表彰台でロシア選手と記念ポーズをとったウクライナ人選手が、本国で非難囂々。

 なにしろ戦争中なんだから。

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 ストラテジーペイジの2021-8-9記事。
    トルコから予定より早く、7月中に「TB2」×複数機が、ウクライナ海軍へ納品された。

 ウクライナは「TB2」によって黒海沿岸とアゾフ海をパトロールさせる。
 焦点はアゾフ海である。

 カスピ海に通じる運河には、アゾフ海から入るしかない。
 ※旧スターリングラード郊外に無名の運河があり、ドン河とヴォルガ河は実はつながっているのである。だからスターリングラードが焦点になったという話は兵頭の地政学本を見よ。

 たとえば2000年から2003年にかけてアゼルバイジャンは米国製の沿岸警備艇×3隻を輸入したが、搬入水路はそれであった。

 カスピ沿岸諸国とウクライナ西部経済にとってアゾフ海は死活的といえるので、2003年にロシアとウクライナの間でアクセス管理の取り極めが交わされている。しかしロシアはそれを破る気満々。

 ウクライナ軍には砲兵は充実しているのだが、その観測ができない。TB2が観測と終末レーザー誘導を担当してくれれば、ウクライナの既存の砲兵資産でも露軍に対向できるのである。

 そしてまた2014のプーチンの侵略で壊滅したウクライナ海軍の再建も、このごろではトルコが請け負っている様子である。

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 Stephen Chen 記者による2021-8-10記事「 Chinese researchers spy blind spots in US hypersonic ‘tracking layer’ ambitions」。
    「スペースX」と「L3 ハリス」の合同チームは2020-10に軍から契約をかちとっている。ハイパーソニック弾を宇宙空間から早期警戒する「トラッキング・レイヤー」の構築だ。

 企画書通りなら、2023年前半にも、8機の衛星を高度1000kmで周回させるだろう。

 中共側の見積もりでは、この衛星はすくなくともその10倍の数は必要だろうと。

 そして問題はもうひとつある。発見した目標をトラッキングしつづけるためには、もっと高い軌道を周回する衛星によって高速データ通信リンクが常時確立されている必要がある。その通信環境がなければ、早期監視衛星を100個以上も周回させたとしても、まったくムダである。

 通常のICBMを見張る衛星群はすでに10機以上、米軍は軌道投入している。SBIRS と呼ばれる。

 ハイパーソニック弾を早期警戒するためには、発射から2分以内に探知できなくてはならない。それが地球上のどこであっても。
 ハイパーソニック弾は、たとえば射点から1000km離れた米空母まで8分で届いてしまうのだ。

 SBIRSは、赤外線パッシヴのステレオ把握で敵弾道弾の現在位置を追いかける仕組みであるが、目測の位置誤差が1kmある。
 「トラッキング・レイヤー」では、この目測の位置誤差を200mにしなければいけない。

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 Chen AizhuMuyu Xu 記者による2021-8-6記事「China’s gasoline, jet fuel use to hit record in 2021 despite COVID cloud」。
    国際エネルギー機関の3月の予測では、中共のガソリン・灯油・軽油の2021年の需要は、前年比の6.5%増しになるだろうとのことであったが、最新予測では、7%から11%増になるだろうと上方修正された。
 要するにパンデミックを抑制した結果、国内経済活動が盛んなのである。

 富裕人民は、外国旅行ができなくなったため、国内の長距離自動車レジャーに消費をシフトさせていると見られる。したがってSUVが売れに売れている。

 航空燃料消費ですら、2019年の水準になりつつある。国内便がたくさん飛んでいるのだ。

 農業機材や工場の機械は軽油で回っている。その消費も、前年より1.7%多い。

 ただし、ヘヴィー・デューティーのトラックは、売れていない。そっちの経済は、伸びていない。

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 AFPの2021-8-9記事「Alibaba CEO sacks manager accused of rape, condemns ‘forced drinking culture’」。
   アリババのCEOは月曜日、重役1名を解雇した。部下女性と出張旅行中、無理に酩酊させてレイプした嫌疑で。

 CEOいわく。わが社社員は、顧客からであれ、上司からであれ、飲酒の強制は拒否する権能を有する。

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 Namita Singh 記者による記事「Magpie attack leads to death of baby girl in Australia」。
    クインズランド州の公園のマグパイ(カササギフエガラス。豪州にだけ居る。カラスを部分的に白くしたような姿)がスウィーピング(バズ飛行)によって人間の母親を脅かし、驚いた母親が嬰児を落としてしまって、嬰児は死亡した。

 公園には警告の看板はあったが……。

 スウィーピングは、オスのマグパイだけがする。営巣子育て期間中(季節は7月から10月。ピークは9月)に。場所は巣から50m圏内。この巣は、毎年、位置が変わらない。
 しかし、すべてのオスがするのではなく、10%のオスだけがそれをするという。

 マグパイが巣立ちするまでには6週間かかる。

 ※世界中でカラス被害があるはずなのに、予防用の帽子アップリケを誰も考えないとは間抜けな話だ。少なからぬ野生動物が、うなじから耳にかけて、背後や斜め上から見たときに、あたかも巨獣がこっちを睨んでいるかのように錯覚される模様を備えて、後上方を威嚇している。蛾ですら、目玉文様を持つ。この模様を人間が人工的に再現し「後付け」できるような廉価な商品にすることは雑作も無いはずである。さらには電子的なアップリケだって設計できるはずなのだ。



「地政学」は殺傷力のある武器である。〈新装版〉 ニュー・クラシック・ライブラリー