非常時に頼りにされるのはチヌークであってオスプレイではないということが、まのあたり、証明されつつある。

 Marcus Weisgerber and Tara Copp 記者による2021-8-13記事「The Taliban Captured Helicopters. Can They Capture an Air Force?」。
    7月30日時点でアフガニスタン政府軍は200機の軍用機を保有しており、そのうち167機は飛べる状態であった。

 ほとんどはカブール近郊か、カンダハルの航空基地に配されていた。
 土曜日、カンダハル空港はタリバンに占拠され、ブラックホークその他のヘリコプターが鹵獲されたことが、ツイッターへの複数の投稿で分かった。インドからプレゼントされたミル17は、よくなさそうなコンディションである。

 アフガニスタン政府軍が保有するもっとも攻撃的な武器は、「A-29 スーパーツカノ」である。
 これらはいったいどうなるのか?

  ※バグラム基地から北方のスタン国家のどこかへ退避すると考えるのが普通だろう。まず後席に整備兵を乗せて、何度か往復飛行するだろう。固定翼機は足が長いので脱出に不自由しない。こういうときのために、人間をひとり収納できるハードポイント吊下ポッドがあると、便利だよね。

 武装ヘリとしては、50機の「MD-530」がある。機関銃とロケット弾を搭載できる。
  ※小型ヘリコプターは足が短いが、タジキスタン国境までは飛べるだろう。

 アフガニスタン政府軍には「コンバット・キャラバン」もある。セスナのキャラバンからヘルファイアを撃てるようにしたものだ。
 ※この飛行機は今、脱出輸送にフル回転中だと想像される。

 その他、C-130、ミル17、なども。

 過去20年間、米国はアフガニスタン空軍に130機もプレゼントしてきた。7月には国防総省が声明している。これからさらに35機のブラックホークと、3機のスーパーツカノを追加でくれてやるつもりと。このうちブラックホークは7月中に3機が引き渡されている。

 もし良好な稼動状態の軍用機がタリバンに鹵獲された場合は、米米軍が空爆してその資産を吹っとばす気だと思われる。

 米軍はアフガニスタンに緊急に3000名を派遣したが、これはカブール空港の警固要員である。

 次。
 AHMAD SEIR, RAHIM FAIEZ, TAMEEM AKHGAR and JON GAMBRELL 記者による2021-8-15記事「Afghan president flees the country as Taliban fighters deploy across Kabul」。
    カブール市の住民は銀行のキャッシュマシンの前に列をつくっている。タリバンが預金を奪うかもしれないからだ。
 郊外に暮らしていた貧民層は、首都内の方が安全ではないかと考えて首都に集まり、公園で寝泊りしている。

 米大使館は、未だに残留している米国民間人たちに対し、じぶんで隠れ場所を探してそこに居ろ、空港に来るんじゃねえぞ、と警告している。

 カブール空港では民航機の発着は止まった。銃弾が飛んでくるようになったので。

 これは何を意味するかというと、アフガン人の国外脱出は、基本的に不可能になった。
 軍用機は、もちろん、ひきつづいて飛んでいる。

 駐カブールの米国大使は、残りたいという強い希望を示しているが、国務省命令で脱出させられたあと、戻ることを許されていない。

 ガニ大統領は、日曜日に、アフガニスタン国外へ脱出した。

 アフガニスタン政府の実質国防大臣であるビスミラー・カーン・モハマディはツイッターに書き込んだ。ガニ大統領一派は、われわれ軍人の両手を背中で縛っておいて、国家をタリバンに売り渡した。呪われろ――と。