大型双発無人機「彩虹-6」が出展されたようだが、いさぎよくステルスを捨てており、開発時間がまったく与えられていない、何か切迫した裏事情が想像される。

 Garrett Reim 記者による2021-9-24記事「Raytheon unveils compact, half-priced gallium nitride AESA radar」。
    レイセオン社の快挙! 窒化ガリウム素子を使ったAESAレーダーの価格を半減させることに成功。いやまだ製品にはなっておらず、来年、実験機に搭載してみるという段階なのだが……。

 とりあえずこれは何を意味するかというと、UAVにあたりまえのようにAESAレーダーを搭載できる。
 それから、ターボプロップ単発の有人ライトアタック機にもAESAレーダーを搭載できる。

 ライトアタック機が敵のジェット戦闘機と「空戦」するのにも不自由がなくなってしまうのだ。AMRAAMを1発発射すればいいんだから。

 この超軽量AESAレーダー、なんとシステム重量がたったの59kgしかない。ざっと、今までのAESAレーダーの三分の一の軽さである。素子を配列した「板」のサイズは71センチ×37センチ。これは空冷される。

 ターボファン推進の中等練習機にも、AESAレーダーを搭載できることになり、したがって、これまで練習機でしかなかったものが、立派なジェット戦闘機に大化けする。

 ※これは台湾にとって朗報……と思うだろうがそうではない。台湾のパイロットがその飛行機ごと大陸に亡命するという可能性を、米国は常に考えておかなくてはならないので、この新型デバイスの恩恵を、台湾空軍が受けることはない。

 ※超軽量AESAレーダーを、海自の「P-1」の 頭とケツに2個、とりつければ、いつも360度警戒できる飛行機になる。そのまんま、アーセナルプレーンになるではないか。それだけじゃない。常駐型の「グラウラー」にできるかもしれない。

 ※こうなると「震電」のターボプロップ化型もふたたび有望になってしまう。リージョナルジェットで悪い籤を引いた三菱の社員は広い豪州に子会社をつくってこの企画に取り組んだらどうだい。中共発の世界大恐慌で、これから10年以上、もう旅客機どころじゃないだろうから。

 陸軍の次世代のヘリコプターにもAESAレーダーを装備できるようになるだろう。

 レイセオン社の身内氏いわく。いま米空軍のF-16にのっかっている、ノースロップグラマン社製の「APG-83」というAESAよりも、この新型のわが社の軽量AESAの方が、性能が優っているのです。

 ガリウム窒素素子のすぐれている点は、耐熱性。現在主流である、ガリウム砒素チップよりも高い熱に耐えてくれるので、放熱や冷却を気にかけることなく、最大パワーを引き出しやすいのだ。
 だいたい、ガリウム砒素よりも5倍のパワーになるという。

 なお理論的には、このチップをさらに液冷式にすれば、もっとパワフルにできるのだともいう。つまりアクティヴ探知の距離を延ばせる。それはこれから研究する。

 次。
 Wyatt Olson 記者による2021-9-25記事「AUKUS nuclear submarine deal raises questions about India’s role in Quad coalition」。
   このたびAUKUSが出来て、クワッドはどうなるんだというのがインド人の抱いている疑問である。
 インドは2016に国産原潜の『アリハント』を就役させた。しかし『アリハント』はSSBNなので、SSNのような精密な立体的機敏性は必要とされていない。

 インドはかつて米国にSSNを売ってくれとリクエストしたことがあったが、まったく相手にされなかったのである。それと比べて豪州に対する優遇は、どうなのよ、というのが、正直な気持ちだろう。

 しかし米国とインドはすでに防衛技術と貿易のイニシアチブ協定を締結しており、ペンタゴン内にそのためのインド人も常駐している。これにもとづいて、軍事同盟条約を結んでいない外国としては特別に、インドに対するUAV技術の移転の相談が進んでいるのである。

 おそらくインドはフランスに対してここぞとばかりに、潜水艦用の核エンジンを技術移転しろ、ともちかけるであろう。フランスも売る気になるだろう。

 フランスはラファール戦闘機の艦上機型×57機をインド海軍に対して提案しているが、これにはますます注力されるだろう。インドは今回のAUKUSをこころよく思わないはずなので、これに乗るかもしれない。

 ※陸上型のラファールであれほど懲りてもフランスは、インドを含む世界中に自国製の武器を売り込み続けるしか黒字を維持する道がない。かくしてフランスは、21世紀の「没義道」国家に堕落し切ったのである。このような姿に日本もなりたいのか? なりたくないだろう。そこをよくわかるように解説したのが2017年の拙著『日本の兵器が世界を救う』です。

 アメリカンエンタープライズ研究所のザック・クーパーは、インドと違って日本が米英に原潜技術を求めることはない、と断言。民生用の原発ですら、それを推進したいと政治家が言えば、大炎上する世情なので。

 クーパー君いわく、日本はインドと違ってAUKUSを不快には思っていない。原潜技術も不要だと思っているが、なにか別の軍事技術の供与を米英から得られるようになるという期待は、日本の中にはあるだろう。

 ※余談だが、リチウム電池とディーゼルエンジンを組み合わせた潜水艦は、日本が最初じゃない。これを最初にやったのはボーイング社のXLUUVである『オルカ』なのだ。『オルカ』は最初は、有人でも動かせるようにしようと、無人実験機の『エコー・ボイジャー』のハルをエクステンドした。しかし思い切って無人と決め、かつ、リチウム+ディーゼル にしたことで、なんと最長行動時間が6ヵ月でも行けると確かめられた。原潜に遜色ないのである。しかも、水兵を集める苦労も、士官を訓練する手間も要らない。思うに台湾などはこの『オルカ』のサイズの有人豆潜航艇を自主的に建造して大量配備するべきであった。さすれば豪州海軍に台湾以南の南シナ海を守ってもらう必要だって半減していたはずなのである。



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