麻薬しか輸出商品のないタリバンが強勢化できたのは、西側の援助金が腐敗治安幹部を通じて最終的にゲリラへ回収されていたからとしか思えない。

 芥子畑を焼き払う戦術を採らなかったために、芥子栽培農村がタリバン軍資金の安定基盤になった。農村から都市を包囲したわけだ。

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 George Packer 記者による記事「Biden’s Betrayal of Afghans Will Live in Infamy」。
    アフガニスタンからEUまたは合衆国へ向かう飛行機のチケット代は、前は800ドルだったが、最後には、1600ドルになっていた。

 アフガニスタン人通訳たちのエバキュエーション先としては、グァム島を考えたことがあった。
 しかし米国領ではいろいろ、法的にややこしいことになると結論され、第三国が探された。

 ほぼすべての通訳はカブール市内に住んでいた。カブール市は、あと半年は陥落しないと考えられていた。

 国務省、国防総省、ホワイトハウスの高官の何人かは、緊急特別措置としてこれら通訳の脱出を急がせようと努力した。だが、すべて、バイデンが潰した。
 バイデンにはじぶんの優先順位があり、それに通訳問題が割り込んでくるのを嫌ったようである。

 7月、1200人の通訳&家族がフォート・リーに収容された。彼らにはすでにビザ承認がおりていた。

 いくつかの民間基金は、アルバニア政府およびカタール政府に話をつけ、アフガニスタン国内から、女権運動家、人権運動家、教師、ジャーナリスト、公務員を脱出させるチャーター便を飛ばした。

 通訳でも貯金のある者は、たとえば私費で、インド行きの飛行機切符を買って、家族ごと脱出するという道は、これまでもあった。だから、いま、残っているのは、貯金ゼロの破産者世帯が多い。

 アフガニスタンでは今も、泥棒はまず石炭で顔に印をつけられ、ついで、手を切断される。
 タリバンが支配する前からそんな世界なのだ。タリバンが支配するようになれば、どこまで原始化するのか?


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 Michelle Toh 記者による2021-8-15記事「The mysterious Chinese fashion app that’s as popular as Amazon」。
    中共発の新アプリ「シーイン」(Shein)が世界を席捲中。ターゲットは、すでにTikTokのユーザーである十代女子。
 閲覧するほどにポイントが溜まり、それが通販発注のさい、値引きされる仕組み。だから毎晩見るようになる。中毒性がある。

 H&Mと同じ品物を、それよりも安く買える。

 シーインは、中共で2008年にスタートしたときは、ZZKKOという名称であった。
 創業者の Chris Xu は、サーチエンジンの冒頭に特定のブランド名を出させるようにするにはどうしたらいいかというオプティマイゼイションのコンサルタントをやっていた男。

 当初は、ウェディングドレスだけを扱った。
 そこから、婦人服全般に取り扱い商品を拡げ、名称を「シーインサイド」に変えた。
 2015にさらに「シーイン」に変えた。理由は、そうするとオンラインでサーチしたときに冒頭に出てくるからだという。覚えやすいわけだ。

 パンデミック前、つまり2019前半までには、シーインは、中共ベースの小売業としては稀な、グローバル認知企業になっていた。

 2020-10に「ユーロモニター・インターナショナル」が調べたところでは、オンライン通販専門としては、売り上げ額において世界最大のファッション企業になったと認められた。

 ライバル企業には、Zara と H&M がある。それぞれ、自社ブランド品を売る。ただしこの2社は実店舗にもながらくかかわってきた。それが究極のコスト競争では足枷になるのだ。

 英国に、Boohoo および ASOS というファスト・ファッションの小売があり、こちらはオンライン通販を主軸とする点で、シーインと似たライバルである。ターゲット客層も同じ。

 全世界では、ことし前半、シーインのアプリが810万回、ダウンロードされた
 合衆国では、5月なかば、シーインのアプリが、最もたくさんインストールされたショッピング・アプリになった。これはアップストアならびにグーグルプレイを合わせた統計である。

 今年の年商は300億ドルに達するのではないか。

 シーインは、できるだけ、中共企業であることを隠そうとしている。ひたすらインターナショナル色を強調し、自社語りも封印している。

 商品宣伝には、インフルエンサーを総動員。
 特に TikTok に注力。

 シーインは今では毎日、500点の新商品を投入する。「リアルタイム・リテイル」と自負す。これに対してたとえば Bohoo は、1週間に500点をリリースするのがやっとだ。

 これが人気になりそうだからこれを製造すると幹部が決めてから、7日以内に、工場で製造が開始される。比較して、Zara だったら、そのリードタイムとして3週間は必要だ。意思決定を最高速化する独自のフィードバックソフトができているのだ。

 これに近い発想をアリババも持っていて、スモールビジネスの商品発想から製造までをストリームライン化してやるAI支援システムを昨年、完成させた。

 シーインが最も苦戦している市場は、シナ大陸本土市場である。
 というのは、先行するアリババとの正面衝突になるからだ。

 いきおい、シーインは輸出に全振りするしかなかったのである。欧州、米国、豪州、そして中東へ。そのうちどこにいちばん売れているのか、シーインはデータを秘密にしている。

 ブラジルで2020-6から2021-6のあいだにアプリのダウンロードが988%増えたことは分かっている。
 インドでもシーインの人気は高い。