中共の軍事ウェブサイト『ネイヴァル・ニューズ』が4-1ジョークとして、中共が核動力魚雷を搭載する世界最大のSSBNを建造したとイラスト付きで報道。

 当局はよろこばなかったようで、このサイト運営者にはお咎めがあるかも。
 ジョークの内容が小学生っぽくて、海軍の伝統のいかにも浅い国であることを、あらためて各国当路者に思い出させたと思う。

 スエズマックスの大型艦型にするのには一理あるとしても、1隻に数十基のSLBMを詰め込んでもちっとも合理的じゃない。ガキじゃないんだから、ここは、最新の陸上用ICBMをそのまま流用したSLBMを少数、積んでみますた(したがってすぐに米国東部に届きます)、という じっさいにやるかもしれないという一抹の疑心暗鬼を敵(米国)に与えるようなヒネリが必要だっただろう。そのリアルな凄みとどうじに、何かおもしろおかしい味が加えられていなければ、エイプリルフールにはふさわしくない。たとえば、セイルの外板をフカヒレでつくっています、とかね。

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 KARIN ZEITVOGEL 記者による2021-4-2記事「Army special operations troops have lower blood lead levels after firing range fixes, study finds」。
    小銃射場で兵隊が、空気中に漂う鉛粉末を吸い込み、それが体内に蓄積されてしまうという健康被害問題。
 このほど、シュツットガルトの米陸軍の射場を改造してみた結果、そこを使用する特殊部隊員の血中鉛濃度が確かに低下したことがわかった。

 鉛は、バックストップの土手から飛散するようだ。そこで主眼としては、バックストップの土手の土を入れ替える。

 客土ができない場合は、兵士各人につき、そこの使用頻度を制限する。

 飛散した鉛は、戦闘服や手につく。そこで、射場に洗濯機を付随せしめ、さらに手洗いを励行させる。
 とくに射場を去る前に皮膚や衣服の鉛を落としておくことが大事。そのまま家庭に戻って子どもが鉛を吸い込んだら、さいあくの場合、神経の発達に悪影響が出る。

 特殊部隊員は実弾射撃を熱心にするゆえ、彼らが使う射場の空中鉛微粒子密度は、濃密になってしまう。

 この改革がなされる前の2017年の計測では射場を利用した特殊部隊員の血中には1デシリットルあたり1マイクログラムから35マイクログラムもの鉛が検出されていた。今日、それは1マイクログラムから15マイクログラムにまで減少を見たそうだ。ちなみにサンプルは57人である。

 軍が準拠する基準値は、1デシリッターあたり25マイクログラム。鉛がこのレベルを超えれば、健康の危険があると考えられる。

 兵隊ではない平均的な米国の成人だと、血中から、デシリットルあたり1マイクログラム未満の鉛しか、検出されることはない(2015~2016年の値)。

 成人が鉛にやられると、高血圧、関節痛、筋肉痛、頭痛、腹部痛、記憶障害、男子の精子異常、などが起きる場合がある。

 ※特殊部隊員が献血するとその血中には鉛が混ざっているわけか。タマにうつタマがない陸自隊員は、この点、しあわせかもね。あと、血中の鉛レベルなんか誰も気にしていなかった17世紀からベトナム戦中にかけては、どうなっていたのでしょうな。そしてもうひとつ。トラップ/スキートの散弾射撃の競技をしている人たちは、だいじょうぶなのかよ? はよ代替素材を考えましょうや。

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 Sandra Erwin 記者による2021-4-1記事「Japanese military strengthens ties with U.S. Space Command」。
   米軍スペースコマンド発表。日本政府と米国政府は2020-12に合意文書に署名した。日本の準天頂衛星を打ち上げるついでに、2個の米軍のペイロードも軌道投入する、と。

 この合意には、空自のリエゾンオフィサー1名が、コロラド州のスペースコマンド司令部に常駐することも含まれている。

 2023年と2024年に種子島から打ち上げるロケットに、米軍の光学衛星(現在開発中)を積む。

 ※英文記事を見ていてもあんまり入ってこない情報を、九州大学の益尾知佐子准教授がいろいろなところで書いてくれているのでじつに助かる。特に「BeiDou VMS」(北斗衛星群が備えるVessele Monitoring機能)の解説は超貴重。すでに中共の漁船4万隻以上にこの端末が実装されていて、5分ごとにその最新の更新位置情報が陸上の海警に把握されているのだ。そして衛星経由で、漁船同士でもスマホの連絡がとれてしまう。北斗はただのナビ補助衛星ではなく、通信衛星機能を兼帯しているのである。内陸河川の漁船も、この端末をつけていれば、遠洋漁船と連絡できてしまう。というか、当局から完全に動静を把握されてしまう。もちろん過去の航跡ログも通信ログもぜんぶ記録されている。中共漁船に関しては、反政府活動にはぜったいに使えないようになっているのである。それを衛星で実現した。熊プー、すごいぞ。米軍スペースコマンドではこう思っているのではないか。なんで日本の準天頂衛星に、そういう機能をつけてやらんの? 対抗できんでしょ、と。さらにこうも思っているかもしれない。あるいは「フルノ」ならば、北斗のVMSにサイバーアタックをかける方法を発見してくれるかも……と。



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