小型のUUVとオペレーターを豪州軍が用意し、運搬・揚収用の飛行艇は海自が出す。それで合同運用ができる。データのリレーはグロホの海上版でインターオペラティヴにできるはず。

 Franz-Stefan Gady 記者による2021-9-23記事「Australia’s future submarine fleet and uninhabited undersea systems」。
   豪州の国防策案担当者は、UUV(無人水中ロボット)によってSSN(魚雷戦型原潜)を補強すべし。
 SSNの1番艦の就役は2035以前ではあり得ない。

 対中国戦では、有人のSSNをマザーシップとし、多数のUUVを操るのだ。

 豪州には、ロンボク海峡、スンダ海峡、マラッカ海峡の対支封鎖が期待されている。いずれもインドネシア領海に含まれている〔ので、豪州海軍の水上艦によっては堂々と作戦し難い〕。

 UUVの大宗は魚雷サイズなのだが、それよりもはるかに大きい、「エクストラ・ラージ」と分類される「XLUUV」もある。その代表選手が、ボーイング社の「オルカ」〔重量非公開だが50トン級だと推定される。それ自体が8トン弱の兵装を内臓できる〕。

 XLUUVならシナ大陸沿岸部の浅海面に進出して電子戦等を遂行できる。敵軍港内に自走機雷も撒ける。

 ※50トンサイズになるとUS-2では運べないので、水上艦の船体後部に、上空からは何をやっているのかまったく見えない屋根構造の「ドック」をしつらえて、そこからこっそり出し入れするしかない。海自はこの研究も急がなくては2030に間に合わない。

 次。
 Brian O’Rourke 記者による2021-9-23記事「The Army Acquired Its Own Hovercraft In The 1980s. It Didn’t Go Well.」。
   米陸軍の80年代の貴重な経験。

 米陸軍は1970年代から80年代にかけて、自前でホバークラフトを持っていた。ベル・アエロスペース・カナダ社製の民生品「ベル・ヴォイジャー」をベースにした「LACV-30」。30トン積みであった。

 幅40フィート×長さ80フィート。空荷自重は6万5000ポンド。
 戦車以外のたいていのものが運べた。

 搭載量が少ないのは、とにかく移動速度を重視したから。44ノット以上も出せた。そのかわり燃費は、1時間あたり260ガロンである(JP4を使用)。

 困ったのが、海象がちょっと荒れても、ホバークラフトは動かせなくなること。波高が1m以上あったら、もうダメだった。

 船体は、軽くするため、アルミ合金製。これも損傷しやすかった。

 試作機をテストする前から、次のような限界が分かっていた。
 波高が8フィートあったら、もうダメ。
 海上風力が50マイル/時あったら、もうダメ。
 華氏マイナス40度〔これは摂氏マイナス40度と等しい〕以下の気温でも、ダメ。

 これら陸軍所属のLACV-30は1994にすべて退役している。アラスカの民間会社に売られたが、騒音がうるさすぎるという苦情が住民からあり、けっきょくそこでも使い物にならなかったという。

 ※米海軍の場合、ショアtoショアではなく、巨大揚陸艦からの沖合い発進とし、わずか40kmくらいを疾走させることだけを考え、艇体を巨大化することで海象を捩じ伏せて戦車を運んでやる、力技路線。LCACより大きい後継型もできている。自衛隊の場合、むしろショアtoショアの運用ができることが対支の心理的な抑止力=「伐謀」力を発揮してくれるので、ホバークラフトではそもそもダメだ。ちなみに長崎県から魚釣島まで片道1060kmくらいもある。