おくればせながらTB2のエンジン判明。

 indomilitary の2020-10-28記事「Turkish combat drone Bayraktar TB2 is subject to an embargo on vital components from Canada」。
    単行本に盛り込めなくて残念だが、ようやく情報にたどりついた。

 「バイラクターTB2」のエンジンは、2020-10時点では、「Rotax 912」という100馬力の内燃機関を搭載していた。このエンジンは、オーストリーのロータックス社の製品である。ロータックス社は、カナダの「ボンバルディア・レクリエーショナルプロダクツ」社が所有する子会社で、BP社の主力商品は、スノーモビルとか水上バイクである。

 BP社は、ケベックにあり。

 ※カナダからエンジンをトルコに送っていたわけではなく、カナダ企業が支配するオーストリー企業がトルコにエンジンを供給していた。それをカナダが止めさせた。

 EUの「デュアル・ユース・アイテム規制リスト」には、ドローン用エンジンは含まれていない。
 よって、オーストリーの国内法は、ロータックスエンジンが輸出された先で軍用UAVに搭載されるかどうかは関知をしないで輸出を許可する。

 ついで情報。インドネシア軍は中共製の「CH-4」武装ドローンを6機買うという。
 『アジアタイムズ』によるとロシアは「クラクシュカ」妨害装置によってTB2を1機落としていると。2020-10-19に。

 次。
 indomilitary の記者による2021-1-17記事「After being embargoed by Canada, Turkish Drone Bayraktar TB2 is now subject to an embargo on components from the UK」。
   カナダは、傘下のロータックス社に命じて、2020-10に、トルコの「TB2」のためのエンジン輸出を止めさせた。

 2020-11にアルメニア政府は大使館を通じて英国「Andair」社に、トルコの「TB2」のために部品(燃料ポンプ、チェックバルブ、水入れ)を輸出しないでくれと要請した。この話は2021-1に公表された。

 バイカルマキナ社は、これからは燃料系統の部品は国産品を調達すると言っている。

 ※バイカル社は、オフザシェルフをかきあつめることで、世界最安価を実現したのか。西側市場からのこうした輸入はシナ企業には不可能だから、トルコ製が、価格でも中共製を下回ることができたのか。

 エンジンについても、これからは、やはり国産の「PD170」を使うことにするという。これはTEI=TUSASエンジン工業 の製品である。

 また、カナダから買っていたWESCAM(メーカはL3ハリスで、カナダのオンタリオ州に本拠があるという)の代用品には、Aselsan社製の「CATS FLIR」というハイレゾカメラを使うという。

 ロータックス社は、オーストリーのエンジンメーカーである。しかしその資本はカナダのボンバルディア社が支配している。

 ※「MQ-1 プレデター」が搭載しているエンジンのメーカーがロータックス社。なぜかこの二つの記事はそれをスルーする。ロータックス社とBP社も、それは宣伝したくないようである。それで「TB2」のエンジンについて調べようとしても、なかなかヒットしなかったのか。

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 indomilitary の2021-6-7記事「Shot down, Russian reconnaissance drone turns out to be using components from the US」。

 ロシアの「オルラン10」UAVをウクライナ軍が撃墜し、その部品構成を調べたところ、米国製の部品が使われていることが判明した。

 その他、中共製、スイス製、日本製のパーツも「オルラン10」には組み込まれていたのである。

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 Evan Bleier 記者による2021-6-7記事「MLB Pitching Is So Dominant Right Now That a Steroids-Like Crackdown Is Coming Soon」。
    今、大リーグでは、バッターの打率が史上最低になっており、その逆に、ピッチャーの奪三振率は史上最高になっている。

 これは何を意味するかというと、ピッチャーたちが、指に自家製の「糊」を塗って、ボールの旋転率を上げているのである。いわば、イカサマ魔球を投げているわけだ。

 ※これ、甲子園で使おうとする奴がぜったいおるやろ。練習では塗らず、本番だけこっそり塗ったら、相手は読みが外れて対処不能でキリキリ舞いしよる。プロ入りがかかってるなら、誰が自制できる?

