ソ連のSS-24=「RT-23」は重さ100トンを越えるICBMで、こんなものトラックで機動させられるわけもないので、1987年以降、列車機動式を追求したものです。
しかし注意が必要です。SS-24には、鉄道機動式のほかにサイロ式もたくさん整備された。どっちも今は「START2」条約と老朽化とにより全廃の状態ですが。
固体燃料ミサイルをガタゴト揺すると、それだけでも燃料中に「す」が入ったり、誘導系の電装品のハンダが取れたり、良いことはないです。その点、サイロ式の信頼性は、とにかく絶大だ。命令通信も確実に届きますし。
しかしそれでも、敵の第一撃を受けたときの列車機動式の生残性の高さは捨てがたい。SS-24は、ソ連鉄道網のどの地点からでも発射ができたといいます。どれか1列車が生き残れば、たしか3発1組の列車編成だったので、1基のRVが10個として、北米の30都市を灰にしてやれた。SSBN勢力に不安のあった末期のソ連としては、これがSLBM代わりの報復核として頼りに思われたでしょう。
なお列車搭載にしても100トンは重すぎるので、前後の貨車に荷重の一部を分担させていたといいます。おそろしいものです。
北鮮は米国に届くICBMをTELに搭載しようとすれば、30トンとか60トンとか、とてつもない重量になってしまい、そんなものが走れる道路は北鮮内では限定されすぎて、米国としてはどこを叩けばそれを破壊できそうか、かだいたい読めてしまう。トンネルにひきこもらない限り、生残性には貢献しないと考えられる。だったら鉄道でいい。
おそらく、将来的には「地下トンネル」と「列車発射式ICBM」を組み合わせたシステムを構築したいでしょうね。
鉄道なら道路と違い、さいしょからアールも勾配もほどほど。でこぼこもなし。
橋梁の強さとトンネル内寸余裕が大問題=最大ネックとなりますが、これから、ICBM列車を隠す専用の直線トンネルを何箇所か整備することになるんでしょう。また勤労動員ですよ。
しかしその前に、中距離ミサイルでハードとソフトの腕ならしをしとく。
ICBM級とちがって、中距離ミサイルなら、荷重を前後の貨車に分散させるような特殊貨車構造も必要ないので、すぐにできてしまった。
レンジ800kmのミサイルをわざわざ鉄道発射式としてみたのは、それが将来のICBMのための「習作」だからです。中距離ミサイルだったらTEL式の方が合理的なんですから。
そして北鮮はついに、ミサイル多彩化の時代にはトンネルがいちばんたよりにできると気づいた。
あと「特殊軌道」の意味なんですが、これは地球の丸みを最大限に利用して、敵の地上または海上のレーダーからは、放物線の最高点部分とその少し前の上昇途上を探知させないというところに眼目があります。
イージスシステムは、艦載のものであれば、前進展開させている艦によって、この最高点部分とその少し前の上昇途上を探知できるかもしれません。相手が北鮮だけならね。しかし地ージスでは北鮮相手でもこれがむずかしくなるので、地ージス放棄は正しい結論と思います。
それからイスカンデルと中共のDF-17の違いは、イスカンデルはブースターと弾頭が分離しない。
DF-ZF/東風17は ブースターが燃え尽きたら弾頭部のハイパーソニック滑空弾が分離してすぐに急降下して敵レーダーの遠距離探知を避け、高度3万m強を水平にマッハ5で襲来する。それでレンジが1800kmというのですから、やっぱり地ージスは放棄して正解です。もう2014年から沙漠で何回も実験していたそうですからね。
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indomilitary の2021-9-14記事「Trouble (again) with engine, Chengdu J-20 Stealth fighter jet delays first flight with new engine」。
9月13日の「Topwar」によると中共の「殲20」用の「WS-15」エンジン(推力方向可変式)は、やっぱり仕上がってなくて、そのため、そいつを搭載した「殲20」はいまだに飛び上がることができずにいると。
このエンジンのタービンにはフラーレン(炭素原子多数がサッカーボール状に中空球を為す構造)によるコーティングがされていて、それで摂氏1800度でエンジンを運転できるのだという自家宣伝がなされていた。
またフラーレン膜によるコーティングは、湿気の少ない空気中でのエンジン寿命を倍化するのだとも期待されていた。
しかし現実には、高熱下でその膜がいろいろなものを吸収してしまい、構造体積が増え、結果として燃料消費が増大してしまうという現象が起きた。
9月前半には、この問題は修正すると確約していたが、WS-15搭載機のフライト試験は延期されている。
ロシアの宣伝では、スホイ57に搭載されている「AL-41F1」エンジンは、最大推力18トンも出すのに、推力方向可変式で、しかも燃費はスホイ35用の「AL-41F-1S」より三割も良いのだと。けっきょくこれを買うしかないのか?