CAITLIN M. KENNEY 記者による2021-3-23記事「15th MEU commander fired following investigation into deadly training accident」。
AAV7が沈没して乗っていた海兵隊員が全員溺死した事故の調査が終わり、太平洋の海兵隊司令官スティーヴン・ラダー中将は、第15海兵遠征部隊の指揮官クリストファー・ブロンズィ大佐を解職した。
ブロンズィは2019-11から当職にあった。
AAVの沈没事故は2020-6-30に加州サンクレメンテ島演習場海面で発生した。
AAV7には21人が乗れるようになっているが、当日は15人乗っていた。訓練が終わって、揚陸艦『マキン・アイランド』まで自航して戻ろうとしている洋上で、浸水した。
島から1マイル弱のところ。水深は385フィートあったので、車体の発見までに4日かかった。
死亡者名簿は公表されている。いちばん若いのが18歳の1等水兵。いちばん年寄りでも22歳の兵曹である。将校は乗っていなかった。
※原因はどうやら公表しない方針か?
次。
Joseph Trevithick 記者による2021-3-22記事「Marines Test Javelin Missile Teams In Rubber Rafts “Like Somali Pirates, But Better Armed”」。
このたび海兵隊は沖縄周辺で新しいコンセプトを試した。
ゴムボート内に「ジャヴェリン」対戦車ミサイルを持ち込み、それによって中共の船艇と交戦しようというのだ。
ゴムボートから重火器を運用できるんだという発想は、過去20年ほど、アデン湾のソマリア海賊どもから教えられてきたという。つまりRPG。それを小舟から発射しても何の問題もないと。
今回のジャヴェリンの持込みに先行して、「スティンガー」対空ミサイルもゴム筏上から発射できることを、海兵隊は今年早々に実験して確認している。
ジャヴェリン持込みは、2021-3-20に終了した「キャスタアェイ21.1」演習の中で試された。
伊江島にEAB=遠征前進基地 を構築するという想定。
さいきん海兵隊で使っているゴムボートは、水線下断面がV形になっていて、外洋に強い。従来は平底だったが。
船外機を駆動し、20海里(37040m)から30海里(55560m)も機動できるのだという。
※ゴムボートに投棄式の予備燃料タンクを搭載させて 190km=103海里 くらい機動できないだろうか? それができるなら宮古島から魚釣島/南小島まで辿り着けるのだが……。魚雷形タンクとし、アウトリガーのように舷側に半没させていけばいいのでは?
ジャヴェリンをゴムボート上から発射する場合、バックブラストはどうするのか、だが、舷側に向けて発射すれば、バックブラストで筏が傷むことはまったくないそうである。むしろ陸地上で運用するよりも安全だと。後方に人がいる可能性がゼロだから。
主として想定している目標は、敵揚陸艦から吐き出された上陸用舟艇/水陸両用車両 である。
海兵隊が確保したEABに、中共軍が沖から逆襲をしかけてくるのを、邀撃する。
したがって海兵隊も基本的には海岸の塹壕陣地から沖へ向けてジャヴェリンを発射することを考えている。
対戦車ミサイルで沿岸防御しようと考えている国軍としてはフィンランド軍がある。ドイツ国内の「ユーロスパイク」社が製造している「スパイクER」(イスラエル設計)を、フィンランド軍は海岸線防禦用に採用した。
さいきんの長射程の対戦車ミサイルは、低空飛行中の敵ヘリコプターに対しても命中させられるポテンシャルがある。
※近刊の『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』では、「スパイク」や「ジャヴェリン」の紹介もしています。おたのしみに。
尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法