Ruth Michaelson 記者による2021-3-26記事「Muddy the waters: Egyptian authorities struggle with Suez canal blockage」。
海上歴35年のベテラン船長、ランジャン・ショードリー氏は、スエズ運河の水先案内人について語る。いわく。今回のエバーグリーンの事故は、どうせ水先案内人がやらかしたに違いない。
エジプトとSCA社はスエズを通る船には水先案内人を乗せることを義務付けている。
しかるに、この水先案内人どもときたら、ブリッヂ内で音楽をかけていやがるんだ。そしてAISは無視している。目視先導に不可解なまでの自信を持っているんだ。※だからブラウンアウト状態下で東岸へ舳先を向けた?
やつらは常に何か物を食っており、タバコを吹かし、よけいな雑談をし、船員から賄賂をねだる。そういう連中である。こっちがいそがしいとき、その対応に追われちまう。
操船はアートなんだ。集中が一瞬途切れただけでも、巨船は急に停止や変針できるものではないから、惨事に直面する。しかるにSCAの糞パイロットどもが、われわれに集中をさせてくれない。
俺たちはスエズ運河を「マルボロの国」と呼んでいる。糞パイロットどもにマルボロのカートンを進呈すると、奴らは喜ぶんだ。このど腐れ水先どもを適宜にあしらうことができるようになって、はじめて外航船長は一人前に成長したといえる。
エジプト政府はどうしようもない秘密主義だから、今回の事故の調査に透明性なんてまったく期待できないね。事故の真因は隠蔽されるだろう。
※国に保護された独占企業体は必然的に腐敗する。地上波放送局と同じだね。
次。
『The Maritime Executive』の2021-3-25記事「 Giant Boxship Ever Given Could Block Suez Canal for “Weeks”」。
もし月曜までに離礁作業が成功しなかったら、次の大潮は13日後になってしまう。それまでずっと運河は塞がりっぱなしだ。
※この記事への一コメント書き込み。イスラエルは、アカバ湾=エイラート港からUAEまで陸上鉄道を敷設したいという希望を持っている。それが今回の一件で加速するだろう、と。ここから思うこと。イランがイスラエルの潜水艦をエイラートから南下できないようにしようと思ったなら、その方法はじつに簡単だった。スエズが1レーンしかない、海底も護岸も泥になっている区画で、運河の巾300mよりも長い――全長400m級の――船を横向きに座礁させるだけでよかったのだ。動かせば爆発するコンテナを混ぜておき、エンジン室と機械室は破壊し、燃料タンクは燃やしてしまえば、数ヶ月は撤去はできまい。
次。
Rose George 記者による2021-3-25記事「I’ve sailed the Suez canal on a cargo ship ? it’s no wonder the Ever Given got stuck」。
いかにスエズ通航は、退屈で苦痛であるか。
エジプト政府は、この運河の通行料として、年に数十億ドルの外貨をコンスタントに懐に入れることができている。※江戸時代の長州藩と同じ。
2010年にある貨物船はここを通航する料金として30万ドル支払った。1隻が1回通るだけで。
運河を通り抜けるときは低速にしなければならないので、14時間もかかる。最初の1時間で、景色(砂と椰子樹)には見飽きる。それがあと13時間も続くのかと思うと、誰もがうんざりするのだ。
これに「スエズ・クルー」が加わる。義務として同乗させねばならない、水先案内人たちだ。彼らのための専用のキャビンが用意されている。
水先案内人どもは、その快適なキャビンでフルコースの食事を平らげるのに忙しい。そして残りの時間はボーっとしているか、居眠りをしている。われわれの二等航海士は、こやつらの目を醒まさせておくのが仕事である。
二等航海士は、夜間にスエズを通航する場合、まず一睡もできない。
古きよき時代、貨物船の船員たちは、昼飯の時刻に港内で漂泊することができた。今はそんなことは許されず、ある港に入ったフネは、10時間もしないで、また出て行かなくてはならぬ。休み無しだ。
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