わざわざ制裁を強化してもらおうとミサイルを発射するのにも一理ある。経済苦境は三代目の新コロビビリのせいではなく日米韓の制裁のせいだと宣伝できる。

 David Choi 記者による2021-9-13記事「Military unit tasked with capturing AWOL troops to disband in South Korea」。
   脱走兵/無断離隊者のことをAWOLという。このAWOLを追跡し逮捕する専門の部隊が韓国軍にはあったのだが、それが7月に解散消滅した。部隊は100人程度の規模であった。

 2016年からの平均だと年に126件の脱営があった。

 韓国では18歳から26歳までのうちに18ヵ月の入営が、男子には義務づけられている。ただし、地方警察官、消防士は免除される。
 韓国軍には55万人の現役将兵あり。

 有事/国家非常事態中に脱走してつかまると最低5年の懲役である。さらに奔敵すれば、死刑。

 今回の解隊は、ウェブ・コミック・シリーズを原作としてネットフリックスで実写ドラマ化した『D.P.』が配信された1ヵ月後であった。『D.P.』はまさにこの追跡隊(ディサーター・パースート)を扱ったものなのだが、脱走者はたいがい韓国軍隊内のイジメから逃げているのである。
 韓国国防省は、このドラマとは関係なく2018から解散を検討していたと言っている。

 次。
 David Choi 記者による2021-9-12記事「North Korea says it has test-fired a ‘new type’ of long-range cruise missile」。
   北鮮は月曜日に報道した。9-11~12に、巡航ミサイルをテスト飛行させたと。その場所は報道されていない。
 テストは2日に2回、実施した。コースを2時間以上飛び続け、1500kmに達したと。
 しかし着弾画像は報道されていない。

  ※まず滞空時間を計ったはずなので、標的なんぞ置いたはずがないのである。

 じつは今週、東京で、米日韓の三者会合がある。予定では、北鮮の拉致問題などを話し合うことになっている。それにタイミングを合わせたのだろう。

 ※日米韓の三者協議では2019いらいの対北鮮制裁が緩和される見通しはゼロであると見定めた。パレードではミサイルみせびらかしを自粛してやったのに無反応だったのでガックリきただろう。米韓演習にも反応してみせないといけない。これもプロスペクト反応。

 次。
 Elisabeth Suh & Miriam Hes 記者による2021-9-8記事「Nuclear Terrorism  A Plausible and Pestilent Threat」。
    米国の「9/11 調査委員会」の報告は、こう指摘していた。敵は、じっさいには象徴的で命中させやすいビルをターゲットに選んだが、もし放射能災害を米本土で起こしたくば、マンハッタンの40km北にある「インディアン岬エナジー・センター」の原発施設にジャンボで突っ込むこともできた、と。

 ※2012配備の韓国軍の「ヒュンムー3C」がどうして射程1500kmなのか、その射程スペックの意図が謎であったが、今回の北鮮CMテストでハッキリした。トマホークの寸法で燃料を最大に入れると、ターボジェットで1500km飛べなくてはならないのである。誰が造ってもそうなるというわけなのだ。ちなみに「ヒュンムー3C」の弾頭重量は450kgだという。その弾頭重量をさらに50kg欲張れば、射程は一挙に1000kmまで短くなってしまう。トレードオフだ。しかしCMの場合、射程とペイロードを両立させるうまい方法もあるのだ。北鮮や韓国は、ダーティボム素材たる放射性廃棄物をCMに充填して、38度線を越えたところからすぐに散布を開始させれば、飛ぶほどに弾頭が軽くなるので、大搭載量と大射程の両立を図りやすいのである。その報復用巡航ミサイルは、敵国の主要都市すべてをへめぐりながら、超低空からたっぷりと敵国土に核汚染物質を散布してくれる。もし撃墜されたり故障墜落しても、ごく軽量な時限爆弾を最後に作動させるようにしておけば、ダーティボム物質は、少しもムダにはならない。他方、もしイランが対米核テロを仕掛けたければ、派手な巡航ミサイルよりも、第三国の商船のシッピングコンテナから目立たない低速UAVを自動発射させて、ダーティボム物質をNYC上空から撒き散らした方が早い。同じことは北鮮の対日攻撃戦術についても言えるだろう。多数ある豆潜航艇に日本沿岸に近寄らせて、そこから深夜にUAVを放ち、そのUAVから核汚染物質を散布すればいいだけなのだ。

 次。
 Thomas Newdick 記者による2021-9-13記事「Everything We Know About North Korea’s New “Strategic” Cruise Missile Test」。
   昨年10月と今年1月に北鮮は、チューブキャニスターが4本あるTELを画像公表している。サイズ的にこれが巡航ミサイルらしかった。
 今回そのチューブキャニスターが5本に増えた。車体はトレーラー形式ではなく、一体トラックになっている。

 北鮮報道によると土曜日と日曜日にテスト飛行させた巡航ミサイルは126分間飛び続けて北鮮領海に落ちた。コースは楕円および8の字であった。
 この巡航ミサイルの開発には2年以上かかっただろう。

 ある人の12日のツイッターによると、2回の試射のうち1回は、飛翔時間が2時間6分20秒であったと。コースは8の字であったと。ということは平均速力は713km/時と計算される。じっさいにはもう少し速くできるはず。

 今回公開された画像は『労働新聞』。5本チューブのTELから発射するところと、飛翔中のミサイルの姿。ミサイルの姿はロシア製の「Kh-55」に酷似する。

 ※写真では主翼が後退翼のように見えるのだが……。トマホークとカリブルは後退翼ではないはず。韓国の「ヒュンムー3」はトマホークコピーゆえ、やはり後退翼ではないはず。

 カーネギー研究所のアンキット・パンダによると、北鮮用語で「戦略的」と言ったらそれは「核弾頭付」を意味するんだと。

 ※国連安全保障委員会決議は、北鮮が通常兵器を開発することまでは禁じていないのだが、三代目が核兵器だと言うのなら、これも制裁対象だろう。

 だが巡航ミサイルに搭載できるほどに核弾頭を小型軽量化する技術は北鮮には未だないだろう。
 ※あればそいつをICBMに搭載してさっさと対米戦略抑止を実現してしまう方がはるかに優先事業なので。