させることが、国連や他国にはできるとでも?



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