 「ペリカン・グリップ」「スパイダーテック」などと称される、さまざまな新奇な混合糊物質が工夫されている。

 このスキャンダルについては、『スポーツ・イラストレイテド』誌が良い記事を出している。

 それによると、この糊のために、てのひらの皮にダメージを受けているMLB投手がすでに何人もいる。

 いったいどのくらい粘着するかというと、開いたてのひらをシンダーブロック(石炭ガラをセメントで固めた安価な建材)の上からペタンと押し当て、そのまま腕を上げれば、指を握らずとも、ブロックが持ち上がるという。

 どの投手がいつ使ったかは、だいたいプロの目で見ればわかるという。
 悪用者は、登板する全試合でそれを使っているわけではないらしい。ときどき、使うわけである。

 先週の『ニューヨークポスト』紙は、そろそろこの糊を使った投手たちに対する一斉「手入れ」を、MLBはやるらしいと伝えた。

 MLBのルールブックの条項「6.02c」は、アンパイヤに、投手が投球を細工するかもしれない物質のチェックを義務付けている。
 そうした粘着物質は、投手の帽子や、グローブ、ウェアのどこかに、人目にはわからないように仕込まれていて、投球直前にそこを指で触ることにより、魔球が可能になる。アンパイヤは、投手の登板の都度、そこをよく点検しなくてはいけないのだ。本来。

 ある球団幹部いわく。おそらくシーズン中に8試合から10試合ほどが、ランダムに選ばれて、抜き打ちで、糊物質についての捜索がなされることになるだろう。

 違反を摘発された投手は、10日間は無給という罰を申し渡される。

 また各球団は、ロッカールームなど屋内各所に監視ビデオを設置して、インチキ糊の仕込みを防止しなければならない。

 カーディナルズのピッチャー、ジョアヴァニー・ギャレゴスは、5-26の試合中に「その帽子を取り替えろ」とアンパイヤから命じられた。彼が帽子のツバに糊を仕込んでいることを、ジョー・ウェストは見破ったのだ。
 マイク・シールド監督は、アンパイヤに猛抗議して、退場処分を喰らった。監督としては、そうするしかないのである。

 ※これをまちがって三塁手が塗ってしまったら「魔送球」ができるわけか。というか、野手が塗っても誰も問題にせんやろ。

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 Battles – The Battle of Messines, 1917 という歴史記事。
    イープルの南東で1917年に英軍が仕掛けた「坑道発破」作戦。19本の坑道を掘って、稜線上の独軍陣地を地下から吹っ飛ばそうとした。
 一連の発破で独兵1万人を殺している。

 装薬量が最大だったのは 9万5600ポンドの爆薬を充填して発破したもの。これで直径176フィートのクレーターができた。
 クレーターが最大になったのは、直径250フィート。装薬量は9万1000ポンドであった。

 ※一覧表がついている記事なので、物好きな人のために 紹介しておく。

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 Cesar Pintado 記者による2021-6-5記事「Chinese Mercenaries in Africa」。
   中共は一帯一路戦略にもとづいてアフリカ各地に事業投資している。その事業を現地のドロボウやゲリラや隣国軍が狙ってくることがある。その襲撃から従業員と資産を守るため、中共は「民間軍事会社」も当地へ送り込んで、アフリカ傭兵を雇い、事業所を自衛させている。

 ※これは春秋戦国時代から辛亥革命時代までず~っとやってきたことの、自然な応用にすぎない。シナでは誰も公権力による私有財産の保護は期待し得ないので、カネのある者が「私兵」(軍閥)を育てて自衛するほかになくなるのである。いま熊プーが国内ハイテク企業を弾圧しているけれども、これも、自由に企業に儲けさせておけば、そのうちに、ありあまる資金の一部が自衛のための「私兵」育成に流れはじめ、軍閥割拠情況ができてしまうから。わたしは旧著『米中AI大戦』の中で、「アリババ軍閥」の誕生を予言している。

 海賊対処などのサービスを提供する中共の「傭兵用心棒会社」は、すでに20社から25社、アフリカで商売中。
 ところで、PSC=民間安全保障会社 と、PMC=民間軍事会社 は、異なる。

 PSCは受動的な活動しかしない。門衛とか、守衛とか、巡回監視とか、護衛とか。
 それに対してPMCは、重武装で、現地正規軍や警察に稽古をつけたり、もっと能動的である。

 初期の中共傭兵用心棒団の特徴として、安価サービスが売りであった。中共企業は用心棒に大金を払おうとしない。高いサービスの質は求めない。

 しかし2019から、質が求められるようになった。そのため用心棒企業の数は淘汰された。零細会社では、傭兵の年金や死傷時補償などを手当てできないからである。

 中共の法律は、民間のシナ人に武器の携帯を許さない。それが国外であっても。

  ※「さいしょから武器を隠し持っている偽装漁民」というのシナリオのありえなさが、わかるであろう。漁師が武器をもっている時点でそれは中共の法律にも違反したアウトローだと認定されるのである。したがって中共政府として「宣伝」が成り立たない。武装した海上民兵ならそれは軍艦と同じであり、いきなり海上自衛隊の防衛出動である。だからシナ漁民はまず完全に丸腰で尖閣に上陸させ、それに続いて海警・武警が上陸して、あとから法令によって、ただの漁民を臨時「民兵」に仕立てて武器を持たせるという段取りにしなければならない。