着色航跡雲が消えやすいことは昨年、わかっていたのだから、1つの円周につき2~3機がかりで、1周の半分または三分の一の円弧を着色させ続ける方法を採用することは、できたはずである。

 ブルーインパルスでは機数が足りんというのなら、別な低速の飛行機を選んで解決するのが空軍じゃないのか?
 円周の径を縮約するといった臨機の算段も、いくらでもあり得た筈。
 プロなんだから、そのオプションをいくつも用意しておいてくれなくては、いささか頼りなく覚える。

 とにかく専門部隊が1年準備して失敗したなら、空軍は責任取らんとな。他国への聞こえも如何かと思われるでな。

 着色スモークについて英文ネットで調べたところを略述すれば以下の如し。

 着色スモークを作り出すスモークオイルは1957年に英国海軍の曲芸ヘリ集団「ブラック・キャッツ」がファンバラ上空で初使用した。
 当時は軽油が使われていた。だから発色が悪かった。

 今日では、着色オイルは生物学的に分解される。もちろん無毒。

 アエロバティックオイルは、パラフィンをベースにした鉱物油である。

 ジェット機を使ってこの着色航跡オイルを撒く場合、タンクからエンジンノズル直後の排気中に噴出せしめ、燃焼させる。

 ラクトース、塩素酸カリウム、デキストリンなどが燃料となる。これらは比較的低温で燃えてくれる。
 それと同量、あるいは半分くらいの量の染料を混ぜる。これで発色する。
 それに、冷却材として、重曹(重炭酸ナトリウム)が2%ほど、添加される。

 ピストンエンジンの飛行機でも、染料入りのパラフィン油を高熱のマニホールドパイプにぶっかけることで、着色煙を発生させることができる。

 さて以下は開会式についての私見だ。
 気の利く人間が、其処此処の要所に1人づつ居るだけでも、組織のパフォーマンスは劇的に改善される。

 どうすれば段差で、低身長の女性隊員の短靴の先がつっかからないようにできるか?
 段差をなくしてしまえばいい。旗の掲揚塔まで、バリアフリーの緩いスロープにするだけ。たったそれだけのことだった。
 そもそも儀杖用隊員の身長は揃えるというのが典礼を成功させる従来の行き方だろうが、時代と国柄が違うことを強調したいなら、階段をなくすべきであった。

 森喜朗氏は視界内の他者に対しては気の利いた対応ができるのだろう。同じ石川県の松井選手を登場させるためには長嶋氏を病院から引っ張ってくればいい――などとすぐに智恵が回るのだろう。
 ところが視界外の他者=大衆に対しては、森氏は何の気も利かない。だから彼は総理大臣となって以降、マスコミから憎まれ続けている。マスコミ=大衆にエサをやる方法が分からないのであろう。それを考える回路が、彼の頭の中にないのである。
 聖火を最後に運ぶ役に王・長嶋・松井のトリオを出して、それで石川県民や読売新聞社社員以外の視聴者はどう感じるんだ?
 いや、松井氏だって、今回のは、先年の国民栄誉賞を上回る、大迷惑だったであろう。森氏には、身内の松井氏を推すことが大衆無視の小さなオナニーだということが分からない。

 近代オリンピック招致は大衆をイカせる大きなオナニーである。そこを理解している演出家が日本にはいないんだということが、よくわかった。このことは、わが国からは決して「ヒトラー」が出ないことをも保証するので、ある意味、安心である。
 開会式は、大きなオナニーでなくてはならないのだ。日本人にはそれができないのだから、今後は演出家を外国人の中から探すほかないであろう。平時から気をつけて見つけるようにしておけば、候補者リストはすぐに充実する。電通に頼るまでもなくなるだろう。

 とにかく日本人の頭で「小さなオナニー」を集めて「ちらし寿司」を作ってはダメだ。

 ところで、橋本・バッハの背後でぴょんぴょんやってた選手たちに「もっとやれ!」と念波を送ったのは、俺だけ?