鉛直方向にしか射撃できない、熊駆除専用のドローンは可能なはずだ。

 今回は警職法4条の緊急避難を適用して猟友会のライフルマンに「撃ってくれ」と指示を出したようだが、もし時間帯が夜間だったり、場所が住宅地であったら、その指示も出し難く、これまでのように翌日までの長時間、さらに「現行犯熊」の徘徊をゆるしたであろうことは想像に難くない。

 害獣駆除の必要があっても夜間や住宅地での発砲が制限されるのは、誤射や流れ弾を心配するからである。
 熊の頭上から下へ向けて発射する猟銃であれば、すくなくとも流れ弾の心配はないだろう。画像は録画できるので、あとから検証も確実だ。

 これは北海道では漁場のトド駆除にも使えるはずだ。まずそっちで器材を改良して、それを熊用にコンバートするのがよいかもしれない。

 地上から熊対処にあたる警察官は、音響やマイクロ波やレーザーにより致死的でない苦痛を与えてその場から熊を退去させられる装備を持っていることが望ましい。夜間や市街地でも使えるので。しかしこれは車載式では熊の機動力に追いつけないから、人が携行できるサイズでないといけない。そういう製品はまだ無いはずだ。

 熊用の電撃刺股と共に、とっとと開発して欲しい。

 次。
 Matthew M. Burke and Alex Wilson 記者による2021-6-18記事「More US bases begin vaccinating their Japanese workers as COVID-19 cases decline」。
    米海軍の横須賀基地では金曜日から、基地従業員(日本人)に対するワクチン(モデルナ)接種が始まった。初日には800人が予約しており、朝だけで120人に射った。

 ただし、米軍からワクチンを射ってもらった人に、もし副作用が出たとしても、日本国は補償しない。そこを気にして、ワクチンを射たぬことに決めた従業員もいる。

 横須賀の基地司令であるジャレット大佐いわく。7月末までには、希望する日本人従業員全員が二射を済ませられるようにするつもり。

 横田、厚木、岩国でも、金曜日から、日本人従業員に対するモデルナの接種を始めた。

 次。
 Alex Hollings 記者による2021-6-17記事「AC-208: America’s Cessna that shoots Hellfire missiles」。
   「セスナ」と聞けば単発高翼の「セスナ172」の姿が想起される。

 高翼ながら双発で、客席数も多い「セスナ 208 キャラヴァン」は、一般には有名ではないが、小型機業界ではこちらも名機である。

 ノースロップグラマン社の子会社になっている「オービタルATK」社が、この民間型「208」を武装機に改造したのが「セスナ AC-208 エリミネーター」だ。
 AGM-114ヘルファイア・ミサイルと、70mmロケット弾ポッドを、主翼下に吊るす。

 ヘルファイアには多くのタイプがある。AC-208からは、母機のレーザーデジグネーターで終始誘導するセミアクティヴ式のヘルファイアだけでなく、弾頭にミリ波レーダーが内臓されているアクティヴ誘導式のAGM-114Kも発射することができる。こっちは、射ち放し式にできる。

 AC-208のヘルファイア最大搭載数は4発だが、70mmロケット弾を誘導式にした、より軽量な兵装であれば、タマ数を飛躍的に増やすこともできる。

 AC-208の正副操縦士(隣席が兵装誘導担当)のためには、防弾板が増設されている。
 ただしAC-208の定員は3名。3人目は「ミッション・システム・オペレーター」といい、多種のセンサー類を担当。

 歩兵が携行できる肩射ち式のSAMは、射高がせいぜい1万フィート。AC-208は2万フィート以上の高空から対地攻撃できる。

 もちろんAC-208には、ミサイル警報装置と、フレアやチャフを自動で放出する欺騙装置が搭載されている。

 AC-208はまずイラク政府軍に供給された。2009年から。

 AC-208のエンジンは、876馬力のプラット&ウィットニー PT6A-140 ターボプロップ。ヘルファイアを吊るした状態で213マイル/時で巡航できる。航続距離は1200マイル〔=2222km〕以上。
 ※ちなみに佐賀空港から魚釣島西端までは1059km。鹿児島空港からでも同じくらいである。

 AC-208は、70マイル/時の低速飛行をしても何の危険もない。
 ※したがって先島群島内にあるすべての直線道路を、臨時滑走路として役立てることも可能だ。

 車輪は頑丈な固定脚。ゆえに舗装されていない草原をも滑走路の代わりとして使える。

 セスナ・キャラバンをヘルファイア運用機に改造してイラク政府軍に持たせたいのだという話は、2008年に、米空軍から、オービタルATK社にもちこまれた。彼らはたった11ヶ月で、ヘルファイアを発射できるプロトタイプを納品した。

 2009年からあるAC-208を初期型と呼ぶなら、「ブロック2」は2017年から供給されている。

 今では、イラク軍の他に、アルゼンチン、ホンディラス、ケニア、レバノン、モーリタニア、ニジェール、イエメンの政府軍が、「エリミネーター」を採用している。
 パイロットの訓練は、米空軍が担任している。
 ただし、これら「コンバット・キャラバン」の売り込みと訓練の実態は、ほとんど非公開である。

 そして注意が必要だ。米軍は、AC-208を1機も保有していないのである。すべて、他国軍用なのである。

 イラク軍がAC-208から実際にヘルファイアを発射するようになったのは、2014年からである。最初の戦場はファルージャとラマディで、相手はISだった。
 2018には、ISが「高射砲」によってイラク軍のAC-208を1機、撃墜している。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-6-18記事。
    中共軍は部内の将軍・提督たちからも批判されている。演習・訓練が、シナリオありきであると。

 いっぱんに水兵の練度は、海上に出ている時間が長ければ上がる。ところがこれは水兵からは大不評である。空軍パイロットの場合、飛んでいればいるだけ、面白い。だが水兵の場合、海上勤務は長いほど苦痛である。これはどうしようもない。

 中級・下級将校は要領が良いので、最新装備をピカピカに磨いておけばあとはどうでもいいのだということがよくわかっている。

 最近イランはハマスに、ロケット弾を精密化するGPS誘導装置やINS誘導装置を供与するようになった。ハマスはそれを地下工場でロケットにとりつけて発射する。

 無誘導のロケット弾は飛翔距離が伸びると弾着が広くばらける。だからこれまでテルアビブやエルサレムでは、ハマスのロケット弾がポテンシャルとしてそこまで届くとしても、住民はそんなのを深刻な脅威と思わずに済んできた。だがこれからはそうはいかない。ハマスがそれら遠距離の都市に向けて射ったロケット弾は、かならず住宅地に落ちる。とすると、イスラエル軍は、アイアンドームでそのすべてに対処しなければならない。これは量的に不可能である。

 ※アイアンドームは、住宅地に落下しないと見切れたロケット弾は相手にしないアルゴリズムになっている。


 イエメン、サウジアラビア、アフガニスタンで回収されたゲリラのUAVの残骸の中からは、マーキングが一切無い、イラン製のジャイロスコープが見つかるようになった。これによってゲリラは、安価なUAVを、精密に目的地まで到達する長距離ミサイルに変身させられるのである。