小型で安くつくというのが売りだったLCSの運用経費は、けっきょく本格イージス艦と大差なかった。やっぱりね。

 ストラテジーペイジの2021-4-13記事。
   4月6日、紅海にて、イスラエルのコマンド部隊がイランの貨物船『サヴィズ』号にリムペット爆雷をしかけて小破させた。
 『サヴィズ』号はイエメンのホデイダ港の北西150kmの公海上に停泊していた。

 2019年にこんな珍事があった。同海域で、病気になったイランの船員を、サウジ軍のヘリコプターが、サウジの救急病院まで運んでやったのだ。イランとサウジの間には、国交は無い。
 イランは国連を通じて入院治療を要請したのである。

 『サヴィズ』号は何年も同じ場所に堂々と停泊して、海上の密輸中継基地として機能していた。

 サウジ軍がこのフネを放って置くのは暗黙の了解。IRGC(イラン革命防衛隊)が機雷を敷設したり対艦ミサイルを発射しないかぎり、黙認する方針なのだ。

 フーシがサウジ攻撃に使っている自爆無人機も、この『サヴィズ』を経由して密輸されている可能性が高い。自爆無人機の威力がそれほどではないので、サウジも動かないのだ。

 3月27日、オマーンを出港したイスラエルのコンテナ船が、イラン沖で、小型のミサイルによって攻撃された。発射したのは附近の小型のイラン船のようであった。損害は軽微だったので、コンテナ船はそのままインドへ向けて航海を続けた。
 ※この事件の報復というわけか。

 次。
 Logan Mahan 記者による2021-4-13記事「The Real Problem With Male Birth Control」。
   皮膚に貼ることによって避妊できる、経皮避妊薬は、すでに女性用に実用化されている。有効性は高い。
 ところが、この避妊パッチを貼ったままでいると、人によっては、おかしな症状が突発する。
 ある22歳の女性。ホテルで働いていて、水の入ったケースを運搬し、立ち上がろうとしたら、数秒間、失神。シャワー中に失神したこともある。

 この人は医師に相談して、経口避妊薬に変えた。

 ホルモンを制御する避妊薬は、慢性頭痛や、めまい、不期出血、性欲減退、体重増加、尋常でない気分の急変などの副作用を、よく伴う。稀には心臓麻痺、血栓、鬱、不安、発作的な気絶も……。
 朝起きられなかったり、一日中あたまが痛かったりしては、さしつかえる仕事は多くなる。

 2018のCDC統計によれば、米国女性の「三分の二」近くが、なんらかの避妊を実行している。その方法の筆頭は女性用不妊化手術〔輸卵管などを結紮する術?〕で、二番目がピル。

 ピル情報は、SNSのティクトク上でよく交換されている。たとえばある女性は避妊薬服用によって肌の透明度が増したという。

 コンドームは万全とは限らないので、女性側がピルによって第二の避妊防壁をつくっておくことは安全である。

 これまで、男性側にできる避妊方式は、コンドームか、精管切除術しかなかった。

 だが現在、男性用の有望なホルモン制御避妊薬が開発されつつある。試験も良い調子だという。10年以内には、市販薬にできると期待されている。

 これまでに研究された男性用避妊薬は、うまくいかなかった。2011にプロジェクトが一回放棄されている。

 2016年、避妊効果が96%という男性用の注射薬が開発された。ところが副作用があった。にきびができる。性欲が昂進する。気分が変わりやすくなる。そして筋肉痛。
 被験者の75%強が、それでもじぶんは使ってもいい、と言ったが、やはりこの薬の開発は続けられなかった。
 2018-10に、欧米7ヵ国で、男性用のジェル状の避妊薬のテストが始まった。
 開発目標は、女性用ピルと同程度の避妊効果を発揮できること。
 この研究は今も続行されている。そして、どうやら前途有望らしいとわかってきた。

 この避妊ジェルは「NES/T」と呼ばれる。男性が1日に1回、肩に塗ればよい。
 成分は、黄体ホルモン薬(酢酸セゲステロン=商品名ネストロネ)とテストステロンである。
 FDAはテストステロンの軟膏薬「アンドロジェル」等を、前から承認している。
 だから、このテストステロン軟膏に、ついでに、避妊薬である黄体ホルモン薬も混ぜてやればいい、という発想だ。

 女性の場合、4週間ごとに卵子があらわれる。つまり年に13回、妊娠可能状態になる。卵巣は黄体ホルモンをつくりだしている。黄体ホルモン薬を外から投与してやることによって、卵巣が黄体ホルモンをつくれないようにしてしまう。

 男性の場合、黄体ホルモン薬は精巣に作用し、精子とホルモンを臨時に作れなくする。だが同時にテストステロンも加わっているならば、勃起は可能だ。

 問題は、女性の場合、卵子は単発銃の弾丸のように1発づつ装填される仕組みなので、チャンバーを確実にカラにできるのだが、男性の場合、精巣上体=副睾丸には、ドラムマガジン級の大量精子が常に貯蔵されており、その残弾によって何度でもバースト射撃できてしまうという点。

 だから男性用避妊ジェルは、塗布してから3ヵ月ないし6ヵ月待ってもらわないと、避妊効果を発揮しない。半年くらいすれば、副睾丸の中の残弾はほぼ空になり、まず女性を妊娠させ得る確率はゼロに近くなる。
 同様のディレイは、避妊薬の塗布を男性がやめたときにも起きる。3~6ヵ月しないと、女性を妊娠させられるカラダには戻らない。

 今後、最も調子よく試験が進んだ場合、男性用避妊ジェルは、5年後に市販される。

 ビッグファーマと呼ばれる世界的に巨大な製薬会社は、この分野には関心をもっていない。儲かりそうにもないからだ。現状、抗癌剤や、感染症対策薬の方が、ずっと稼げるのである。

 だから、中小製薬会社が、この男性用避妊軟膏を製造するだろう。
  ※日本の某製薬会社だったら「タネトール」という名前にするだろうか? それだと爆薬みたいに聞こえる。



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