ドイツ兵とイタリア兵は、アフガンからの撤収を了えた。

 J.P. Lawrence 記者による2021-6-29記事「What’s next for the Afghan air force? Learning to fix aircraft via Zoom」。
   アフガニスタン政府軍の空軍の地上整備兵たち。2ヶ月前からリモート会議設備を使って、壊れた飛行機の修理法を学ばされている。
 従来の米民間人の契約整備士がいなくなってしまうため、その穴埋めが必要なのだ。

 アフガニスタン政府の一団が先週、DCを訪れ、この件についても相談した。米人整備士は、9月までは残るという。

 もし地上整備体制が崩壊すると、アフガン空軍は、3ヵ月くらいで機能停止するしかない。

 アフガン空軍の現勢は、固定翼と回転翼とあわせて160機以上。今もコンスタントに「被撃墜」が発生しており、過去4ヵ月では4機が撃墜された。

 ホワイトハウスでガニ首相らと会ったバイデンは、今後もアフガン政府軍に資金応援をすると約束。
 たとえばブラックホークUH-60を追加で45機、スーパーツカノA-29も追加で7機、すみやかにプレゼントするという。※コンバットキャラバンに言及がない点を注目したい。

 また、米軍が撤収してしまったあとも、カブール郊外で米人民間整備士は何人か、仕事を続けるという。

 アフガン国内のメディアによると、どうも最低200人くらいの米人整備係が残ってくれないと、どうしようもないみたいだ。

 国防総省高官も議会で4月に証言している。A-29とMD-530のメンテナンスには米人契約整備士が不可欠であると。アフガニスタン政府軍の特殊部隊が頼みにしているCAS機は、この2機種。したがってこの2機種が飛ばなくなれば、タリバンに対する政府軍からの攻勢作戦は一気に低潮化する。

 次。
 Paul J. Kern, Walker Mills, Erik Limpaecher, Matt Santoli and Ben Flanagan 記者による2021-6-29記事「|An Albatross Around the US Military’s Neck: The Single Fuel Concept and the Future of Expeditionary Energy」。

  1969年のベトナムはたいへんだった。数種類の燃料を用意する必要があって。

 米軍の機甲装備のうち、とくに燃料補給で苦労したのは、M48戦車。なんとガソリンエンジン。減りが早く、毎日2回、ガソリンを満タンにしてやる必要があった。

 燃料の入った「袋」を木の枝に吊るし、重力によって、液体燃料をタンクに流し入れるのだ。

 そのあとだ。米陸軍がSFC=単一燃料コンセプト に とりかかったのは。
 まず米本土の基地で、実験が開始された。いろいろな燃料をブレンドしてみたものだ。

 研究の結果、SFCが実施されるようになるのは1980年代後半である。

 陸上基地から発進するすべての航空機と、車両は、燃料としてJP-8を使うことになった。

 基本的には、民航機が給油されている灯油系の燃料に、軍専用の添加剤をいろいろ混ぜたものだ。潤滑性を向上させ、腐食性などは抑制してある。

 軽油(英語では「ディーゼル油」という。重油のディーゼルだってあるのにホントまぎらわしい)やガソリンは、それ専用に設計されたエンジンでしか使えない。しかしJP-8は、航空機用のタービンエンジンと、車両のディーゼル機関のどちらにも供給できる。

 車両のディーゼル機関にとってJP-8は理想的燃料だとはいえないが、動かすことはできるのである。

 2012年に、コストを重視して、米軍は、米本土内に限って、JP-8ではなく「F-24」燃料を使うことにした。
 「F-24」の成分はJP-8と類似。そして、そこらじゅうの民間飛行場に貯蔵されている。したがって流通網が既存なので、安価である。
 ただし不凍性に関してはJP-8に劣るため、アラスカ州内の米軍だけは、ひきつづきJP-8を使用している。

 また、海外基地の米軍もJP-8を主用する。

 米軍は、JP-8の他に、JP-5とF-76も燃やす。

 JP-8とJP-5は、航空機と車両のどちらでも使われる。艦載機はJP-5を選好する。というのも発火温度が高いので、洋上での致命的な火災事故が起きにくくなるからだ。

 ※JP-5は非常に高額なので、意味も無くJP-5を車両に給油したら怒られるはずだ。

 「F-76」は軽油=ディーゼル燃料である。軍艦のディーゼル機関、軍艦のガスタービン、そして軍艦の〔蒸気発生用の〕ボイラーは、これを燃やしている。

 米陸軍がSFCの有り難味を痛感したのは、1991のデザートストーム作戦の折であった。ベトナム戦争当時のような燃料補給の面倒からは、解放された。

 ただし、湾岸戦争で要求された燃料の総量は、途方もないものであった。

 第24歩兵師団の経験では、最初の攻撃発起点で全車両は満タンにできたが、それ以後、いちども、満タンにできたことはなかったという。

 将来の燃料は何になるのか? 海兵隊では「水素燃料電池」を有望と見て、少しずつ実験を進めている。

 1960年代に米陸軍は、小型原発によって水素と窒素を製造し、貯蔵しておいて、適時にそれを合成してアンモニア燃料を作ってはどうかと考えたことがある。ガソリンスタンドに依存しなくてよいわけだ。