台湾はフランスで建造したフリゲート艦にVLSを取り付けてもらおうとしているが、技術漏洩の懸念があり、交渉が難航中か。

 Madeline Colwell 記者による2021-3-30記事「Breaking Ice in Darkness: Reflections from an Ice Pilot’s Winter Mission to the Arctic」。
    北緯66度33分の北極海西部。米コーストガードの砕氷船『ポーラースター』は、ここ数週間、太陽を見ていない。
 パトロール期間は、2020年12月から、2021年2月までだ。

 ワッチ当直の責任は重大。ひとつの誤判断により、舵やスクリューが損傷を蒙ってしまうから。

 なにを判断するか。いちばん氷が薄いところはどこかを、真っ暗闇の中で、見定めるのである。そこを進ませる。
 「氷上水先=アイスパイロット」という。

 アイスパイロットは、2名1組だ。2名が同時に当直。
 1人は、舵輪とスロットルレバーを握る。もう1人は、前方の氷を見てコースを決める。

 水面から105フィートの高さから見渡すので、コース選びは比較的に楽であるという。
 しかし光源は投光器の人工照明だけだ。ふぶけば視底はゼロになる。

 夏に白夜現象が起きるところが、極圏だ。
 そこでは冬には、逆に太陽が水平線から出なくなる。
 しかし完全な暗闇ではなくて、薄明/薄暮状態の期間が長いのである。

 アイスパイロットは、NVG(ナイトビジョンゴーグル)も用いる。

 レーダーの視程は、氷海面に対しては、だいたい1マイル未満だ。サーチライトが届かない距離の前方に大きな「嶺」があるかどうかの、見当がつく。

 「フルノ」と「Rutter」の2大民間レーダーメーカーは、反射信号をデジタル処理して、遠くの氷面の起伏をモニター画面上に可視化できるシステムをコーストガードに提案しているが、予算がなく、『ポーラースター』はそれを搭載できていない。
 ※フルノはほんとうにたのもしい日本企業だ。防衛省や海保がこのメーカーのポテンシャルを活かせていないとしたら残念なことだ。……というか、飛躍のためにはいっそ拠点を北米へ移したほうがいいのか?

 切り開いた氷面は、艇のすぐうしろで、閉じようとする。その圧力は大きいので、後進をかけてから再前進で厚い氷を割ろうとするときに、バックできなくなることがある。すると、何時間もそこにとじこめられてしまうのだ。

 氷を擦りながら進むときのノイズは相当なもので、それが船内へモロに伝わるから、非番の乗員も水線下の居室で安眠などできるものでなく、全乗員がたいへんなストレスを蓄積する。

 『ポーラースター』はふだんはディーゼルで巡航するが、分厚い氷海面では、ガスタービンを起動する。
 新コロのおかげで、パトロール期間中にちょくちょく上陸休憩することもできなくなった。なんとか艦内で娯楽を用意するしかない。

 こんかい『ポーラースター』号は、北緯72度11分まで北上し、米国船籍の水上艦船として、新記録を打ち立てた。



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