長岡外史はカムチャツカまで占領しておくことを希望した。媾和交渉のとき、カムチャツカから撤収するかわりに樺太は北部まで取り戻せるからだ。これがロシア人と交渉するときのテクニックなのだ。

 けっきょく樺太北部までしか占領をしなかったために、ポーツマス会議では、樺太の南半分しか取り戻せなくなった。この頃から、わが海軍と外務省には、地政学のセンスがなかった。

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 Dennis Ross 記者による2021-7-23記事「To Deter Iran, Give Israel a Big Bomb」。
    イランの新政権がバイデン政権に説得されて核開発をやめるなどと誰が信じるだろうか。
 米政府はイスラエル空軍に「GBU-57」(マウンテン・バスター。地下にある敵の大量破壊兵器工場を破壊するための専用侵徹爆弾で、重さ3万ポンド)を供給せよ。それしか方法はない。

 もちろんイスラエルは、それを投下する場合の条件について米国とあらかじめ合意し、それを守る。

 ※ここまでは釣り込まれて読んでしまったが、《投下機として「B-2」をリースせよ》と飛躍するにおよんで読者は目が覚め、『もう中学校は夏休みか……』と思うしかないのである。たしかに1個が3万ポンド(14トン)の爆弾を運搬できる戦闘機/攻撃機は、おいそれとはみつからない。この爆弾には重力加速が必要だから、中古の旅客機を無人機に改造して超低空で片道特攻させるわけにもいかない。大型の低速機が高度を上げれば、たちまちSAMの餌食である。さらに考えると、14トン徹甲弾でも、地下のウラン濃縮プラントを破壊できる保証はない。けっきょくイスラエルには核による先制攻撃だけがオプションとして残されいる。

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 ストラテジーペイジの2021-7-24記事。
   中共に、大卒者が増えすぎて、いろいろピーンチ!

 今日、中共の18歳から22歳の青年の54%は、大学を卒業するであろう。
 しかし、卒後、それまでの教育投資をサクッと回収できそうな職にありつける可能性は、どんどん狭まりつつあり。
 2021年、中共では900万人の新卒大学生が、就職口を捜す。人数は前年の4%増しだ。

 ところが10年前とは違い、理数工系の新卒者ですら、求人のオファーが企業から来ない。
 そのため、理数工系の大卒者が、やむをえずして、高校生相手の「教職」に就くケースが著増。

 これはシナ海軍にとっては痛し痒し。理数工系の新卒者は比較的に低い給与で初級士官として雇用できる。人数は、いくらでも欲しい。ただし身体虚弱者が多いのと、女が多いので、困ってしまう。

 ※熊プーはどうして「学習塾」産業を壊滅させようとしているのか? あぶれ大卒者の行き場がなくなるではないか? そいつらを皆、軍隊へ誘導したいのか? おそらくは教育出資の家計負担を抑制することで、間接的に、人口増を狙いたいのだろう。が、絶対にその試みは失敗する。詳しくは次著で書く。

 2002年に於いて、若い人の15%しか、大学に進学しなかった。人数にして140万人だった。
 それが、みるみる増えて、2005年では、630万人。供給が、爆発的なまでに過剰になった。

 大学生余りの現象がとつぜん浮上したのは2008年だった。3割の大卒者が、望んだような待遇の就職先を見つけられなかった。また就職できた大卒者の半数は、腐敗した上司によってじぶんが「搾取」されていると思ったという。

 今から10年前において、大卒者の失業率は10%以上あった。都市部での全労働人口の失業率は4.1%だったのだが。

 中共軍は、10年前、将校は全員、大卒資格を有せざるべからず、という新方針を打ち出した。当時、人民解放軍の将校のうち5.7%しか、大学を出ていなかった。

 軍隊に志願できる年齢も24歳へ引き上げられた。それは、大卒者を念頭した措置だった。

 こんにち、中共の内務省(公安・秘密警察)も、手堅い就職先である。給与水準は軍隊に比べてそんなに高くないようで、それゆえ月給重視の若者は好まない。入省前に政治信条が問われ、高い学歴は必須である。下っ端は任期制だが、その一任期は軍隊よりも長い。

 ※記事には書いてないが、これからの凡庸な文系中共青年の間では、公安系に就職した者が普通の勝ち組だと思う。その理由は、就職成功時点で、ソーシャル・クレジットが跳ね上がり、結婚に有利だから。また、軍隊の給与や待遇がこれからいかほど悪くなることがあっても、公安系の給与や待遇が悪くなることは、中共が続く限り、ありえないから。